2023年04月19日
「燃えるゴミは、燃やさない」時代は来るのでしょうか
前略
地方自治体の合併ブームの元には、「地域社会の公共インフラを整備すること」があった。
単に、市役所の人員などに人件費削減だけでなく、地域の社会保障の為の病院・火葬場・ゴミ焼却炉・教育関連(学校・図書館等文化施設)・上下水道・などがあるが、特に焼却場は悩みの種の一つであろう。
・・・・
これからの、地域共同体自治州には、財政的基盤は大きくないし、そうならないようにしたい。
全てが、共同・ゲマインシャフトとしてみんなで事をなす自治でなければならない。
そこで、今回の「可燃ごみ焼却」をしないで済ます方法を算段しなければならない為のヒントとしたい。
・・・・
食料品残渣は、個別に微生物利用で堆肥化が出来そうである。
しかし、その他の「燃えるゴミ」の始末は燃やす以外に、有機物としての自然による始末方法が出てきている。
大きな事業化を考えるのではない、各戸別のに生ごみのコンポストの様に、微生物利用の分解発酵出来れば、自家での再利用が出来ることになる。
・・・・
まだ課題は多く残っておるが、可能性はここで示されたので、今こそ「カーボンバジェット」の力を使うところでしょう、現在問題の、廃プラスチックボミを含めた、可燃ごみを始末する微生物開発である、「最近のゲノム編集技術」に多くを期待したい。
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(1)ーーーーー可燃ゴミは燃やさず微生物で処理するーーーーー
2019/10/27;雑ネタ帳、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本には可燃ゴミを全く燃やさないシステムを持つ町がある。
もちろん他の町にゴミを持って行くわけではない。
・・・・・・・
それは人口が約6万2000人の香川県三豊市である。同市では色んな微生物の働きを研究していて、今まで燃やすしかなかった可燃ゴミを微生物に分解してもらうという処理方法で、「可燃ゴミ」を「資源」に変えている。これにより可燃ゴミを燃やす必要はなくなった。
「ゴミはすべて資源」という理念を掲げる同市では、新しいゴミ処理施設について公募した。そして、廃棄物処理業を営む株式会社エコマスターから提案された「トンネルコンポスト方式」と呼ばれるシステムを採用し、民設民営方式で運営している。
可燃ゴミは発酵させるために密閉されたコンクリート製のトンネルの中に入れられる。
コンポスト(compost)とは、都市ゴミを発酵させて作った堆肥を意味する。
つまり、トンネルコンポスト方式とは、破砕した燃やせるゴミをバイオトンネルの中で発酵・乾燥させ、固形燃料や有機肥料の原料としてリサイクルするというシステムである。
・・・・
これは日本初の試みで、2017年に稼働が始まったゴミ処理施設「バイオマス資源化センターみとよ」では、家庭や廃棄物処理業から出た燃やせるゴミを発酵・乾燥させて固形燃料の原料としてリサイクルしている。
固形燃料は石炭の代わりとして使用される。
二酸化炭素の排出を抑え、ダイオキシン類も発生しない。
ヨーロッパでは盛んな先進的なゴミ処理モデルである。
・・・
燃やせるゴミは、生ゴミやプラスチック、紙などが混在している混合ゴミであり、これは臭いや水分の関係からリサイクルが難しいとされてきた。
トンネルコンポスト方式では、これらの混合ゴミもリサイクル可能な状態にできる。
この技術は、使用済みオムツのリサイクルにも適している。
この燃やせるゴミを資源化するシステムは従来の焼却システムよりも費用がかからず、コストカットにもつながる。
同市のように人口があまり多くなく、ゴミの焼却に予算がかけられない町に適したゴミ処理方法である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
https://zatsuneta.com/archives/005880.html
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もう一つの大規模処理施設の例です。
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(2)ーーーーーー可燃性なら分別不要、微生物でゴミを「油田」にーーーーーー
積水化学工業がバイオリファイナリー技術確立;
2018.4.9、坂田 亮太郎、日経ビジネス、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
エタノールを微生物で生産する「バイオリファイナリー」技術を積水化学工業が確立した。
原料となるゴミを一切分別せずにエタノールに変換でき、「都市」のゴミは「油田」に変わる。
2019年度から実用プラントの稼働を計画しており、原油に依存しない未来に一歩近づいた。
(日経ビジネス2018年1月15日号より転載)
・・・・・・・
>>> 捨てればゴミ、生かせば資源──。
日本人の多くが知っているこの標語には2つの意味がある。
まずは戒め。
資源に乏しい日本では原材料を輸入に頼っている。
だからこそ、モノを大事に使わなければならないという意味だ。
・・・・
もう一つはゴミを資源として使うのは極めて難しいという現実を示している。
昭和の時代から唱え続けられてきた標語が、平成の30年になっても”現役”であり続けるのは、何十年という歳月を費やしてもそれが実現できていないからだ。
この常識が近い将来、覆るかもしれない。
ゴミを”まるごと”エタノールに変換する技術を積水化学工業が確立したのだ。
家庭などから回収したゴミを競争力のあるコストでエタノールに転換できたのは世界で初めて。
同社の上ノ山智史取締役専務執行役員は2017年12月の発表会で「次代に残すべき技術を開発できた」と胸を張った。
・・・・
確立したのは微生物を使ってゴミからエタノールを生産する「バイオリファイナリー」と呼ぶ手法だ。
これまで、焼却や埋め立てで処分していたゴミ。
これを微生物に”食べさせる”ことで化学品の原料にできれば、海外から原油を輸入しなくても日本国内で新しいサプライチェーンを構築できる。ゴミを吐き出す都市が「油田」として生まれ変わる可能性が見えてきたのだ。
お酒の成分として有名なエタノール。
実は、全化学品の6割を占める「エチレン」と似た構造を持っているため、エタノールは工業原料として広く活用できる。
水道用配管や住宅資材などでプラスチックを多く利用する積水化学にとっても、身近な原料だ。
・・・・
開発に乗り出したのはちょうど10年前の08年1月。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所で原油先物相場が史上初めて1バレル 100ドルの大台を突破したことがきっかけだ。
エタノールは一般的に、原油を精製したナフサを原料とし、「オイルリファイナリー」というプロセスで製造する。
調達コストが高騰すれば、プラスチック製造を祖業とする積水化学のビジネスが根底から揺さぶられる。
上ノ山氏は「社運を賭けた研究開発プロジェクトだった」と振り返る。
・・・・
注目したのはゴミだ。
日本国内で排出される可燃ゴミは年間6000万トンで、カロリー換算で約200兆キロカロリーに達する。
日本でプラスチック生産に使われる化石資源(約150兆キロカロリー)を補って余りある量だ。
しかもゴミは、人間が生活している限り、毎日安定して生み出される。
・・・・
>>>微生物がゴミを食べてエタノールを作る
●積水化学工業が開発したプロセスの特徴
ゴミをまるごとエタノールに変換
可燃性ゴミなら分別することなく、高い変換効率でエタノールを安定製造する技術を確立した。
米ランザテックの微生物を活用
エタノールの世界市場は年11兆円
食品や工業用原料として使われるエタノールは国内だけでも年75万キロリットルの需要があり、世界の市場規模は11兆円
二酸化炭素の排出を大幅削減
ゴミ焼却時とエタノール製造時に発生する二酸化炭素を大幅に削減できる。
化石資源の依存度を減らせる
・・・・
>>>ゴミを蒸し焼きして「ガス化」
問題は極めて不均質であること。
家庭から出される一般廃棄物には生ゴミ、紙類、ビニールなど雑多なものが入り交じっている。
しかも季節や場所によってゴミの成分や組成は大きく変動する。
このため資源として十分に活用できずにいた。
結局、自治体がゴミを回収しても、埋め立てるか焼却処分するしかなかった。
無論、ゴミを有効活用しようとする試みはこれまで様々あった。例えば、日立造船は11年度から熊本大学などと共同で、家庭ゴミの中から生ゴミと紙ゴミを選別し発酵処理によってエタノールを生産する実証実験に取り組んでいる。
しかし、ゴミの選別コストが高いため、実用化できていない。
・・・・
他にも農業廃棄物からエタノールを生産する研究開発は海外でも行われているが、こちらも実用化にはほど遠い。
種々雑多なゴミの中から工業原料として使えるゴミだけを分別して収集すると、割が合わなくなるからだ。
積水化学はゴミを分別する手間を省くため「ガス化」に着目した。
ゴミを低酸素状態で蒸し焼きして、分子レベルにまで分解していく。
これにより家庭用の一般廃棄物や産業廃棄物も含め、可燃性ゴミなら大半を「一酸化炭素」と「水素」に変換できるようになった。
ガス化プロセスは既に国内で普及しており、焼却効率を高めるため全国のゴミ処理施設の1割に採用されている。
・・・・
一酸化炭素(CO)と水素(H2)が作れれば、あと一歩。
高温・高圧の環境で金属触媒と反応させれば、エタノール(C2H5OH)を製造できる。
ただしここで新たな問題が生じる。
多大なエネルギーを投入しなければならないので、経済的に見合わない。
そこで積水化学は発想を転換。
微生物の”エサ”として一酸化炭素と水素を用い、その代謝物としてエタノールを得ることにした。
酵母でコメを発酵させて日本酒を造る仕組みと同様だ。
苦労したのは最適な菌株を探し出すこと。
世界中の大学や研究機関からエタノールを生成する微生物を独自に取り寄せ、評価を繰り返した。
・・・・
>>>10倍速くエタノールを生産
最終的に米バイオベンチャーのランザテックが保有する微生物を選んだ。
自然界から単離された微生物で、パン酵母などと同様に安全性が高い。
一般的なエタノール生産菌と比べて10倍以上も速く、効率的にエタノールを生産できることが決め手となった。
積水化学には、遺伝子組み換え技術で微生物を改変する選択肢もあった。
生産効率が0.1%上がるだけでも工業レベルでは意味があるからだ。
だが、遺伝子を組み換えた微生物が万が一、プラント外に漏れ出した際のリスクも考慮した。
「プラント周辺の住民感情にも配慮して、開発段階から最終ゴールを意識してきた」と上ノ山氏は語る。
ただし、微生物ならではの問題がある。
多様なゴミをまるごとガス化して分別コストを圧縮するのが積水化学の強みだが、それと引き換えに、ガスには多くの夾雑物が残ってしまう。
微生物のエサに夾雑物が混じっていると、エタノールの生産効率が落ち、最悪のケースでは微生物が死滅してしまう。
・・・・
そこでフィルターや触媒などを使って夾雑物を除去するプロセスを構築した。
積水化学は詳細を明らかにしていないが、5~6段階のプロセスを経て400種の夾雑物をほぼ取り除くことに成功した。
最適な条件を探し出すのに60回以上も試行錯誤を繰り返した。
ゴミの組成は毎日変わる。
ガス化して生成する一酸化炭素と水素の割合や、夾雑物の種類や量も変動する。
そこで微生物の状態を外部からリアルタイムに監視して、最適な状態を保つ制御技術も確立した。
微生物が弱ってくると“栄養剤”を投入して、再び活性化することもできるようになった。
・・・・
純度の高いエサと栄養剤を供給することで、微生物の反応速度を高レベルで維持できる。
独自のガス精製・管理技術により連続生産が可能になったことが、大きなブレークスルーになった。
関連する特許も既に取得している。
・・・・
14年からは実証実験にも取り組んだ。埼玉県寄居町にゴミ処理施設を有するオリックス資源循環と協力して、年間20キロリットルの生産能力を持つパイロットプラントを併設。
3年間、周辺の家庭から収集したゴミでエタノールを生産した結果、品質や生産効率そして安定性など、事業化に必要な条件をクリアできた。
工業用エタノールの市場価格は1リットル当たり90~140円。量産が進めばナフサ由来のエタノールと遜色ないレベルまで、価格を引き下げられる見通しだという。
・・・・
エタノールの世界市場は年11兆円規模とされる。
だが、積水化学が見据えるのはさらに先だ。
炭素数が「2」のエタノールを脱水反応させると、同じ炭素数を持つエチレン(C2H4)になる。
このエチレンはポリエチレンやポリ塩化ビニールなど各種のプラスチック材料となり、ここからさらに約2万種類の製品が生み出される。
これらは自動車部品や電子材料などとして、世界の産業界に必要不可欠な存在だ。
エチレンだけではない。
使用する微生物など条件を変えて、炭素数が3つの「イソプロパノール」や5つの「イソプレン」を製造できれば、生み出せる化学品の幅はもっと広がる。
積水化学は既にその研究にも着手している。
・・・・
輸入に頼らず日本国内で循環させる
●エチレンを出発物質とした様々な化学品
1000億円事業に育成する;30カ所の更新需要を狙う
●積水化学のバイオリファイナリー事業の展望
国内ではこれまで、主にナフサからプラスチックを製造してきた。
ここで使われる年間約3000万トンのナフサをゴミで置き換えるだけでも、経済効果は莫大だ。
国富の流出を抑制できるうえ、エネルギー安全保障の面でも有利に働く。
・・・・
さらに技術が進化すればゴミ由来の都市油田を活用して、日本が化学品の輸出国になることも夢物語ではないだろう。
化学品全体で見ると、世界市場は50兆円を超える。
二酸化炭素(CO2)の排出量を大きく減らせるのもメリットだ。
ゴミに含まれていた炭素をエタノールという形で再利用できるのに加え、製造時やゴミ焼却時のCO2排出も抑制できる。
今後の課題は、ゴミの回収を担っている自治体との連携だ。
日本にはゴミ処理施設がおよそ1200カ所あり、毎年30~40カ所で設備が更新されている。
処理施設の更新時期に合わせて、エタノール化施設を併設できるかどうかが普及のポイントとなる。
積水化学は19年度にも初の実用プラントを稼働させる計画だ。
その際、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)方式で自治体やプラントメーカーも巻き込み、費用を分担するスキームを思い描いている。
エタノールなどを売って得た収入を出資者でシェアすることで、自治体の設備投資負担を軽減できるとしている。
積水化学はバイオリファイナリー事業の売り上げを25年に100億円、34年ごろには1000億円とする計画を描いている。
平成の次の時代に、ゴミを本当に資源として生かせるか。
積水化学の底力が試されている。(坂田 亮太郎)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226265/040600249/
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
記事の中では、2030年までにGHG排出半減、2050年までにGHG排出ゼロ、を頬とんど気にしていない、現在と同じ社会が運営されているという背景を考えているとしか思えない。
まるで新しい社会にならなければ、そんな「カーボンゼロ」の社会はあり得ないのですから、そこではメタノールの一大需要はほとんどないでしょう。
・・・・
兎に角、2050年の世界のあり様の漸近線を見すえた議論をしないといけないでしょう。
では、草々
2023-4-19
森下克介
地方自治体の合併ブームの元には、「地域社会の公共インフラを整備すること」があった。
単に、市役所の人員などに人件費削減だけでなく、地域の社会保障の為の病院・火葬場・ゴミ焼却炉・教育関連(学校・図書館等文化施設)・上下水道・などがあるが、特に焼却場は悩みの種の一つであろう。
・・・・
これからの、地域共同体自治州には、財政的基盤は大きくないし、そうならないようにしたい。
全てが、共同・ゲマインシャフトとしてみんなで事をなす自治でなければならない。
そこで、今回の「可燃ごみ焼却」をしないで済ます方法を算段しなければならない為のヒントとしたい。
・・・・
食料品残渣は、個別に微生物利用で堆肥化が出来そうである。
しかし、その他の「燃えるゴミ」の始末は燃やす以外に、有機物としての自然による始末方法が出てきている。
大きな事業化を考えるのではない、各戸別のに生ごみのコンポストの様に、微生物利用の分解発酵出来れば、自家での再利用が出来ることになる。
・・・・
まだ課題は多く残っておるが、可能性はここで示されたので、今こそ「カーボンバジェット」の力を使うところでしょう、現在問題の、廃プラスチックボミを含めた、可燃ごみを始末する微生物開発である、「最近のゲノム編集技術」に多くを期待したい。
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(1)ーーーーー可燃ゴミは燃やさず微生物で処理するーーーーー
2019/10/27;雑ネタ帳、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本には可燃ゴミを全く燃やさないシステムを持つ町がある。
もちろん他の町にゴミを持って行くわけではない。
・・・・・・・
それは人口が約6万2000人の香川県三豊市である。同市では色んな微生物の働きを研究していて、今まで燃やすしかなかった可燃ゴミを微生物に分解してもらうという処理方法で、「可燃ゴミ」を「資源」に変えている。これにより可燃ゴミを燃やす必要はなくなった。
「ゴミはすべて資源」という理念を掲げる同市では、新しいゴミ処理施設について公募した。そして、廃棄物処理業を営む株式会社エコマスターから提案された「トンネルコンポスト方式」と呼ばれるシステムを採用し、民設民営方式で運営している。
可燃ゴミは発酵させるために密閉されたコンクリート製のトンネルの中に入れられる。
コンポスト(compost)とは、都市ゴミを発酵させて作った堆肥を意味する。
つまり、トンネルコンポスト方式とは、破砕した燃やせるゴミをバイオトンネルの中で発酵・乾燥させ、固形燃料や有機肥料の原料としてリサイクルするというシステムである。
・・・・
これは日本初の試みで、2017年に稼働が始まったゴミ処理施設「バイオマス資源化センターみとよ」では、家庭や廃棄物処理業から出た燃やせるゴミを発酵・乾燥させて固形燃料の原料としてリサイクルしている。
固形燃料は石炭の代わりとして使用される。
二酸化炭素の排出を抑え、ダイオキシン類も発生しない。
ヨーロッパでは盛んな先進的なゴミ処理モデルである。
・・・
燃やせるゴミは、生ゴミやプラスチック、紙などが混在している混合ゴミであり、これは臭いや水分の関係からリサイクルが難しいとされてきた。
トンネルコンポスト方式では、これらの混合ゴミもリサイクル可能な状態にできる。
この技術は、使用済みオムツのリサイクルにも適している。
この燃やせるゴミを資源化するシステムは従来の焼却システムよりも費用がかからず、コストカットにもつながる。
同市のように人口があまり多くなく、ゴミの焼却に予算がかけられない町に適したゴミ処理方法である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
https://zatsuneta.com/archives/005880.html
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もう一つの大規模処理施設の例です。
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(2)ーーーーーー可燃性なら分別不要、微生物でゴミを「油田」にーーーーーー
積水化学工業がバイオリファイナリー技術確立;
2018.4.9、坂田 亮太郎、日経ビジネス、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
エタノールを微生物で生産する「バイオリファイナリー」技術を積水化学工業が確立した。
原料となるゴミを一切分別せずにエタノールに変換でき、「都市」のゴミは「油田」に変わる。
2019年度から実用プラントの稼働を計画しており、原油に依存しない未来に一歩近づいた。
(日経ビジネス2018年1月15日号より転載)
・・・・・・・
>>> 捨てればゴミ、生かせば資源──。
日本人の多くが知っているこの標語には2つの意味がある。
まずは戒め。
資源に乏しい日本では原材料を輸入に頼っている。
だからこそ、モノを大事に使わなければならないという意味だ。
・・・・
もう一つはゴミを資源として使うのは極めて難しいという現実を示している。
昭和の時代から唱え続けられてきた標語が、平成の30年になっても”現役”であり続けるのは、何十年という歳月を費やしてもそれが実現できていないからだ。
この常識が近い将来、覆るかもしれない。
ゴミを”まるごと”エタノールに変換する技術を積水化学工業が確立したのだ。
家庭などから回収したゴミを競争力のあるコストでエタノールに転換できたのは世界で初めて。
同社の上ノ山智史取締役専務執行役員は2017年12月の発表会で「次代に残すべき技術を開発できた」と胸を張った。
・・・・
確立したのは微生物を使ってゴミからエタノールを生産する「バイオリファイナリー」と呼ぶ手法だ。
これまで、焼却や埋め立てで処分していたゴミ。
これを微生物に”食べさせる”ことで化学品の原料にできれば、海外から原油を輸入しなくても日本国内で新しいサプライチェーンを構築できる。ゴミを吐き出す都市が「油田」として生まれ変わる可能性が見えてきたのだ。
お酒の成分として有名なエタノール。
実は、全化学品の6割を占める「エチレン」と似た構造を持っているため、エタノールは工業原料として広く活用できる。
水道用配管や住宅資材などでプラスチックを多く利用する積水化学にとっても、身近な原料だ。
・・・・
開発に乗り出したのはちょうど10年前の08年1月。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所で原油先物相場が史上初めて1バレル 100ドルの大台を突破したことがきっかけだ。
エタノールは一般的に、原油を精製したナフサを原料とし、「オイルリファイナリー」というプロセスで製造する。
調達コストが高騰すれば、プラスチック製造を祖業とする積水化学のビジネスが根底から揺さぶられる。
上ノ山氏は「社運を賭けた研究開発プロジェクトだった」と振り返る。
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注目したのはゴミだ。
日本国内で排出される可燃ゴミは年間6000万トンで、カロリー換算で約200兆キロカロリーに達する。
日本でプラスチック生産に使われる化石資源(約150兆キロカロリー)を補って余りある量だ。
しかもゴミは、人間が生活している限り、毎日安定して生み出される。
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>>>微生物がゴミを食べてエタノールを作る
●積水化学工業が開発したプロセスの特徴
ゴミをまるごとエタノールに変換
可燃性ゴミなら分別することなく、高い変換効率でエタノールを安定製造する技術を確立した。
米ランザテックの微生物を活用
エタノールの世界市場は年11兆円
食品や工業用原料として使われるエタノールは国内だけでも年75万キロリットルの需要があり、世界の市場規模は11兆円
二酸化炭素の排出を大幅削減
ゴミ焼却時とエタノール製造時に発生する二酸化炭素を大幅に削減できる。
化石資源の依存度を減らせる
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>>>ゴミを蒸し焼きして「ガス化」
問題は極めて不均質であること。
家庭から出される一般廃棄物には生ゴミ、紙類、ビニールなど雑多なものが入り交じっている。
しかも季節や場所によってゴミの成分や組成は大きく変動する。
このため資源として十分に活用できずにいた。
結局、自治体がゴミを回収しても、埋め立てるか焼却処分するしかなかった。
無論、ゴミを有効活用しようとする試みはこれまで様々あった。例えば、日立造船は11年度から熊本大学などと共同で、家庭ゴミの中から生ゴミと紙ゴミを選別し発酵処理によってエタノールを生産する実証実験に取り組んでいる。
しかし、ゴミの選別コストが高いため、実用化できていない。
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他にも農業廃棄物からエタノールを生産する研究開発は海外でも行われているが、こちらも実用化にはほど遠い。
種々雑多なゴミの中から工業原料として使えるゴミだけを分別して収集すると、割が合わなくなるからだ。
積水化学はゴミを分別する手間を省くため「ガス化」に着目した。
ゴミを低酸素状態で蒸し焼きして、分子レベルにまで分解していく。
これにより家庭用の一般廃棄物や産業廃棄物も含め、可燃性ゴミなら大半を「一酸化炭素」と「水素」に変換できるようになった。
ガス化プロセスは既に国内で普及しており、焼却効率を高めるため全国のゴミ処理施設の1割に採用されている。
・・・・
一酸化炭素(CO)と水素(H2)が作れれば、あと一歩。
高温・高圧の環境で金属触媒と反応させれば、エタノール(C2H5OH)を製造できる。
ただしここで新たな問題が生じる。
多大なエネルギーを投入しなければならないので、経済的に見合わない。
そこで積水化学は発想を転換。
微生物の”エサ”として一酸化炭素と水素を用い、その代謝物としてエタノールを得ることにした。
酵母でコメを発酵させて日本酒を造る仕組みと同様だ。
苦労したのは最適な菌株を探し出すこと。
世界中の大学や研究機関からエタノールを生成する微生物を独自に取り寄せ、評価を繰り返した。
・・・・
>>>10倍速くエタノールを生産
最終的に米バイオベンチャーのランザテックが保有する微生物を選んだ。
自然界から単離された微生物で、パン酵母などと同様に安全性が高い。
一般的なエタノール生産菌と比べて10倍以上も速く、効率的にエタノールを生産できることが決め手となった。
積水化学には、遺伝子組み換え技術で微生物を改変する選択肢もあった。
生産効率が0.1%上がるだけでも工業レベルでは意味があるからだ。
だが、遺伝子を組み換えた微生物が万が一、プラント外に漏れ出した際のリスクも考慮した。
「プラント周辺の住民感情にも配慮して、開発段階から最終ゴールを意識してきた」と上ノ山氏は語る。
ただし、微生物ならではの問題がある。
多様なゴミをまるごとガス化して分別コストを圧縮するのが積水化学の強みだが、それと引き換えに、ガスには多くの夾雑物が残ってしまう。
微生物のエサに夾雑物が混じっていると、エタノールの生産効率が落ち、最悪のケースでは微生物が死滅してしまう。
・・・・
そこでフィルターや触媒などを使って夾雑物を除去するプロセスを構築した。
積水化学は詳細を明らかにしていないが、5~6段階のプロセスを経て400種の夾雑物をほぼ取り除くことに成功した。
最適な条件を探し出すのに60回以上も試行錯誤を繰り返した。
ゴミの組成は毎日変わる。
ガス化して生成する一酸化炭素と水素の割合や、夾雑物の種類や量も変動する。
そこで微生物の状態を外部からリアルタイムに監視して、最適な状態を保つ制御技術も確立した。
微生物が弱ってくると“栄養剤”を投入して、再び活性化することもできるようになった。
・・・・
純度の高いエサと栄養剤を供給することで、微生物の反応速度を高レベルで維持できる。
独自のガス精製・管理技術により連続生産が可能になったことが、大きなブレークスルーになった。
関連する特許も既に取得している。
・・・・
14年からは実証実験にも取り組んだ。埼玉県寄居町にゴミ処理施設を有するオリックス資源循環と協力して、年間20キロリットルの生産能力を持つパイロットプラントを併設。
3年間、周辺の家庭から収集したゴミでエタノールを生産した結果、品質や生産効率そして安定性など、事業化に必要な条件をクリアできた。
工業用エタノールの市場価格は1リットル当たり90~140円。量産が進めばナフサ由来のエタノールと遜色ないレベルまで、価格を引き下げられる見通しだという。
・・・・
エタノールの世界市場は年11兆円規模とされる。
だが、積水化学が見据えるのはさらに先だ。
炭素数が「2」のエタノールを脱水反応させると、同じ炭素数を持つエチレン(C2H4)になる。
このエチレンはポリエチレンやポリ塩化ビニールなど各種のプラスチック材料となり、ここからさらに約2万種類の製品が生み出される。
これらは自動車部品や電子材料などとして、世界の産業界に必要不可欠な存在だ。
エチレンだけではない。
使用する微生物など条件を変えて、炭素数が3つの「イソプロパノール」や5つの「イソプレン」を製造できれば、生み出せる化学品の幅はもっと広がる。
積水化学は既にその研究にも着手している。
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輸入に頼らず日本国内で循環させる
●エチレンを出発物質とした様々な化学品
1000億円事業に育成する;30カ所の更新需要を狙う
●積水化学のバイオリファイナリー事業の展望
国内ではこれまで、主にナフサからプラスチックを製造してきた。
ここで使われる年間約3000万トンのナフサをゴミで置き換えるだけでも、経済効果は莫大だ。
国富の流出を抑制できるうえ、エネルギー安全保障の面でも有利に働く。
・・・・
さらに技術が進化すればゴミ由来の都市油田を活用して、日本が化学品の輸出国になることも夢物語ではないだろう。
化学品全体で見ると、世界市場は50兆円を超える。
二酸化炭素(CO2)の排出量を大きく減らせるのもメリットだ。
ゴミに含まれていた炭素をエタノールという形で再利用できるのに加え、製造時やゴミ焼却時のCO2排出も抑制できる。
今後の課題は、ゴミの回収を担っている自治体との連携だ。
日本にはゴミ処理施設がおよそ1200カ所あり、毎年30~40カ所で設備が更新されている。
処理施設の更新時期に合わせて、エタノール化施設を併設できるかどうかが普及のポイントとなる。
積水化学は19年度にも初の実用プラントを稼働させる計画だ。
その際、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)方式で自治体やプラントメーカーも巻き込み、費用を分担するスキームを思い描いている。
エタノールなどを売って得た収入を出資者でシェアすることで、自治体の設備投資負担を軽減できるとしている。
積水化学はバイオリファイナリー事業の売り上げを25年に100億円、34年ごろには1000億円とする計画を描いている。
平成の次の時代に、ゴミを本当に資源として生かせるか。
積水化学の底力が試されている。(坂田 亮太郎)
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https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226265/040600249/
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記事の中では、2030年までにGHG排出半減、2050年までにGHG排出ゼロ、を頬とんど気にしていない、現在と同じ社会が運営されているという背景を考えているとしか思えない。
まるで新しい社会にならなければ、そんな「カーボンゼロ」の社会はあり得ないのですから、そこではメタノールの一大需要はほとんどないでしょう。
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兎に角、2050年の世界のあり様の漸近線を見すえた議論をしないといけないでしょう。
では、草々
2023-4-19
森下克介
Posted by もりかつ at 09:54│Comments(0)