2022年06月30日

「世界の原発増加という悪夢」をIEAが考えはじめた

前略
IEAが、将来に向けた必要原発数を議論している。

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ーーーーーIEA、原子力投資「3倍」必要 脱炭素・エネ安保に貢献ーーーー
                  2022年6月30日 、日経、
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【マドリード=竹内康雄】国際エネルギー機関(IEA)は30日、原子力の役割を分析した報告書を公表した。
2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標は「原子力なしでは困難」と指摘し、エネルギー安全保障の観点からも原子力の活用が化石燃料への依存を減らすと評価した。
50年までに「実質ゼロ」を達成するには、原子力への投資を足元の3倍超に引き上げる必要があると試算した。
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世界のエネルギー供給に占める原子力の割合は20年で5%。IEAによると、32カ国で413ギガワットの容量がある。
IEAのシナリオでは、50年に排出を実質ゼロにするには、原発の容量を倍増させる必要がある。
・・・
そのためには、投資額は10年代では年間300億ドル程度だったのを30年までに1000億ドルに引き上げ、50年までは800億ドル程度を維持する必要があるとする。
同じシナリオでの再生可能エネルギーの必要投資額は30~35年で年1.3兆ドルとはじいている。
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足元では、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、エネルギーの供給不安が拡大。
ドイツはロシア産ガスの輸入減少に備えて石炭を拡大する準備に入った。
オランダやポーランドでも同様の動きがある。
だが石炭は二酸化炭素(CO2)を多く排出する。
原子力の活用は化石燃料の依存を減らす意味もあり、エネルギー安保の改善に貢献する。
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もっとも、原子力にはコストの問題がある。
足元の事例では先進国では1キロワットあたりの建設コストは9000ドル。
これを他のエネルギーとの競争力の観点から、30年までに5000ドルに減らす必要があるという。
具体策として同じ設計で、同じ敷地内に複数の原発を建設することなどを挙げた。
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安全面への懸念もあり、2011年の東京電力・福島第1原発の事故以来、先進国での建設は停滞しているのが実態だ。
17年から建設が始まった世界の原発31基のうち、27基が中国とロシア製だった。
は国内を中心に建設し、ロシアは輸出で成果を上げている。
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中国やロシアが予算、工期ともにおおむね予定通りに進んでいるのに対して、フランスやフィンランドでは、大型炉の建設が大幅に遅れ、コストも膨らんでいる。
IEAは先進国が市場の主導権を失っていることに懸念をにじませた。
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IEAは原発を活用する政策として、既存原発の稼働期間の延長に加え、水力や原子力など低炭素で安定して発電できる電源を対象とした電力市場を整備するよう提言した。
より安全とされる小型原子炉の開発にも力を入れるよう促した。
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日本では原発の再稼働が進んでいないが、IEAは「原発の再稼働が早まれば、欧州やアジア市場で必要とされている液化天然ガス(LNG)を(他国が)確保できる可能性がある」と分析した。
足元で問題になっている電力不足の解消にもつながる可能性がある話題です。

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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR29DRD0Z20C22A6000000/
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こんな話になると、世の中は昔通りの明日ということで、全く変わらないということと思いきや・・・、原発電力が頑張っても課題は残る。
    「電力化率」とは最終エネルギー消費に占める電力消費量の割合を指す。
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此処に示す「電力化率」は、日本で約40%と言われます。
今用いられている、約60%分のガソリン等の分はそのまま残っています。
更に、その車両などを製造したり、メンテナンスしたり、廃棄するための「仕事」があります、これらは全てCO2排出源ですから、このあたりの始末のめども立てなければなりません。
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此処に水素やアンモニアなどが出てくることになるのでしょうか?
そう言えば、ガソリン車は、EVになれば電力需要が増えるだけで、原発がうんと頑張ればいいということではない。
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「それでおしまい」ということになってしまえない。
どうも最近の議論は底が浅い。
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では、草々
森下克介

  


Posted by もりかつ at 14:41Comments(0)

2022年06月30日

「100円を稼ぐのに幾らの費用をかけるか?」そんな議論が続いている

前略
すでに、多くの路線で営業係数の大きさが話題になっています。
明治以来の日本の鉄道である。この150年に渡り検討してきた、その間には蒸気機関車の石炭産業が石油産業に変わり、いまは「化石燃料使用ゼロ」という時代を展望するというよりも、なんとか実現しなければならない世界像になっている。
今まで、よく頑張ってきたものである。
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営業係数には、減価償却込のものもあるということですが、新しいリニアなどは償却期間をどれだけのするのかでクリアできるのでしょうか?更に、中国を含む途上国と言われた国々に大型投資事業が進んでいますが、2030年には「化石燃料使用半減」の時代になるわけです、2050年には「化石燃料使用ゼロ」(ゼロカーボン)になるわけです。
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この社会の変化の先を「水晶玉」で覗けば、見えるはずです。
此処で取り上げている営業係数を下げるために必死で合理化・効率化をしていっても、先はホットハウスアースでしかないから「真っ赤に燃えている地球」しか見えないでしょう。
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冷静になって、記事を見てみましょう。

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ーーーー赤字路線、運賃値上げで「収支均衡」は可能なのかーーーーー
       JRの「営業係数」「収支率」から試算してみた
      北村 幸太郎 : 鉄道ジャーナリスト ;2022/06/30 、
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近年、JR北海道やJR四国、JR西日本などが、100円稼ぐのに必要な費用を示す「営業係数」という指標や収支率などを公表し、赤字ローカル線運営の窮状を訴えている。
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都市部に住んでいるとどうも「自分ごと」になりにくいこの問題。
ただ、現状では都市部の鉄道で稼いだお金でこれらの路線を維持しているわけで、都市部の利用者にも無関係ではない。
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そのヤバさをわかりやすく見てみようと、問題の各線区の営業係数や収支率などから、今の利用者数のままなら運賃を何倍すれば収支トントンになるのか試算してみた。
もちろん実際には乗客の利用区間などさまざまな条件があるので、これはあくまで単純計算である。
なお、算出した普通運賃では小数点以下は四捨五入、定期運賃は10円未満四捨五入とした。
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>>>黒字路線を「プラマイゼロ」にするには
都市部にお住まいの方が比較しやすいよう、まずは逆に黒字である山手線だといくらの水準で収支プラマイゼロになるのか見てみよう。
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2017年公開の梅原淳氏の記事による試算では、山手線の営業係数は53.2円。
約50円ということはおおむね今の運賃の約半額でも黒字化できるということだ。ではいくらになるか。
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これは単純化すれば「現行運賃÷(100÷営業係数)」で計算できる。
例えば、実際の初乗り運賃は136円。1カ月定期は3950円だ。これを収支プラマイゼロになるようにすると、136÷(100÷53.2)=72ということで、普通運賃は72円、定期は月2100円。いかに効率的な運営ができているかがうかがえる。
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賭け事に例えるなら、オッズ1.88倍の賭けに100%の確率で勝っている状態といえば、いかにウハウハであるかの実感が湧きやすいのではないだろうか。
もっとも、コロナ禍で利用者が減っている現状ではこの限りではない。
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続いて赤字線区を見てみよう。
ここから先はJR西日本が公表している2019年度の営業係数と収支率(2018~2020年平均)を基にピックアップした。
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まず取り上げるのが関西本線、亀山―加茂間だ。
ゴールデンウィークに筆者も乗ってみたが、そんなに利用者が少ないかというとそうでもなかった。
のどかな風景の中を走る同線は貴重な存在といえる。
かつては急行も走っていたというのに……。
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さて、同区間の営業係数は843。つまり100円稼ぐのに843円かかっている。
より具体的には、同区間は2018~2020年の年平均で収入が2.1億円であるのに対し、営業費用は17.8億円かかっており、15.7億円の赤字だという。
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では単純計算で運賃を何倍すればプラマイゼロになるかといえば8.43倍。
わかりやすいように加茂から忍者で有名な伊賀上野までの26.4kmを例にとると、現在は普通運賃510円、定期は月1万5010円だ。
これを8.43倍すると、上野―大宮間に相当する距離で普通運賃は4300円、定期は月12万6530円。
新幹線かよ?という水準になる。
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>>>潜在需要はあるかも?
同線の利用増のためには電化のうえ、湖西線や琵琶湖線のように大阪から草津線経由や大和路線経由で亀山まで新快速乗り入れといったテコ入れはできないものか。
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伊賀市の岡本栄市長は5月9日、市が名古屋―伊賀間を走る高速バスと近鉄の利用状況に基づいて試算した結果、名古屋行きの乗客で年間片道約3万人を取り逃がしていると述べ、潜在需要を掘り起こすべく、JR西日本だけでなく関西線の亀山―名古屋間を管轄するJR東海とも連携し、名古屋、加茂両方面と伊賀鉄道上野市駅を乗り換えなしで結ぶ直通列車運行の実証実験を提案したという。
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次いで、関西本線と同じく「幹線」である山陰本線も赤字区間が目白押しだ。
城崎温泉―浜坂間の営業係数は1025で、収入は1.3億円、営業費用は13億円で赤字は11.7億円だ。
城崎温泉駅からお隣、玄武洞駅までの4.3km(新宿〜池袋間に相当)は190円、定期は月5600円。
これを営業係数100に持っていくには運賃約10倍!1950円といえば相生から大阪までの運賃に匹敵する。
定期なら月5万7400円である。
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次は営業係数3431というすさまじい数字の大糸線・糸魚川―南小谷間だ。
同区間は年平均2000万円の収入のために6.3億円を要している。
糸魚川からフォッサマグナミュージアム最寄りの姫川までの3.2kmだと、現在の普通運賃は190円、定期は月5940円だ。
プラマイゼロにするために34.31倍してみると、なんとたった1駅(新宿―渋谷間の距離に相当)で普通運賃は6520円。
定期は月20万3800円、人によっては月給に迫る勢いだ。
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最後に取り上げるのはもっともすさまじい区間、芸備線の東条―備後落合間だ。
同区間の営業係数はなんと26906。つまり100円稼ぐのに2万6000円かかる。
年平均収入100万円に対し営業費用は2億2000万円だ。
ここまでいくと、やめてくれ!というレベルまで引き上げないと黒字にならない。
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営業係数100にするには単純に言って269倍。
初乗り運賃の備後落合―比婆山間5.6km(上野―新橋間に相当)は普通運賃190円なので、これを269倍すると普通運賃はなんと5万1110円。
普通はオレンジ色の小さな切符に「〇〇から150円区間」などと書かれているところ、「備後落合から51110円区間」という切符になってしまうという恐ろしさだ。
定期券を269倍すると、なんと1駅1カ月でお値段なんと159万7860円。
1カ月分の給料どころの騒ぎではない。経理が悲鳴の大合唱だ。
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>>>都市部の利用者にも他人事ではない
いかがだったであろうか。
都市部に住んでいると赤字ローカル線問題なんて自分たちに関係ない、と思う人は多いだろう。だが、毎年何億円もの赤字を出している路線があり、その赤字は事実上、都市部に住んでいる人が負担しているとすれば他人事ではなくなるのではないだろうか。
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今年3月には野村総合研究所が、2040年にJRが黒字を維持するには全体で1.1~1.6倍までの運賃値上げが必要との試算を発表した。
全体で1.5倍とするならば、山手線や大阪環状線でも1駅乗るだけで200円程度の運賃負担を求められることになる。
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公的費用を投じるといっても財源には限りがある。
無理にでも資本を投下して鉄道を残すのか、それとも別の方法で地域の交通を維持するのか。
ここで出した数字はあくまで単純計算だが、本稿が都市部の方々にも赤字ローカル線問題に関心を持つきっかけとなれば幸いである。

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https://toyokeizai.net/articles/-/600217
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「地球は青かった」というのは昔話です。
もう今は、あちこちの砂漠化などで、「地球は茶色だった」と火星と間違う時代が目の前に来ています。
更に金星の様になれば「地球はプラチナ色だった」ということになるはずです。
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プーチンさんが、手持ちの弾薬を使い切って、更に核爆弾を使用し始めたら、大量のGHGが地球を覆ってしまい、プラチナ色の美しい星になるしかないでしょう。
・・・
人類は知恵があると自画自賛しているようですが、目先の中世の陣取り合戦の域から出ていないとしか言えないでしょう。
本当の知恵のある人類は、別の人類だったのでしょう。
時代が変わります、別の人類に地球を明け渡すためには、キチンと掃除して綺麗な状態で明け渡したいものです。
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その為にも、「産業革命以前の生活」に相当する社会にしなければならないのです。
もう鉄道(2本の鉄路で大きな鉄の箱を運ぶ)は、石炭エネルギーの時代と一緒に過去のものでしょう。
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では、草々
2022-6-30
森下克介
  


Posted by もりかつ at 06:53Comments(0)

2022年06月29日

気候危機のシュミレーション結果」見通しは恐ろしい

前略
國際共同研究チームの結論が、
「GHG排出削減を「強く」すすめた場合でも、今後数十年の内に、従来の記録を超える間伐が常態的になる地域が複数カ所出てくると」いうことです。
・・・
今から頑張っても間に合わないかもしれない・・・?

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ーーーーーー温室ガス削減でも異常な干ばつが常態化か、一部地域で予測ーーーーー
    by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan];2022年6月29日
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国立環境研究所、東京大学、韓国科学技術院などの国際共同研究チームは、過去最大を超える干ばつが何年も継続して起こるようになる時期を、初めて推定した。
地中海沿岸域や南米南部など特定の地域では、今世紀の前半もしくは半ば頃までに、過去最大の干ばつを少なくとも5年以上継続して超える時期を迎え、「これまでの異常」が珍しいものではなくなる可能性が高いことが分かった。
・・・
研究チームは、文部科学省の「温暖化影響評価モデル比較プロジェクト」において、世界の研究グループが計算した水文シミュレーション・データセットを用い、1861年から2099年の全球河川流量データを解析。
4つの気候モデルによる将来気候予測に基づいて、流域を元に定めた全球59地域について、河川流量の変化に注目して年間干ばつ日数の将来変化を調べた。
・・・
その結果、温室効果ガスの排出削減を強く進めた場合でも、今後数十年のうちに従来の記録を超える干ばつが常態的になる地域が複数あることが示されたという。
一方で、温室効果ガスの排出削減を進めた方が、継続的な記録超えを迎える時期が遅くなる、もしくは継続時間が短くなることも示された。研究チームによると、これらの結果は、脱炭素社会の実現に向けた緩和策推進の重要性とともに、特定の地域では今後数十年程度の間に適応策を効率的かつ迅速に進める必要性を示しているという。
・・・
同研究の成果は、2022年6月28日付で学術誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。

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https://www.technologyreview.jp/n/2022/06/29/279513/?utm_source=MIT%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8E%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC+-+%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%83%BC&utm_campaign=1e9b519409-NewsLetter_TheDaily&utm_medium=email&utm_term=0_6f0fb6e76b-1e9b519409-194497713&mc_cid=1e9b519409&mc_eid=a30e82edf2
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研究成果が公表されているとのことですが、一般のメディアには出てきません!!
「気候危機」の恐ろしさを感じない人ばかりなんでしょうか?
メディアが話題にするのには、コメントが書けない??
後ろ向きの議論(?)になるので、記事にしにくい?
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ロシアのプーチンさんの評論をしているのが当たり障りないし、井戸端会議的で記事には最適?ということなんでしょうか?
まだ、「財政大赤字」の議論も煮詰まってきている感じですが、世界が一緒になって金利を上げたくても上げられない・・。
これも議論しにくい・・。
メディアが何を考えているのか、参院選の盛り上がりに欠ける議論を放置しているメディアです。
どれ一つ取っても大議燐になるはずです、どうして魏路音を始めないのでしょうか??
今のメディアへの苦情ばかりです。
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日本だけでなく、世界中がこのままであれば、とんでもないことになる・・・。
では、草々
2022-6-29
森下克介
  


Posted by もりかつ at 11:25Comments(0)

2022年06月28日

「送電網・配電網の畜エネ」のあり様を、2050年から見返す

前略
送電網に、揚水発電に変わる蓄電システムの必要性が見直されなければならない。
多様なシステムが考えられる。
経済性や耐久性を考え、更にこれからは地域主体の経済圏・自治州での配電網を考えなければならない、それ以上に各戸での自給自足を基本とし地域でバックアップする電力系・エネルギー系をキチンと吟味した上で、当面の送電網への応用という視点が必須用である。
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やはり蓄電・放電には「キャパシタ型」が良い。
更にエネルギーシステムとしての水素蓄積・活用(小型の汎用水素エンジン)も合わせたものでなければならない。

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ーーーーー送電網向け蓄電池は「需給ひっ迫」の危機を救えるか?ーーーーー
       by Keiichi Motohashi;2022.06.15;MIT,
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太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの多くは、自然条件に左右される。
化石燃料のように必要に応じて発電できるわけではないため、電力の安定供給には今後、蓄電システムの重要性が増してくる。
世界の潮流が脱炭素へと向かう中、日本の蓄電池の現状を整理していく。
・・・・・・・・・・・
2022年3月22日、経済産業省は東京エリアと東北エリアに電力需給ひっ迫警報を初めて発令した。さまざまな要因が重なり、電力需要が供給を上回る可能性が予想されたためだ。
直接的な要因は、3月16日に発生した福島沖地震の影響などで火力発電が停止していたことに加え、3月22日の天候が厳しい寒さとなったことによる。
当日は東京でも雪が降るといった状況で、3月下旬としては、東日本大震災以降、最大級の電力需要となった。
・・・・
>>>世界を変える10大技術 2022年版
この記事はマガジン「世界を変える10大技術 2022年版」に収録されています。
>>マガジンの紹介
ただ、実は、要因はこれだけではない。
2016年4月の電力小売全面自由化以降、東京電力グループなどの旧一般電気事業者は、電力需給ひっ迫時のみ運転していた老朽火力発電所の休廃止を進めてきた。
採算が取れないことがその理由だ。
結果として、冬期は電力需給が厳しくなる。
同時に、変動する再生可能エネルギーの発電に対する調整力が不足することにもつながる。
・・・
3月22日は需給がひっ迫し、危険な状況であったにもかかわらず、結果として停電は回避された。
東京スカイツリーの消灯に代表される大規模な節電など、あらゆる手段を取ることで危機を脱した。
この日、フル稼働したのが、揚水式水力発電(揚水発電)だった。
揚水発電とは上池と下池の2つを利用し、電気で水をくみ上げて上池に蓄えておき、電力が必要なときに下池に水を放流することでタービンを回して発電するというものだ。
今回は需給ひっ迫の前日までに水をくみ上げ、翌日に備えていた。
・・・・・・・
   欧米では揚水発電が多くないため、蓄電システムの必要性は高い。
   米国は送電網向け蓄電池の導入が進んでいる国だが、中でもカリフォルニア州が群を抜いている。
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現在の日本では、大規模な蓄電システムとしてこうした揚水発電が活躍している。
しかし、再生可能エネルギーの蓄電システムとして、新しい揚水発電所を作ることは難しい。
コストは大きな理由だが、それだけではない。
蓄えたエネルギーのおよそ3割が失われるという非効率性もある。そして何より大規模な自然環境の破壊を伴うという問題がある。
したがって、揚水発電に取って代わる蓄電システムの開発が、これから必要になってくるわけだ。
>>>再エネ拡大に蓄電システムが必要な理由
経済産業省の試算によると、2030年に46パーセントの温室効果ガス削減を実現するためには、2030年までに100ギガワットの太陽光発電所の新規開発が必要だという。
国内に導入済みの太陽光発電設備がおよそ50ギガワットなので、導入量が現在の2倍以上に増えることになる。
問題は、再生可能エネルギーが拡大するにしたがって、発電量の変動を調整する仕組みと、再生可能エネルギー由来の電気を必要時に使えるようにする仕組みがいずれ不可欠となることだ。
・・・
上のグラフ(省略します)は、天候によって太陽光発電の発電量の変化がどうなるかを示したものだ。
もちろん、需要側も同様に変動しているし、近年は過積載率が上がっており、日中の変動が抑制されている。
ちなみに、「過積載」とは交流側の発電容量に対し、直流側の太陽光発電パネルを過剰に設置することをいう。
たとえば、100キロワット分の発電パネルを設置し、出力を50キロワットにした場合、過積載率は150パーセントとなる。過積載率を上げると、日中の発電量は安定したものになりやすい。加えて、今のところ、火力発電所の発電機(回転体)の慣性力による出力調整が変動を吸収していることもあり、全国的に見ればすぐにでも大規模な蓄電システムが必要な状況には至っていない。
それでも、北海道エリアでは北海道電力が再生可能エネルギーの出力変動を緩和することを発電事業者に求めており、実際に大規模な蓄電設備を併設したメガソーラーが建設されている。
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今後、太陽光発電が増加していけば、発電所の出力変動幅は大きくなり、日中は電気が余り、夜間は電気が不足する事態に全国的に陥ることは間違いない。
この傾向は年々強まっており、新電力会社などの電力調達先である卸電力取引所におけるスポット市場の取引価格は、日によって極端な価格変動が発生している。
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昼夜で価格変動差が大きく開くと、日中の電気を蓄電し、夕方や朝方に売ることについて、経済性が見込まれるようになってくる。
同時に、出力変動を吸収する仕組みの需要も高まる。
送電網向け蓄電池(専門的には「系統用蓄電池」と呼ばれる)のニーズが今後高まってくる背景には、こういったことがある。
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こうした状況を踏まえた上で、日本では蓄電池を活用した事業について、政府・経済産業省は支援を強化しており、とりわけ送電網向け蓄電システムについては、電気事業法の改正によって、10メガワット以上の施設を発電所として取り扱うこととなった。
・・・・
>>>米国で先行する送電網向け蓄電池
日本の今後について考える上では、先行している米国の事例が参考になる。
再生可能エネルギーの導入が進む欧米の地域の多くでは揚水発電が少ないため、送電網向け蓄電システムのニーズが早い段階で高まっている。
中国やインドなどアジア地域ではまだまだ揚水発電を開発する余地があると言われているが、それでも国際エネルギー機関(IEA)のレポートでも示されているように、今後、蓄電システムをリードしていくのは、揚水発電ではなく蓄電池だ。
同レポートでは2020年時点での世界全体の蓄電容量は9.6ギガワットに留まっているが、2026年には6倍以上に伸び、60ギガワットを超えると予測している。
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   日本の揚水発電の設備容量は、欧米の蓄電池よりもはるかに大規模。
   これが日本で送電網向け蓄電池の導入が急がれていなかった理由の1つとなっている。
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米国は送電網向け蓄電システムの導入が進んでいる国だが、特に太陽光発電が普及しているカリフォルニア州は群を抜いている。
2022年3月末のカリフォルニア州の導入済み太陽光発電設備は12.196ギガワットで、電源構成に占める割合は現在の日本に近い。
にもかかわらず日本ほど揚水発電が多くないため、蓄電システムの必要性は高い。
カリフォルニア・エネルギー委員会(CEC)によると、カリフォルニア州の電力市場で送電網向け蓄電システムが設置されるようになってきたのは2018年からだが、2020年後半から急速に拡大した。
エネルギー専門ニュースサイト「エナジー・ストレージ・ニュース(Energy Storage News:ESN)」によると、2022年3月末にはおよそ2.7ギガワットにまで拡大しており、2022年夏までには4ギガワットに達するとの予測もある。
この数字には需要側や発電所併設の蓄電池は含まれていない。
・・・
カリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)によると、2022年2月の時点で、日中に発電された電力のうち1日当たり6ギガワット時もの発電量が、蓄電システムを使って一時的に貯蔵され、夕方以降に利用されているという。
時間帯によっては、電力の10パーセントが蓄電システム由来ということにもなる。
供給を安定させるだけでなく、これによってカリフォルニア州の電力市場価格の急上昇を抑制することに役立っている。
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とはいえ、まだまだ蓄電所は不足しており、今後の電気自動車(EV)の増加を考慮すると、2045年までには49ギガワットが必要になるというのが、CECの予測だ。
つまり、これから毎年およそ2ギガワットの設置が続くことになる。
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現時点の最大の蓄電所はビストラ(VistraCorp)がカリフォルニア州のモスランディングに設置した、出力400メガワットで蓄電容量1.6ギガワット時という規模の蓄電所だ。
さらに出力350メガワットで蓄電容量1.4ギガワット時の蓄電所を追加することも発表している。
この施設がユニークなのは、モスランディング発電所内の火力発電設備の跡地を利用していることだ。
まさに近年の電力システムの変化を象徴していると言えるだろう。使用されているのは、LGエナジー・ソリューション製の蓄電システムだ。
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米国エネルギー情報局(EIA)は、2023年までに全米で10ギガワットの送電網向け蓄電池が導入されると予測している。そのうちおよそ半分がカリフォルニア州での導入とみられている。
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次いで導入が拡大しているのが、テキサス州だ。
ESNによると蓄電システムの出力は1.4〜1.8ギガワットだ。
カリフォルニア州と異なり、テキサス州の再生可能エネルギーの主力は風力発電であるため、太陽光発電のように日中から夜間へ電気をシフトさせるという単純な運用にはならない。
それでも、2021年の寒波などによる電力需給ひっ迫時には役立っており、その必要性が認識されているところだ。
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送電網向け蓄電池については、日本国内では東芝三菱電機産業システム(TMEIC)、海外ではABB、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ファーウェイ、サムスン、前述のLGエナジー・ソリューションなどが製造しているが、おそらく最も注目されているのはテスラではないだろうか。
同社の蓄電システム「メガパック(Megapack)」は、1つのユニットでおよそ3メガワット時の蓄電が可能だ。
テスラによると、約3600世帯に1時間分の電気を供給するのに十分だというが、日本は米国よりも各世帯の消費電力が少ないので、その倍の世帯くらいの電力をまかなえると考えてもいい。
コンテナ型のユニットで、蓄電池とインバーターが組み合わされたものとなっており、電圧や周波数調整、電力取引市場への対応、マイクログリッドでの運用などさまざまなアプリケーションも開発されている。
米国やオーストラリアなどを中心に導入が進み、日本でも導入が検討されているという。
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メガパックの導入事例としては、オーストラリアのビクトリア州にある電力貯蔵施設「ビクトリア・ビッグ・バッテリー(VictoriaBigBattery)」が有名だ。2021年12月に運用を開始したばかりのこの施設は、メガパックを212ユニット設置し、およそ350メガワットの出力を誇る。運用しているのは、フランスの再生可能エネルギー事業者であるネオエン(Neoen)だ。実はこの施設、2021年7月のテスト運転中に火災事故が発生している。リチウムイオン電池の弱点ともいえる事故だ。その後、テスラは事故の調査報告書をまとめる一方、アプリケーションなどの改善を進め、今のところ、安全に運用しているということである。

国土の広さに対して人口が少ないオーストラリアのエネルギー事情は日本や米国とはまた異なる。再生可能エネルギーを中心とした電力システムを構築し、有り余るほどの再生可能エネルギーを利用して電力の安定供給に近づける一方、今後は余剰電力でグリーン水素やグリーンアンモニアを製造し、輸出していく計画だ。

欧州では英国やフランス、ドイツなどでも送電網向け蓄電池の導入が進んでいるが、現状は各国とも国全体で数百メガワットの規模にとどまり、本格的な拡大はこれからといった状況だ。
・・・・・・・
   再生可能エネルギーへ移行していく過程においては、送電網向け蓄電システムの存在を抜きにして、
   電力システムの安定運用は難しい。
・・・・・・・・
なお、日本の揚水発電の設備容量(出力)はおよそ26ギガワット、発電量は130ギガワット時となっており、欧米で導入されている蓄電システムよりもはるかに大規模だ。
前述のように、これが日本で送電網向け蓄電池の導入が欧米ほどには急がれていなかった理由の1つとなっている。

>>>蓄電池のコスト、多様な蓄電システム
送電網向け蓄電池の普及にあたって大きな壁となるのは、やはりコストだ。
蓄電池は米国では2015年頃から設置されるようになってきたが、EIAの報告によると、2018年の時点で資本コストは1キロワット時当たり625ドルとなっており、2015年に比べて3分の1以下となっている。
・・・
もっとも、この価格で採算がとれるかというと、まだ厳しいと思われる。
充放電回数が多く、市場における価格差が大きければ、高い利益が得られることになるが、それでも、5000回の充放電で市場価格差が5セントくらいであれば、1キロワット時当たり200ドル以下にする必要があるだろう。
・・・・
米国再生可能エネルギー研究所(NREL)のレポートでは、2020年の蓄電池の資本コストは1キロワット時当たり400ドルであり、2030年には中間値で200ドルになると予測している。
ただし、最近の報道によれば、ロシアによるウクライナ侵攻の影響などから、レアメタルなど希少金属の供給の不足が起きており、価格が下がる方向にはなさそうだ。
・・・・
日本では蓄電システムのコストはどのように考えられているのか。
2020年11月に、政府の要請で三菱総合研究所がまとめた検討会資料では、揚水発電と同額となる1キロワット時当たり2万3000円が目標とされている。
米国とほぼ同じ水準だと言える。
・・・
蓄電システムの方式としては、現状ではリチウムイオン電池が主力となっている。
また、リチウムイオン電池に限っても、正極材などの違いでいくつかのタイプに分かれている。
現在、開発が進められている全固体電池も、リチウムイオン電池のバリエーションの1つだ。
・・・・
上のグラフ(省略します)は少し古いデータになるが、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が蓄電池のタイプ別のコストの予測をまとめたものだ。
これを見ると、鉛電池の蓄電量に対するコストはリチウムイオン電池のおよそ半分で、2030年には1キロワット時当たり100ドル以下となる見通しだ。
確かにコスト面では鉛電池に優位性があるようだが、エネルギー密度の点で問題があり、実際には普及していない。
とはいえ、EV用ほど高い密度が求められないこともあり、バナジウム・レドックスフロー電池(日本では住友電気工業が扱う)のように、リチウムイオン電池以外でも期待されている技術はあり、実際に送電網向け蓄電池としてフロー電池が導入されたケースもある。
このほか、希少なリチウムの代わりに資源量が豊富なナトリウムを使ったナトリウムイオン電池の研究も進められており、他の技術が将来的に取って代わる可能性は十分にある。
・・・・
蓄電システムとしては、電池以外にも物理的なシステムの研究も進められている。
空気を圧縮してエネルギーを蓄える空気圧縮蓄電なども実証されており、導入事例もある。
大量の蓄電には向かないが、周波数調整用には、回転エネルギーで電気を蓄えるフライホイールも利用でき、カナダでは送電網向け蓄電システムとして導入事例がある。
・・・・
>>>卸電力取引市場の価格差に蓄電システムの事業機会
蓄電システムの普及は今後、日本ではどう進むか。
2021年に策定された政府の第6次エネルギー基本計画のとおりに再生可能エネルギーの導入が進むとすれば、さらに100ギガワットの太陽光発電が追加されることになる。
したがって、晴天時の日中の電気はますます余ることになり、周波数変動もより起こりやすくなる。
・・・
こうしたことから、2021年度補正予算で、送電網向け蓄電池補助事業が初めて実施された。
下の表にあるとおり1案件あたり最大25億円、補助率2分の1以下というものだが、2022年4月上旬には交付先として13案件が決定し、早ければ2023年にも送電網向け蓄電池が運用を開始していく。
上限となる25億円の補助金が交付されるのはうち3案件だが、これらはおそらく10~30メガワット級の規模となるのではないだろうか。
・・・・
では、蓄電システムの日本での市場の今後について、国内の事業者はどのように考えているのか。
石油元売りのENEOSでは、電気事業にも注力しており、蓄電池の活用をその一環に位置付けている。
全国に展開するガソリンスタンドや製油所など、蓄電池の多様な設置場所を持っていることが強みだ。
また、再生可能エネルギー導入拡大などのために、蓄電池を活用した「調整力」の確保が有効だとしており、課題はコスト低減と電力系統への接続要件の緩和などだという。
それでも、市場の拡大を見込んでおり、後述する容量市場や需給調整市場などへの活用を検討している。
・・・・
一方、大手電力会社の関西電力の場合、再生可能エネルギーの拡大に加え、火力発電の削減による需給ひっ迫時の調整力不足に対応するため、送電網向け蓄電池の活用を進めたいという。
蓄電池のタイムシフト機能や応答性の速さを生かし、多様な市場で収益の確保を進めていくことになる。
その上で、技術的には蓄電池の長期活用による劣化影響、産業構造的には蓄電メーカーは海外勢が優勢なこと、制度的には電力市場の将来の動向によって収益構造が不安定となること、などの課題があるとしている。
・・・・
最後に、日本における送電網向け蓄電池の事業機会について、まとめておきたい。
蓄電システムの収益の柱となるのは、卸電力市場での取引だ。
市場価格が安い時間帯に蓄電し、高い時間帯に放電することで、異なる時間帯での価格差から利益を出していく。
2022年4月9日の卸電力取引所におけるスポット市場の取引価格を参照すると、1キロワット時当たり0.01円で電気を買い、20円以上で電気を売ることができる。
気になるのは充放電における電気のロス(電力効率)だ。
揚水発電の場合、前述のとおり、およそ3割が失われる。
1メガワット時を充電しても0.7メガワット時しか放電できないということだ。
その点、蓄電池の充放電ロスははるかに少ない。
三菱総合研究所の調査によると、定置用蓄電池の場合、電池そのものとインバーターなどの効率を掛け合わせると、電力効率はおよそ85〜90パーセントだという。
揚水発電よりも効率がいいが、蓄電池の場合、劣化という問題もある。
売買価格差が小さい場合は蓄電池を運用しないという判断もあるだろう。
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日本には電力そのものを取引する市場のほかに、「需給調整市場」や「容量市場」といった、一般になじみのない市場もある。
・・・・
需給調整市場とは、電力の供給にあたって、需給の計画値からの変動に対応するための調整用の電力の市場だ。
火力発電の突然の計画外停止といった長時間に対応したものから、再生可能エネルギーや電力需要の急な変動による周波数変動の抑制といった短時間に対応するものまで、いくつかの商品がある。
調整力として必要な電気の量はさほど多くはないが、単価は一般的に高く、1キロワット時当たり80円程度とも言われている。
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容量市場は、将来の一定の発電容量(供給力)を確約しておくための市場だ。
電力のひっ迫を防ぐために電源をあらかじめ確保するのが目的で、必要時に放電できる蓄電所も応札できる。
2020年度のオークションでは、2024年度の発電所の確保にあたって、1キロワット当たり1万4137円となった。
2021年度のオークションではこれが急落し、2025年度向けで1キロワット当たり3495円(北海道と九州を除く)、北海道と九州は5242円となった。今後は1キロワット当たり6000円から9000円の間で上下するとみられる。
・・・・
送電網向け蓄電池は揚水発電と同様、これら3つの市場で収益を上げていくことになる。
卸電力取引市場での収益がおよそ7割、残り2つの市場で3割という割合になるのではないだろうか。
実際に欧州でも送電網向け蓄電システムの収益構造は卸電力取引市場での収入が7割以上を占めている。
・・・
ただし、これは需給調整市場が重要ではないことを意味するのではなく、そもそも市場規模が異なるということだ。
大規模な電力の日中から夕方へのシフトと比較すると、周波数の変動抑制のための電力量は小さいということになる。
いずれにせよ、安定した電源である火力発電が、変動する太陽光発電や風力発電に取って代わられていく過程においては、送電網向け蓄電システムの存在を抜きにして、電力システムの安定運用は難しいだろう。
蓄電システムの導入はまだ始まったばかりである。電池そのものの性能からコスト、運用技術まで、さまざまな課題があるが、それでもこれからの電力システムにおいては必要不可欠な存在だと言える。

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https://www.technologyreview.jp/s/278252/can-grid-storage-batteries-save-japans-power-supply-crisis/?utm_source=MIT%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8E%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC+-+%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%83%BC&utm_campaign=0481633563-NewsLetter_TheDaily&utm_medium=email&utm_term=0_6f0fb6e76b-0481633563-194497713&mc_cid=0481633563&mc_eid=a30e82edf2
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大がかりなものを考えると、重力蓄電池の応用がいろいろありそうです。
(駿河湾底に空気所蔵することで、畜エネが出来ると思う、まだまだいろんなバリエーションがあろう。)
畜エネには、電力を高温水にして保存し、バイナリーサイクルで再度発電する方式も中型大型のシステムになりうると思う。
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化石燃料使用ゼロの時代を考えれば、自給自足・地産地消の自治州を如何に成り立たせるか、寒冷地の住民には、ノマド的な生活スタイルも考えられる。
私どもの大井川自治州を考えれば、冬季には中流・下流域の生活が可能で、夏季には上流の山仕事が生活の場になるはずです。
海の仕事も季節性があるはずです。
・・・・
兎に角、2050年(2100年)の、水晶玉の世界を十分吟味して、目先の着手を行わなければならない。
では、草々
2022-6-28
森下克介
  


Posted by もりかつ at 15:49Comments(0)

2022年06月28日

「ゲノム編集」という魔法の力が動き出す

前略
生命の遺伝子が話題になってきた。
嘗ての「緑の革命」がピント外れなところがあってm非難の対象になっている実態を良く見直したうえで推進することになろう。
・・・
それにしても、一方で「人工く合成」の話題もあるが、コチラもアプローチは全く違うが苦労している様である。
まだほかにも色んな可能性がありそうである。

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---ーーーー遺伝子編集で農作物の炭素回収能力を強化するプロジェクトが始動ーーーー
               by Casey Crownhart2022.06.16;MIT,
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地球温暖化の進行を遅らせるために、二酸化炭素を大量に吸収する農作物を作り出そうとする研究が始まった。
遺伝子編集ツールのCRISPR(クリスパー)を使って光合成を微調整して植物の成長を早めたり、根系を大きく深くしたりするのだ。
・・・・
物は生来、二酸化炭素の回収工場である。
遺伝子編集によって、植物のその機能を高めることを目指した研究プログラムが始まっている。
・・・・
画期的な遺伝子編集ツールであるクリスパー(CRISPR)の共同発明者、ジェニファー・ダウドナ教授がカリフォルニア大学バークレー校に設立したイノベーティブ・ゲノミクス研究所(IGI)は、クリスパーを使って植物の二酸化炭素貯留の効率を高めることを目指す新しいプログラムを発表した。
最初のプログラムは3年間で、マーク・ザッカーバーグの財団から1100万ドルの助成金を受ける。
・・・・
気候変動の進行を遅らせるため、すでに大気中にある二酸化炭素を吸収する手段を探る科学者の取り組みが増えてきており、この研究はそのひとつである。
植物が生来備えている二酸化炭素を取り込む能力を高めることができれば、温暖化が進む世界で気温の急激な上昇を抑えるのに役立つだろう。
・・・・
二酸化炭素の回収に樹木を使おうとする人が多い中、IGIの研究は農作物に着目する。
IGI所長のブラッド・リンガイセン博士は、今回の決定に至ったのは、時間が限られていることが主な理由だったという。
樹木は寿命が長く、数十年、さらに数世紀にわたって炭素を閉じ込める可能性があるが、一般的に樹木よりも成長が早い作物を用いれば研究者は実験のプロセスを高速化できる。
・・・・
IGIの研究の主な目的は、光合成を微調整して植物の成長を早めることだとリンガイセン所長は述べる。
光合成に関係する酵素を改造することで、実際に二酸化炭素を放出するといったエネルギーを奪う副反応を抑制できると言う。
・・・・
ただし、光合成だけでは話は終わらない。
植物中の炭素は、通常、土壌微生物や動物、人間に食べられた後、再び大気中に戻るからだ。
炭素を土壌に留めておいたり、他のやり方で貯留したりすることは、まずは炭素を回収することと同じかそれ以上に重要である。
・・・
植物の根系が大きく深くなるほど、土の中に蓄えられる炭素は増えるはずだ。
植物が枯れても、一部が地中深くにあれば、その部分に含まれる炭素がすぐに大気中に戻ってくる可能性は低くなるからだ。
貯留の方法として考えられるのは、根だけではないとリンガイセン所長は言う。
植物からバイオ油やバイオ炭を作り、地中深くに送り込んで貯留することもできるかもしれない。
・・・
ミネソタ大学の遺伝子工学者で、IGIの科学諮問委員会のメンバーのダニエル・ボイタス教授は、植物を炭素除去に最適化することは容易ではないだろうと述べた。
・・・
研究者が改造を考えている植物の形質の多くは複数の遺伝子の影響を受けているため、精密な編集は難しいのではないかとボイタス教授は言う。
広範囲に研究されているタバコやイネのような植物については研究者も微調整の方法をよく理解しているが、それ以外の植物の遺伝的特徴については分かっていないことも多い。
・・・
IGIが最初に着手する光合成と根系についての研究はイネに集中するとリンガイセン所長は言う。
同時に、モロコシの高度な遺伝子編集手法の開発にも取り組む。
モロコシは主食作物の中でも、特に研究者が解明にてこずっている作物だ。
研究チームは、最終的には土壌微生物についても理解を深め、改造できるようになればと考えている。
・・・
「簡単ではありませんが、複雑さは想定内です」とリンガイセン所長は言い、気候変動に関して「植物や微生物、農業は、問題の原因というより、実は解決策のひとつになり得ます」と期待している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
https://www.technologyreview.jp/s/278315/these-scientists-want-to-capture-more-carbon-with-crispr-crops/?utm_source=MIT%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8E%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC+-+%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%83%BC&utm_campaign=0481633563-NewsLetter_TheDaily&utm_medium=email&utm_term=0_6f0fb6e76b-0481633563-194497713&mc_cid=0481633563&mc_eid=a30e82edf2
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IPS細胞議論が落ち着いてきたところである。
この「ゲノム編集」はどうして、普通の遺伝子組み換えより安心して使用できるのか・・・。
素人には分かりにくいところがあるが、最近では評価が安定してきている様なので、十分な検証の上で実行に移してもらいたい。
・・・・
「GHG排出実質ゼロ」の「実質」とは、植林などの大気中のCO2吸収作業になるわけです。
CCSなどは、出している排気煙の中からCO2を分離することになるだけなので、GHG大気中濃度の低減にはならない。
どうしても、陸地の植物と海洋の植物の力に頼らなければならない。
・・・・
穀物や野菜類・果物類であれば、良いことが重なるということでしょう。
やパリ期待します。
では、草々
2022-6-28
森下克介
  


Posted by もりかつ at 14:10Comments(0)

2022年06月28日

「日本のゼロエミッション車」を世界が理解するか

前略
「日本のゼロエミッション車」の議論で、ある。
どうしても腑に落ちない。
「日本の自動車産業が、日本の雇用を作っている!!」
だから、EV車に変わってしまったら雇用が守れない!!
ハイブリッド車を作っていれば、現在の雇用が維持される!!
という論法ではないかとしか思えない・・・・。

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---ーーーG7声明草稿、日本が修正を提案 「ゼロエミッション車の普及目標」削除を要求ーーーー
         2022年6月27日、ニューズウイーク、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ドイツで開かれている主要7カ国(G7)首脳会議の声明草稿から、二酸化炭素(CO2)を排出しない「ゼロエミッション車」の普及目標を削除するよう日本が求めていることが分かった。ロイターが草稿を確認した。
・・・・・・・・
ウクライナ情勢や食料・エネルギー供給について話し合う首脳会議は、気候変動も主要テーマとして議論している。
・・・
日本は声明の草稿にある「2030年までにゼロエミッション車の新車販売比率を少なくとも50%に引き上げる」という文言の削除を提案。
代わりに「この目標に近づくためにG7各国が採用している様々な道筋を認識し、ゼロエミッションの小型車の販売とシェアを大幅に増加させる」という抽象的な表現に変えられないか打診した。
・・・
事情に詳しい関係者によると、日本は実際にこの修正を提案した。
最終案にどう反映されるかは現時点で分かっていない。首脳会議は28日まで。
・・・
ロイターは日本の外務省にコメントを求めたが、現時点で回答を得られていない。
・・・
複数の関係者によると、日本は5月末に開かれたG7の気候・環境・エネルギー大臣会合の声明でも、2035年までにG7各国内で販売される新車をすべてゼロエミッション車にするという目標の記述を削除するよう提案した。
・・・
最終的に声明は2035年の目標には触れず、「排出ゼロの公共交通機関及び公用車を含む小型車の排出ゼロ車両の販売、割合、及び導入を相当に増加させること」などで、「2030年までに高度に脱炭素化された道路部門にコミットする」となった。
・・・
欧米や中国メーカーが純粋な電気自動車(EV)に舵を切る一方、日本は内燃機関とモーターで動くハイブリッド車(HV)も「電動車」に含めている。水素やバイオ燃料などと組み合わせれば内燃機関も脱炭素技術として活用可能で、充電インフラなどが整っていない国や地域には必要だとしている。
・・・
岸田文雄政権が今月7日に閣議決定した経済・財政運営の指針「骨太の方針」は、与党・自民党が日本自動車工業会(自工会)に配慮して文案を修正し、HVも電動車に含まれることを明確にしたことがロイターの取材で明らかになっている。
(山崎牧子、Kate Abnett 取材協力:竹中清)

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https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2022/06/g7-31.php
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最大ん課題は、
「「ロイターは日本の外務省にコメントを求めたが、現時点で回答を得られていない。」」
ということである。
・・・・
国際会議で、それも世界中がどうしようか迷っている最大の課題である。
それに、日本が提案をした!!ロイターがコメントを求めたが外務省の回答がない!!!!
・・・・
これじゃ、日本は何をやっているのかわからない。「岸田首相の面目丸つぶれである!!!」
誰がこの状態を作ったのか!!!!!
「ハイブリッド」を主張するのはトヨタしかない!!!
・・・
「気候危機」対策は、「少なくとも化石燃料使用をやめること、で人類が生き延びられる」そういうことであろう・・・・・。
「EV対HV」の議論ではない。
トヨタは「自社の金儲けだけが、マーケティング」と勘違いしているとしか見えない!!
本来の目的のための思考がない!!!  「公器としての企業」という理解が出来ていない。
その上、日本そのものの顔に泥を塗っているということである。
・・・・
EV化とは、「化石燃料を使わないという一点から、もう自動車をやめなければならない!」という主張を意味しているのである。
新しい地球人類は、化石燃料を使わずに生きる道を探して、その中で生きていく道を歩む。
そのための、豊かさの定義は全く違うはずである。
・・・
「人類が、生きていくこと時代が不可能である」と言っている。「得意の改善で乗り切れる」ということか???
チョット、地球と人類の関係を甘く見ているのではないでしょうか???
車なんか作っている時代ではない!!リニア新幹線は要らない!!!MRJは止めた!!!
原発だって夜宴なければならない!!!
そんな世界をどうして生きていけるのか???
それを考えて、日本人だけでなく、世界中の人間・生態系が生きていく算段をしなければならない!!
・・・
そんな時に、G7の会議で何を言わせるんでしょうか(回答もできない)???
・・・
では、草々
2022-6-28
森下克介
  


Posted by もりかつ at 06:53Comments(0)

2022年06月23日

「石炭紀」に思いをはせると

前略
石炭の話題です。
昨日TV録画を見ていて、真菌の話題の中で、石炭紀にはリグニンを分解できるものがまだ存在していなかったので、シダの堆積物が石炭になった、とのことでした。
石炭紀は、大量のCO2を吸収して、気温も下がったようです。
・・・・
一方でアイルランドの話題がありました。カソリックの人口増加の圧力は移民を送り出したということです。
イギリス本土への移民やアメリカのマンハッタン島への移民などの話題がありましたが、当時は森林だったということですが、人類は森を開拓して(CO2吸収源を破壊して)増殖して来たということです。(バッタの大群を連想します)

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ーーーーー石炭が生成される過程とその時代についてーーーーー
          二宮書店;Q&A,
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Q;石炭が生成される過程とその時代について教えて下さい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
石炭の主な起源は,陸上植物の遺骸が腐りきらずに積み重なってできた泥炭だと考えられています。
泥炭層が地表で形成されたのち,地殻変動と堆積作用によって地下深くに埋没すると,地熱と圧力により,長い年月をかけて泥炭~褐炭(かったん)~瀝青炭(れきせいたん)~無煙炭の順に石炭化が進みます(図1)。
・・・
そのうち炭田として開発できるのは,いったんは地下で長い時間を経て石炭化した地層が,その後の隆起と侵食により採掘可能な深さまで戻ったところです。
なお,発熱効率のよい瀝青炭や無煙炭が,石炭の主用途である発電や製鉄に用いられます。
石炭は,古生代後半から新生代にかけての地層から採掘され,なかでも古生代後半の石炭紀(3.6~3.0億年前)の地層に多く含まれています。
生命が陸上に進出したのは古生代中頃で,つづくデボン紀にシダ植物が大型化し,石炭紀になると大規模な森林が広がりました。
従来,石炭紀に石炭が大量に生成された背景として,このシダ植物の硬い木質層(リグニン)を分解する微生物が当時はまだ進化しておらず,植物の遺骸が腐りにくい状況にあったことがあげられてきました。
しかし,最近の研究では,石炭紀にもリグニンは分解されており,それと石炭の生成には関連がないという研究結果も出されており,石炭紀に石炭が多い理由は科学的にまだ解決されていません。
・・・・
一方,石炭紀に石炭生成のピークがあったとはいえ,それ以降の時代の地層にも,石炭は大量に含まれています。
世界最大の埋蔵量(世界の約3割)をもつアメリカでは,かつてはアパラチア山脈周辺の石炭紀の地層からの採掘が多かったのですが,現在は,とくに西部炭田において中生代白亜紀から新生代古第三紀にかけて生成された石炭が大量に採掘されています。
日本の炭田において採掘され,かつて日本経済を支えた石炭も,多くは新生代古第三紀のものです。

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https://www.ninomiyashoten.co.jp/chiri_q_and_a/2018-002
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最近の話題のロシアの侵攻・戦争に伴う、ガス・石炭の話題が厳しいものがあります。
・・・
一時的にでも、石炭エネルギーを何とかならないか?
その思いが、天然ガス化菌とか水素生成菌とかを連想させます。
現在で、石炭ガスは加熱・酸素との反応・水蒸気との反応・水素との反応といろんな方法があるようですが、どうしても炭素分が出てきてしまいます。炭素を食って水素を排出するような酵素を持った微生物・真菌がいればいいのでしょうが難しいのでしょう。
・・・
それよりも何よりも、石炭掘削をすることが、メタンを排出すること、およびその移送や、施設の運転、廃棄物処分まで考えるとなかなかいい方法は出て来ないでしょう。
・・・
そろそろ、逆移民(ノマドと言いたい・・)なども考えて、本気で「産業革命以前の生活」を始めないと間に合わないでしょう。
ロシアの皆さんは、ほぼ全員がどこか低緯度の世界への「ノマド」しないといけないでしょう。
もっと、世界的な視野を持って、人類全体の生存を考えないといけない。
こんなことを言っていると「全体主義」の世界観が出てきます。
・・・・
実際には、国連や「世界政府」をキチンと整備して、間違いのない社会構造を創らないといけないでしょう。
資本主義から、次の本気の「生態系主義(?)」とでも言う世界観を実現するしかないのです。
・・・
では、草々
2022ー6ー23
森下克介
  


Posted by もりかつ at 06:58Comments(0)

2022年06月21日

「計算でGHG排出ゼロ」への挑戦のコンサルが出来ることは

前略
「GHGプロトコル」に正面から取り組もうとしている企業である。
一つ一つが結構大変なようである、それぞれの条件などが違えばそれぞれの計算が必要になるということでしょう。

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ーーーーーーー「CO2排出量」どう管理する?国内外の潮流とはーーー
      「カーボンニュートラル」達成に欠かせない視点;Ridgelinez(リッジラインズ)
         制作:東洋経済ブランドスタジオ;2022/06/01、
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社会情勢や気候変動などの不確実性が高まる近年、企業においては持続可能な経営へと変革する「サステナビリティトランスフォーメーション」(以下、SX)の必要性が増している。
中でも日本政府の掲げる「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に向けては、企業にCO2排出の削減・可視化が求められるなど、対応に悩む企業も少なくない。
さらに直近では、企業や国を超えたカーボンマネジメントの仕組みを構築する必要性も議論されている。
こうした動向に日本企業はどう対応すればいいのか。
コンサルティングファームとして企業の変革を支援するRidgelinez(リッジラインズ)のSX責任者と、この分野で先進的取り組みを進めるNTTコミュニケーションズの担当者が語る。
・・・・・・・・
>>>サプライチェーン全体でCO2排出を可視化する必要
近年、企業経営を取り巻く環境は不確実性を増している。
とくに気候変動やグローバル化といった変化の波の中で、投資家は企業にESG経営や、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のような非財務情報の開示を求めるようになってきた。
企業にとっては、社会課題を経営に取り込みながら持続可能性を高めるSXの実現が待ったなしの状況にある。
・・・・
SXの取り組みの中でも主要なテーマであるのが脱炭素だ。
日本政府は2050年までにCO2をはじめとする温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする(カーボンニュートラル)目標を掲げ、企業に対して脱炭素に関する管理や情報開示を促している。
・・・
ここで重要なのが、CO2など温室効果ガス排出量の可視化だ。
「企業はビジネス活動のどこでどれだけの温室効果ガスを排出しているのか、情報を収集して算出・可視化し、排出量を削減する施策を検討、情報の開示を行うというサイクルを回していくことが求められています(図1)」と、リッジラインズでSX領域の事業をリードする藤川正太氏は話す。
・・・・
CO2排出量は、自社からの直接排出量を指す「スコープ1」と、他社から供給された電気や熱の消費による間接排出量を指す「スコープ2」、そしてスコープ1、2以外のサプライチェーンにおける外部ステークホルダーの排出量を含めた排出量を指す「スコープ3」の3つに分類されている。近年大きな問題となっているのが、このスコープ3をめぐる対応だ。
・・・
「スコープ3では、例えば企業が調達する材料の製造過程や、社員の通勤時の移動、作った製品が顧客に使用・廃棄されるまでのCO2排出も対象になります。どれだけの温室効果ガスが排出されたのかデータを収集、算出しなければいけません。
・・・
しかし、スコープ1、2はできても、自社の一歩外に出たスコープ3に関してはどうやって対応していけばいいのかわからないという悩みを持つ企業が、企業規模を問わず多い印象です」(藤川氏)
・・・
実際には、社外におけるCO2排出量の算出にはガイドラインがあるが、一次データを基に算定する場合、取引先企業から情報を得ないと実排出量がわからない。
そのため、「CO2排出に関連する情報の収集・精査、排出量の算出、可視化を企業間で包括的にカバーするカーボンマネジメントのシステムが必要になります」と、藤川氏は説明する。
・・・
>>>
>>>欧州で先行するデータ基盤整備。対応迫られる日本企業も
さらに、スコープ3への対応は、国内の他企業や外部情報を集めただけでは足りない。
グローバルでサプライチェーンが発達した今日、海外の企業との取引の中で発生する温室効果ガスをどうやって管理するのかも、大きな課題となっている。
・・・
これを解決するために、個々の企業が膨大な数の関係先と接続するシステムを作るのはほぼ不可能だ。
「特定企業の専用システムではなく、社会インフラとしてデータ流通管理の基盤を整備する必要があります」と、NTTコミュニケーションズのエバンジェリストで、世界のカーボンニュートラル戦略に詳しい境野哲氏は話す。
・・・
海外では、スコープ3への対応に向けた取り組みがすでに動き出している。
とくに先行しているのが欧州で、「Gaia-X(ガイアエックス)」と呼ばれるデータ流通基盤整理の構想がある。
参加企業はこの基盤に準拠したデータを用意して、「IDSコネクター」というソフトウェアを使って接続し、自社のCO2排出量に関するデータなどを他社の求めに応じて公開したり、必要な取引先のデータを入手したりすることができる。
・・・
Gaia-Xは、それ自体がデータ交換のシステムということではなく、ルールを規定した標準という位置づけだ。
ドイツやオランダではそれぞれ、自国の産業をまとめたGaia-X準拠のデータスペースを作っている。
・・・
とくに22年夏に公開予定の「Catena-X(カテナエックス)」は、ドイツの自動車産業を中心に参加企業が1000社に上る規模のプラットフォームとなる見込みだ。
これが稼働すると、「日本の自動車部品メーカーなどは、Catena-Xに接続できなければ取引ができなくなる可能性があります」と境野氏は指摘する。
・・・
欧州が先行する理由は、カーボンニュートラル戦略に対する各国政府の強力な支援体制にある。
「日本政府もデータ基盤の検討を開始していますが、国内では政府の動きよりも先に、国際的な取引をしている民間企業の調達部門や国際法務部門が、海外の取引先からGaia-Xに準拠した証明書の提出を要求されるようになってきています。
これにどのように対応すればいいのか、現場がすでに危機を感じている状況にあるのです」(境野氏)
・・・
>>>国内でもデータ基盤の検討が進む
こうした動向に日本はどう対応すればいいか。
「欧州のデータ基盤に直接参加してしまえば、取引を継続しスコープ3のデータも取り込むことができるのではないか」という考え方もあるだろう。
しかし境野氏は、ビジネスの根幹を担うデータの基盤を海外に委ねることは、大きなリスクがあると警鐘を鳴らす。
・・・
「日本でも国内に独自のデータ基盤を作り、そこから海外の基盤と接続する必要があります。
なぜならそれは『データ主権』に関わる問題だからです。例えば日本企業が国内で活動し、国内でサプライチェーンを組んでいるのに、データ基盤がドイツにあった場合、EUの規制によってその中のデータをコピーして日本の国内に持ち込むことができなくなる可能性があります。
・・・
つまり、外国にあるプラットフォームで事業をすることは、データの主権を放棄したことになってしまいます。
物や人と同じように、国の中にあるものはその国の法律で管理しなければいけません」(境野氏)
・・・
これは例えて言うなら、データを海外に送る前にいったん「空港」の役割をする場所に集め、そこの「税関」で海外に持ち出せるものかを確認のうえ、送り出す。
データを受け取る場合も同様に、税関が中身を確認して、日本の法律に沿ったものだけを受け入れる。
こうした仕組みがあることで、データ主権を維持しながら各企業は海外の基盤と接続できるようになるというわけだ(図2)。
「公共性の高いものになるため、特定の企業が構築を狙うというより、国や業界を挙げて仕組みを作るべきだと思います」と境野氏は話す。
・・・
日本が独自に作るデータ基盤として有力とされるのが、産官学でのデータ流通・利活用を目指すデータ社会推進協議会(DSA)が推進する「DATA-EX」と呼ばれるデータ連携基盤だ。
これが稼働すれば、海外との接続はDATA-EXを経由して制御することが可能になり、データの主権は守られる。
同時に、国内外を問わず、カーボンマネジメントに必要な取引先のスコープ3情報も集めることができるという。
・・・
「日本の産業構造は、グローバルサプライチェーンなしには成り立ちません。
そのため、全方位であらゆる国や業界のプラットフォームと接続する必要があると考えています」(藤川氏)
・・・
>>>富士通と共同で企業のSX実現を支援
リッジラインズは、富士通グループのコンサルファームとして、企業のESG経営を支援している。
中でもカーボンニュートラルに対応するSXは企業にとって不可欠だと捉え、22年1月にはカーボンニュートラルに関連する分野に関して専門性の高いメンバーを集めた組織「SXプラクティス」を設立。企業の支援体制強化に動いている。
・・・
さらには、富士通と共に、SX実現を支援するコンサルティングサービスや、サプライチェーンのCO2排出量を算定・可視化するサービスの提供を開始。持続可能性のある経営戦略の立案支援やカーボンニュートラルの実現を支援するとともに、サプライチェーン上で発生するCO2排出量などのデータをクラウド上に集約してCO2排出量を可視化するダッシュボードを用意し、企業のCO2可視化対応を包括的にサポートできるソリューションをそろえている。
・・・
国を超えて連携するデータプラットフォームの枠組みについても関わりを強化していく方針だ。
「リッジラインズとしては、こうしたデータ基盤の枠組みは今後の日本企業が企業や産業の壁を越えて競争力を維持するために不可欠なハブになるもので、企業が前向きに協力していく必要があるものと考えています。
当社はDXコンサルファームとして、この取り組みの立ち上げを加速できるようにプロジェクトに携わっていく考えです。
・・・
また、NTTコミュニケーションズさんは企業間プラットフォームの構築について先見性があり、海外のデータ基盤と相互接続できるデータ基盤のトライアルサービスも提供されています。
今後とも連携しながら、社会課題の解決に向けて共に取り組んでいきたいと考えています」と藤川氏は話す。

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https://toyokeizai.net/articles/-/588757?utm_campaign=ADridgelinez588757&utm_source=edTKO&utm_medium=email&utm_content=infeed_20220621&mkt_tok=OTA3LUpLVC0yNTEAAAGFIhJ3m0LtXaaOJGNjOswoLZnyjuILqCV_EhKl2zUjxZvgukTafLmOExXnMWVmChhSNrdabrucozEdk0F-mG6zVo328ELUSHEqLydHTumSV0BkhQ
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このプロトコルは;
     GHG プロトコルは、1998 年に世界環境経済人協議会(World Business Council for Sustainable and Development: WBCSD)と    
     世界資源研究所(World Resource Institute: WRI)によって共同設立された。
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スコープ1~3とは
 GHGプロトコルでは、以下の3つのスコープに分類され、スコープ1~3を合計したものがサプライチェーン全体の排出量となります。
スコープ1:
事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
スコープ2:
他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
スコープ3:
スコープ1、2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
 スコープ1は、自社の所有設備や事業活動で直接的に排出される温室効果ガスを指しており、排出例としては、工業炉、発電機、製造装置や、社内の焼却炉から排出される温室効果ガスが該当します。
・・・・
サプライチェーン排出量の管理がもたらす3つのメリット
 今後、企業は事業活動において直接的に排出する温室効果ガスだけでなく、調達から販売、使用まで事業活動に関わるサプライチェーン全体における温室効果ガスの排出量を細かくトラッキングして把握・管理した上で、それを削減していくことが求められることになります。
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この試みは、素晴らしいものです。
考えられるほとんど全部の要素を議論するようになっています。
さてさて、
この積算結果の計算自体がまとめられるかどうかということと、
この計算で求められる数値をまず「解散積算」しただけでも、とんでもない数値になり、削減することができると考えられるか、である。
・・・・
手元の数値だけでも、大変なことです。
A,事業規模別排出量;(日本のGHG排出量:12.9億トンーCO2)
      1,超大口130事業所                   50.1%
      2,大口248事業所、18運輸事業者           9.9%
      3,その他大口15000事業所・運輸500事業者  12.9%
      4,中小企業・家庭・車など                 27.1%
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
B,部門別GHG排出量
      1,産業       34,5%
      2,運輸       17.9%
      3,業務       17.5%
      4,家庭       15.7% 
      5,エネ転       7.7%
      6,非エネ       6.7%
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2030年までには、半減して、2050年までには100%削減を視野に入れたら、
これらの数値を全部をゼロにすることじたい大変なことである。
半減とは違い、100%削減をイメージしたら、同じ線上に並んであることとは思えない。
・・・・
やはり、今から「産業革命前」の社会をイメージしてそれに向けたインフラ作りをして、社会づくりをしなければならないでしょう。
最近の「難民・避難民」じゃあなくて「世界的な移民」が必要になるはず、ノマドというか、冬と夏で生活の拠点を移動する暮らしもありと思います。
・・・・
纏め切りませんが、計算過程を考えただけで、難しい・無理だと思います。
だから、「GHG排出ゼロは止めよう」ということにはならない!ということだけは止めなければならない。
では、草々
2022-6-21
森下克介


  


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2022年06月19日

100年前の「世界(ヨーロッパ)の危機感」を今再見直し

前略
この現代に、ドラッカーが、1914年の一次大戦から、1933年のナチズム政権の時代までの時代の本を見直す。
如何にして、全体主義が始まり進展していったか・・、である。
時代感覚としては、なぜか最近の状況に似ている気がする。
・・・・
民主主義、資本主義に自信が無くなって、「国連のG5」のロシアがまさかという行動に出た。プーチンさん個人の権力維持のための戦争である、中国も同じで、何が起こるかわからない昨今である。

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ーーーードラッカーの名著が反資本主義に向かう現代に鳴らす「警鐘」ーーーー
     (『「経済人」の終わり』(P.F.ドラッカー)で読み解く)
      秋山進:プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役;2021.1.21、
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第一次世界大戦後、ヨーロッパはファシズム(全体主義)に襲われる。
『「経済人」の終わり』はファシズムとはなにかを解説したもので、ファシズムが進展する1939年に出版された著者ドラッカー29歳の処女作である。
単なる現象の解説や診断ではなく、ファシズムの原動力と本質、すなわち人の価値観の変化と人間の本性から天地万物及び社会における人間の位置を見抜き、その運動の必然的な帰結を予測(断言)した。
すでにドラッカーのドラッカーたるゆえんである洞察力に満ち満ちている。
そして、今の時代だからこそ読むべき本と言っていい。
なぜ今読むべきなのか、本書の論旨をかいつまみながら解説していく。
・・・・・・・・
『「経済人」の終わり』というタイトルだけ見て、従来型の資本主義が行き詰まり、混乱のさなかにある現状のことかと思われた読者もいるかもしれない。
アメリカは異常ともいえる混乱状況にあるだけではなく、従来型の資本主義が行き過ぎた結果として引き起こされた矛盾や格差の拡大、社会の分断があらゆるところで問題になっている。
かたや中国のような共産主義体制国家の巨大化、独裁政権による弊害が引き起こす問題も無視できない。
・・・・
 実は、今からおよそ80年~90年前の1930年代にも、世界は同様の事態に陥っていた。
本書を読むことは、今の混迷の時代を読み解くヒントになる。
・・・
 まず、なぜタイトルが『「経済人」の終わり』なのか。
近代ヨーロッパでは、おおざっぱに言えば、王侯貴族が牛耳る階級社会に対して市民革命が起こり、産業革命によって一般市民の一部が資本家(ブルジョア資本主義、以下仮に資本主義とする)として台頭。
すると今度は資本家に牛耳られた労働者が共産主義革命(マルクス社会主義、以下仮に社会主義とする)を起こした。
・・・
 つまり、貴族や階級をつぶして自由になるため、経済の力でのしあがったのがブルジョア資本家であり、資本家から自由になろうとしたのが社会主義である。
社会主義は、資本家には反対していても貴族ではないので、資本家と同じく根本では経済の力という自由を得る手段によって成立している。
・・・
「あらゆる社会が、人間の本性およびその社会における位置と役割についての概念を基盤として成立している。
~中略~ まさに、人間を経済的動物(エコノミック・アニマル)とする概念は、完全に自由な経済活動をあらゆる目的を実現するための手段として見るブルジョア資本主義およびマルクス社会主義の基盤である」(以下、「」内の引用文はすべて『「経済人」の終わり』〈ダイヤモンド社〉)
・・・
 資本主義と社会主義という当時のヨーロッパの2大思想はいずれも、人が経済的動物(経済人)であるという前提で成立していると書かれている。
なぜなら経済の力を使って貴族や階級から自由になろうとしていたからである。
つまり経済人は、ヨーロッパで尊ばれてきた「自由」と「平等」を実現するためという目的で正当化できるし、そのために生まれた概念だとドラッカーは言う。
・・・
「社会秩序および信条としてのブルジョア資本主義は、経済的な進歩が個人の自由と平等を促進するという信念に基づいている。
マルクス社会主義はそのような社会は私的利潤を廃止することによってもたらされると期待する。
これに対してブルジョア資本主義は、自由で平等な社会は、私的利潤を社会行動の規範とすることによってもたらされると期待する」
・・・
>>>資本主義も社会主義も新たな階級をつくっただけ
 残念なことに、資本主義が夢想した(階級からの)自由と平等の実現は幻想に過ぎなかった。
経済発展は機会均等といった形式的な平等さえもたらさず、それどころか資本家は経済の力を自分だけのものにして私腹をこやし、ブルジョア階級という新しい階級をつくって、彼ら以外が階級を上ることを事実上不可能な状況まで作り出してしまったのだ。
・・・
 その問題を解消し、今度こそ本当の自由と平等を手に入れようとして登場した社会主義も、これまた同じ結果に陥った。
共産主義革命が起こっても、権力、地位、資本家(や貴族)から収奪した革命の果実は、共産党の特権官僚に移転しただけ。
社会主義は、共産党内部の階級差から目をそらさせるため、その活動を労働者の社会的、経済的地位の向上に限定した。
そうなると根本的な社会改革にはならず、労働組合主義として資本主義の枠内での会社や組織での組合運動にとどまることになる。
結局、社会主義も社会に真の自由と平等をもたらす思想ではなかったのだ。
・・・
 以上が1930年頃のヨーロッパの状況である。
「経済人」の概念をもとにして、自由と平等が実現されるはずだった2つの思想(資本主義と社会主義)とそれによる社会秩序は行き詰まった。大衆はこれに絶望した。
既存の社会秩序が正当性を欠いて、「戦争」と「失業」という2つの魔物に対抗できなくなる。
しかも、混乱を収めるための新たな秩序は現れず、ますます混沌が極まった。そして、
・・・
「大衆は、世界に合理をもたらすことを約束してくれるのであれば、自由そのものを放棄してもよいと覚悟するにいたった」
 のである。
・・・
>>>資本主義も社会主義もダメそこに登場した「ファシズム」
 人間は弱い生き物だ。
社会がぐちゃぐちゃで先行きが不透明になることに耐えられず、「パワハラ」的に自由を奪われてもいいから、強い力で自分たちを導いてくれる体制を求める。
そこに現れたのが「ファシズム全体主義(以下仮にファシズムという)」である。ファシズムは個人の自由を徹底的に制限し、前向きな信条は何もなくとにかく過去はすべて――経済人モデルも含めて――完全に否定する。
・・・
「ドイツとイタリアのファシズム全体主義において、もっとも重要でありながら最も知られていない側面が、個々の人間の位置と役割を、経済的な満足、報酬、報奨ではなく、非経済的な満足、報酬、報奨によって規定していることである」
・・・
 つまり、経済の力を使って自分の力で自由になることは否定され、弾圧されたのだ。
人間は経済の力で生きているのではないことにされ、ファシズム政権が人々の社会的な役割や位置づけを完全管理した(ここでは詳述しないが、ユダヤ人は血統がどうのというよりも、お金もうけ、経済人の象徴として弾圧されたのである)。
・・・
たとえば、ファシズム政権によって、農民は「民族の背骨」、労働者は「民族の精神」として称揚された。
恵まれない層に対しては、オペラ、コンサートへの参加、外国への旅行などが提供された。
ブルジョア階級には「文化の担い手」という地位が与えられた。
ファシズム政権下では、あらゆる人間が経済的地位とは無関係だった。
あたかも中国の文革時代のようである。
・・・
 では、ファシズムが否定した経済人に代わるものとして、新しく概念化された人物像は何か。
それが「英雄人」である。
いつでも自らを犠牲にする用意があり、自己規律に富み、禁欲的で強靭な精神を持つ人間を指す。
英雄人が、経済活動とは無縁で、国の中で役割を果たせる場所、それが国民皆兵の軍隊である。
こうしてファシズムは必然的に軍国主義化する。
・・・
「あらゆる経済活動と社会活動を軍事体制下に置くという軍国主義は、産業社会の形態を維持しつつ社会に対して非経済的な基盤を与えるという、きわめて重要な社会的役割を果たしうる。
しかも同時に、完全雇用をもたらし、失業という魔物を退治する役割を果たす」
・・・
>>>ファシズムは経済の自由を否定し人を兵隊として体制に組み込む
 ファシズムでは自由な経済活動をさせず、禁欲を説いて、国民に節約させる。
国民が貯蓄したカネは、国が公債を発行して国民にそれを買わせることで、国が吸い上げて、財政基盤を確立し、軍需産業を興し、軍隊を強化して完全雇用を実現する。
つまり、脱経済至上主義と軍国主義はセットになって「失業」という魔物を退治した。
一方でもう一匹の魔物である「戦争」を意義のあるものとして利用する。
戦争があることで、英雄人に経済活動をさせずに、国が「兵として働き、犠牲をいとわず国に尽くす」という役割や意義を与えることができる。
・・・
 しかし、国のために死ぬのが英雄人というような犠牲の正当化は社会を破壊する。
プロパガンダはともかく、ファシズムの大衆も実際には戦争が怖いし、したくなんかない。
というわけで、英雄人という概念による社会の構築はひとまずは成功しなかった。
・・・
 このような状況では、逃げ道は一つしかない。それは、すべてを他人のせいにすることである。自分たちは正しいが、どこそこの国は絶対悪である、ということにして戦争をするのである。
・・・
「ファシズム全体主義だけが敵からの脅威の存在を自らの信条そのものの実体として扱う。
そして、ついには、彼らからの脅威の絶滅こそが、ファシズム全体主義の正当化の事由とされる」
 ・・・
 この延長線上で、ファシズムは再び欧州全体を戦火に巻き込んだ。
本書は、第二次世界大戦勃発前に書かれているが、ドラッカーは「前向きな信条」が何もないファシズムでは、新しい社会を作り得ないことを誰よりも深く理解していた。
そのうえで13世紀と16世紀にあった秩序崩壊に関してこう語る。
・・・
「古い秩序が壊滅し、新しい秩序が出現するまでの転換期の時代は、まさに今日のように混沌、恐慌、迫害、全体主義の時代とならざるを得ない。
あの頃も終末が到来し、新しい展開はありえないと考えられた。
しかし、突然、いずこからともなく、新しい秩序が現れ、悪夢はあたかも存在していなかったかのように消えた。
(中略)「経済人」の社会が崩壊したあとに現れる新しい社会もまた、自由と平等を実現しようとすることになる。
その未来の秩序において、人間の本性のいかなる領域が社会の中心に位置づけられるかはわからない。
しかしそれは経済の領域ではない」
・・・
>>>英首相になる前のチャーチルもドラッカーの洞察力を激賞
 ドラッカーは、経済人の枠を超えて、新しい社会や自由をもたらす思想を希求していた。
かくして、『「経済人」の終わり』が本書のタイトルとなったのである。
・・・
 本書は、首相になる前のチャーチルが書評で激賞したことでも有名である(書評は『「経済人」の終わり』に付録として収録)。
ドラッカーの思考のエッセンスを3ページで書ききった、エネルギーに満ちた書評である。
・・・
「英雄人は成立しない、経済人は終わる」と言いはしても、次の時代のモデルを示さなかったドラッカーに対し、チャーチルは資本主義の失敗を指摘しつつ、まだ経済人もブルジョア資本主義も死んではいないと宣言する。
実際、資本主義はその後度重なる修正を加えて生き続け、新たな人間像のモデルも生み出されてこなかった。
・・・
 ただチャーチルは、ドラッカーを「独自の頭脳を持つだけでなく、人の思考を刺激してくれる書き手である。
それだけですべてが許される存在である」とまで称賛する。
初版の序文を書いた当時の有名なジャーナリスト、ブレイスフォードも「人の知覚力において差がでるものは動くものにおいてである。
動かないものであれば誰でも見ることができる。
複雑なるものの中にパターンとリズムを識別するには、格別の眼力を必要とする(中略)ピーター・ドラッカーには、そのような才能がある」と褒め称えた。
本書は動いている社会のなかにある真のパターンとリズムを、ドラッカーの洞察力が見抜いた卓越した書と言っていい。
・・・
>>>1930年代と似た現代ドラッカーならどう分析したか
 さて、視点を現在に向けてみよう。
我々は新型コロナウイルスという魔物の支配下からまだ抜け出せていない。
ワクチン開発の進展などでようやく一筋の光が見えてきたところだが、首都圏を中心に再び緊急事態宣言が発令され、失業という魔物の増加も予測される。
その一方で、この危機を機会ととらえ、自国の影響力を世界的に高めようとする地政学的な思惑と行動がうごめいている。
・・・
 もう一つの魔物である戦争は、世界各地で今もやむことはなく、覇権国争いとしての米中対立も「トゥキディデスの罠」(覇権国とそれに挑む新興国が折り合えないまま戦争に至ってしまう状態)にはまり、今後、本格的な戦争が引き起こされる可能性も否定できない。
・・・
修正を重ねてきたはずの資本主義が、どうしようもない大きな不平等を生み出している。
アメリカで顕著になっている社会の分断も、実際には二極化ではない。
「経済人」的パラダイムを引きずるワシントン的思考と、非合理であっても自由を求める「自由人」と、たまりにたまった不平等の解消こそが第一と考える「平等人」の3分断であり、自由人と平等人はいずれも経済人的思考の限界から生まれた異母兄弟と考えるほうがよいのかもしれない。
・・・
 また、物財やサービスを中心とする産業構造が、データや人工知能を利用するデータ資本主義の段階に突入し、これらが既存の物財・サービス産業に影響を及ぼし始める時代に突入している。
その結果、既存の産業政策と統治の方法がマッチしなくなっている。
しかし、一方では、これまで判明していなかった因果関係が明らかになり、予測のレベルが大きく上がることで、これまでよりずっと効率性の高い社会が実現可能になろう。
・・・
 その際に、個人の私権(自由)が全体最適のために制限される局面も増えるだろう。
多少のナッジ(自発的に自分で選んだかのように望ましい選択や行動をさせる工夫)でそれらの問題が解決できるのか、それとも公共の福祉や全体最適のために個人の自由が大幅に制限される社会に変わっていくのか。
いずれもあり得ることだろう。
・・・
 さらには、気候変動という人類史上最大の魔物との対峙が始まっている。
一部には、因果性を疑う声もあるが、地球の温度上昇と産業発展との関係はほぼ確実であろう。
未曽有の台風、消せない山火事、隠れていた病原菌の再活性化などが予測される。
これらへの対処は、SDGsといった免罪符のレベルでは対応できず、経済活動を強力に制限して抑え込むべきだという思想が強まるのではないか。
それは利潤動機の資本主義をストップし、地球環境の維持を動機とする計画経済(のようなもの)を求める世界的運動になることを指す。
この場合は、人々を「経済人」ではなく、「環境人」と呼ぶモデルかもしれない。
・・・
 これらは、我々が直面しているほんの一部の問題に過ぎない。
実は、このような現象の羅列ではなく、動きの本質を見抜き複雑な因果関係を整理し、その根本的な運動法則を一言で言い放つとともに、その必然的な結果を断言してきたのがドラッカーだった。
・・・
 今ほどドラッカーの見立てを聞いてみたいときはない。
亡くなって15年以上もたってしまった。
ドラッカーだったらどう考えるか。
それを想像するしか、我々にできることはないのがとても残念である。
(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)

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https://diamond.jp/articles/-/260133
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「気候危機」を面前にしての、混乱である。
当時も混乱そのものだったと思う。
専制主義と言っても、独裁そのものの国が、混乱を起こしている。
・・・
新しい時代を、国連という機関を動かして、なんとか進むしかないのでしょう。
・・・
では、草々
2022-6-19
森下克介
  


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2022年06月19日

「パニックを起こさないでください」、「海洋大循環」が止まりそう

前略
2004年の「ザデイ・アフタトモロウ」で取り扱われた、「海洋大循環」が止まってしまうという危機が近づいているということです。
・・・・
特に、西欧の気候は、北大西洋海流の北上で暖気を得ているということです。これが止まると大変でしょう。
日本の太平洋の黒潮が止まるとこれもきっと寒冷化になるでしょう。太平洋高気圧が弱まれば、シベリアの寒気団の影響をモロに受けることになるのでしょう。
・・・・
しかし、今生きている私共はみんな100年より過去の経験がないので、寒冷化した日本・世界の様子を全く見通せないのです。
「水晶玉」は過去も見せてくれるのでしたら、一度見たいものです。

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ーーーーー大西洋の大きい海流が止まってしまうと、世界規模の大災害が始まるーーーー
             Kenji P. Miyajima 2022/06/18 、
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『デイ・アフター・トゥモロー 』の世界が現実になるのを想像する日がくるとは…。

もしもメキシコ湾から北大西洋へ向かう海流が停止するようなことになれば、地球全体の風や気温、降雨パターンを急変させるかもしれないことが新たな研究で明らかになりました。

この大西洋南北熱塩循環(AMOC: Atlantic Meridional Overturning Circulation)と呼ばれる海流は、人為的気候変動によってすでに減速しているのですが、AMOCがもしも完全に崩壊してしまった場合、これまで予測もしなかったような影響があるそうです。

AMOCが止まってしまえば、熱帯太平洋の気温は低下し、貿易風は強くなって南下するそうです。その結果、ラニーニャ発生時のような気候になって、南太平洋で壊滅的なモンスーンと洪水を引き起こし、北米の一部では干ばつと暑さが激しくなる可能性があるとのこと。

言い換えると、もしもこのまま世界が気候変動対策をしないでAMOCを暴走させてしまったら、いまでもカオスな気候は、想像を超えてひどくなるってことです。
・・・
>>>AMOCってなに?
AMOCは、暖かい海水を北大西洋に運ぶすっごく重要な海流です。
ヨーロッパがあんなに北にあるのに穏やかで温暖な気候を保っていたり、漁業が盛んだったりするのは、この海洋循環が炭素や栄養素、熱を運んでくれるから。ロンドンなんて、カナダのニューファンドランド・ラブラドール州のルンズ=オー=ループと緯度が同じくらいなのに、AMOCのおかげで1月の平均気温は21.7度も高いんです。北海道や東北地方と緯度が同じ地域でも、ヨーロッパは暖かいですもんね。
・・・
AMOCのコンベヤーベルト(海洋循環)は、海水の「熱と塩分の密度」の違いが駆動力になっています。密度の差によって、海水が押されて進むという感じです。氷が解けたり海が凍ったりして海水温と塩分濃度が相対的に変化することで、海流にも変化が生じます。AMOCの動きは地球の歴史を通して変化していますし、遠い過去には止まったこともあるんですよ。
・・・
AMOCが最後にほぼ停止したのは、「ヤンガードリアス期」と呼ばれる約1万4500年前のこと。最終氷期から間氷期に入って温暖化がはじまった状態から、また急激に気温が低下しました。この寒冷化はその後3,000年続いたそうです。原因は諸説ありますが、ハッキリしたことはまだわかっていません。これが『デイ・アフター・トゥモロー』に最も近い現象ですね。
・・・
>>>AMOCになにが起こっているの?
ある研究結果によると、AMOCは1950年代から15%減速しているそうです。
原因の一端は、人間活動による気候変動で海洋と大気の状態が変わったからとのこと。AMOCは気候の安定にすごく重要なため、この海流が崩壊する可能性を、気候科学者らは「ティッピングポイント(不可逆的で懸念すべき大きな転換点)」と呼んでいます。
・・・
AMOCの減速が、崩壊間近を意味しているわけではありません。4月に発表された研究結果は、AMOCはこれまで考えられていた以上に、氷の融解や淡水の流入への反応が小さいと結論づけています。2014年のIPCC第5次報告書は、最悪のシナリオでもAMOCは3分の1減速するだけで停止はしないと予測しています。アマゾンの熱帯雨林における生態系崩壊などのほうが、AMOCよりも先に気候の転換点を迎えると科学者は強調しています。
・・・
なんの慰めにもならないかもしれませんが、突然『デイ・アフター・トゥモロー』のような世界になるんじゃないかと不安マックスになる前に、もっと差し迫った終末論的な問題があることを頭に入れておいたほうがいいと思います。
・・・
>>>でもしかし、もしもAMOCが本当に崩壊したら?
それでも、万が一のことが起こったらどうなっちゃうのか、気になるものは気になりますよね。新たな研究は、あり得なそうな未来を詳しく伝えています。
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AMOCがなければ、北半球と大西洋の大部分が大幅に寒冷化して海氷が拡大することは、過去の研究で明らかになっています。今回の研究はそれを裏付けるもので、北大西洋とヨーロッパの一部地域では、AMOCが止まって数十年で平均気温が15度以上も下がるそうですよ。
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でも、気候モデルは、AMOC崩壊の影響は大西洋海盆や北半球にとどまらず、地球規模で急激な気候の変化を引き起こすことを示しています。研究論文の著者のひとりであるMatthew England氏は、以下の連ツイでどんなことが起こるかについて、地図を用いて説明しています。
北半球の太平洋では海水温が低下します。北半球は乾燥して、南半球では雨が多くなります。ユーラシア大陸やその他の北半球の地域では、いまよりも高気圧に覆われるようになります。貿易風は南下して強くなり、他の地域でも風は強まるそうです。残念なことに、南極の氷床融解は加速するでしょう。
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要するに、わたしたちが慣れ親しんできたこの星の気候がなにもかも狂っちゃうんです。今回の研究によれば、AMOC崩壊の影響を受けない場所は、地球上どこにもないのだとか。
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オーストラリアのニューサウスウェールズ大学で海洋学博士課程に在籍するByram Orihuela-Pinto氏は、メールで米Gizmodoにこう話してくれました。
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AMOCの崩壊は、地球規模で気候に影響を与え、熱帯太平洋の海流と風は平均的なラニーニャ時のような状態になるでしょう。

エルニーニョと真逆の気象現象がラニーニャです。どちらも海面水温の変動によって気圧の変化が起こり、地球規模で気候に影響を及ぼします。一般的に2~7年ごとに発生するラニーニャによって、南太平洋の一部や中国南部、インドでは気温が低下し、降水量が増加します。アメリカ南部は、広い範囲で気温が高くなり、乾燥します。2年目に入ったラニーニャの影響が直撃している米南部から南西部が、いままさにその状態です。しかも歴史的なエグさです。

ラニーニャは、オーストラリアで起こった史上最悪の洪水や、カリフォルニアの壊滅的な干ばつにも影響を与えています。以下の図は、ラニーニャ発生時の夏(上)と冬(下)の気候をまとめています。

>>>過去から学べば未来を変えられる
もう一度言います。パニックを起こさないようにしてください。研究者も、「この研究は予測ではなく、万が一のシナリオです。すでに減速しているAMOCはさらに遅くなるでしょう。この研究は、万が一この循環が完全に崩壊してしまったら、地球の気候がどうなってしまうのかを示しているに過ぎません」と述べています。ちゃんと気候変動緩和策を実行すれば、このシナリオは現実味を失っていきます。

この「万が一」のシナリオは、コンピュータモデルに依存しており、実際のデータによって検証されたわけじゃないことも重要です。モデルはしっかりしていて、過去の研究に沿った結果になっているものの、やはりデータ不足が論文の説得力を下げているようです。

AMOCの速度がもっと遅かった過去の気候を再現するための指標があるにもかかわらず、今回の研究はモデルが示す未来と過去の記録を比較していないのだとか。その部分を検証した研究が発表されるのを、パニックを起こさずに待ちましょう。

これから起こることのヒントは、過去にあります。未来の気候に備えるために、もっと過去に目を向けるべきなんですよね。どこまでさかのぼらなきゃいけないかは、わたしたちが気候変動対策をどれだけほったらかしにするかによります。想像するのも恐ろしくなるくらい暑かった過去までさかのぼりたくないものです。

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https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E5%A4%A7%E8%A5%BF%E6%B4%8B%E3%81%AE%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%84%E6%B5%B7%E6%B5%81%E3%81%8C%E6%AD%A2%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%86%E3%81%A8-%E4%B8%96%E7%95%8C%E8%A6%8F%E6%A8%A1%E3%81%AE%E5%A4%A7%E7%81%BD%E5%AE%B3%E3%81%8C%E5%A7%8B%E3%81%BE%E3%82%8B/ar-AAYBQez?ocid=msedgntp&cvid=0a8f02619b1a40e1bb9e01a2a0e03abf#image=1
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ーーーー映画『デイ・アフター・トゥモロー』のネタバレあらすじ結末と感想ーーー
      2022.02.02
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https://mihocinema.com/day-after-tomorrow-37609
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以前「日本沈没」の映画をTVで観ました。海面が上昇したと同じような雰囲気を感じましたが、出演者はそれなりに最後まで危機を乗り切る感じのストーリーだったと思います。
このザデイ・アフタトモロウでも、そこそこの人がそれなりに生きている感じのようです。
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今回の話題で、ティッピングポイント」という言葉が出たり、なぜか「危機感を煽る」ような言動を避けている感じがします。
世の中のみんなは、この大丈夫だよ、という感じがせっかくの危機感を打ち消してしまっているように思います。
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どうして、「本当はトンデモない危機なんだ!」と言わないのでしょう。
人類は「700万年も前から」今でも生きているんだから、これからだって大丈夫なんだよ!・・。と思っているか、そんなことを言ったって今の暮らしをどうすればいいんだよ!・・・。縄文時代の暮らしなんてできっこないんだよ!・・・。とか勝手に思っていて、政治も教育もやさしさにつ摘まれている・・・。
ウクライナもベトナムも今の暮らしとは違う「映像の世界」なんだ、フェイクなんだ・・・。そう思っている。
しかし、ホモサピエンスは多くの人類種が滅んだ中で「20万年」くらい前に出て来た人類種でしかないのです。
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もう少しで別の人類種が出てきて、ホモサピエンスは過去の人類になることだってありうるのでしょう。
それくらいは簡単に考えられるはずです。
まさか「ノアの箱舟」を期待しているのかもしれません・・・。
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私は、詳しくありませんが、「地球の金星化」を避けるには、簡単にできるはずがないと思い、数年来も身震いしているところです。
あのハラリさんが、「テクノロジーで気候変動が解決できる」と期待しているようですが、すごく残念です。
でも彼の発言は重い!
でも、それは違う!
私はそんなことができるという理解できる根拠(テクノロジでGHGの排出ゼロを実現する)を見たことがありません!
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どうして、人々は、「すごい危険な状態が発生しそうだ(発生するとIPCCは言っている)」という情報があったら、まずそれを見極めて、その事実関係を片付けて、其の後に今の様な生活に戻れるかどうかを確かめて、この生活を続けるのならいいのですが、それをしないのでしょうか?
簡単な話では、高速道路を走っていて、その先に危険がある、という情報があったら、どうしますか・・・・・・、おんなじではないでしょうか???
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どうしてもわかりません!!
皆さんよろしくお願いいたします。
では、草々
2022-6-19
森下克介
  


Posted by もりかつ at 07:25Comments(0)