2024年01月31日
アメリカで宗教離れが進んでいる、合理的人間(ホモサピエンス)に戻れ
前略
アメリカのキリスト教離れが進んでいるということです。
詳細は判りませんが、16世紀の宗教改革を経て、多くの民主主義国は「政教分離」の原則が通用しているのであるが、まだイスラム教などでの宗教国家が現存するのが現実です。
・・・・・
特に、イスラム教国の言い分の根拠として、
「西洋的民主主義を批判して、それは人間が考えた政治体制であり、神が与えた法であるシャリーアに比べて不完全である、現に欧米の社会問題は一向に解決していないのではないか」と言うとのことです。
・・・・
古代においての「啓示宗教」を、「神様からの真理」として認識し、全てが神様の思し召しの通り、という信仰だということです。
現代において、其処においては現代の合理性が通用しないままであるのが、キリスト教離れに繋がっていると思う。
産めよ増やせよ地に満てよキリスト教離れが進んでいるということです。
詳細は判りませんが、16世紀の宗教改革を経て、多くの民主主義国は「政教分離」の原則が通用しているのであるが、まだイスラム教などでの宗教国家が現存するのが現実です。
・・・・・
特に、イスラム教国の言い分の根拠として、
「西洋的民主主義を批判して、それは人間が考えた政治体制であり、神が与えた法であるシャリーアに比べて不完全である、現に欧米の社会問題は一向に解決していないのではないか」と言うとのことです。
・・・・
古代においての「啓示宗教」を、「神様からの真理」として認識し、全てが神様の思し召しの通り、という信仰だということです。
現代において、其処においては現代の合理性が通用しないままであるのが、キリスト教離れに繋がっていると思う。
「産めよ増やせよ地に満ちよ」と言う言葉自体も現代には通じないものである。
・・・・・
既に、人類としての能力の限りを尽くして知り言えた知見「気候危機」を全ての人類が正しく認識し、対処しないといけないのです。
もう少し人間の能力レベルが高かったら、こんな事態にはならなかったかもしれないし、この現状の認識に対する全員としての手立てを相互に認識し合って、「目的としての、人類生存」への道を進めたのかもしれない・・・・。
・・・・
今はまだ、「金儲け資本主義」という遊園地的なお金遊びに興じていて、目が覚めない・・・・。
神様が、人間を神様に似せて作ったとはいえ、手抜き(疲れた土曜日になって作ったので・・)があったということかもしれない。
神様を信じていても、人間の能力はアップしないので、今の今の能力で、解決策を見つけ、実行するしかない・・・・。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ーーーーーーー米国でキリスト教離れが止まらない、教会の閉鎖も急増中ーーーーーー
宗教に対する若者の信頼が崩壊、コロナ禍がダメ押し
2023.1.27、堀田 佳男、JBpress,
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>>>> 米国ではいま、多くの教会が急速に閉鎖に追い込まれている。
米国人がキリスト教から離れ始めているからである。米社会でいったい何が起きているのか。
全米にはいま約38万の教会があるといわれているが、米東部コネチカット州にあるハートフォード宗教研究所は、「今後20年で30%の教会が存続できなくなる可能性がある」という報告結果を発表した。
米国では過去何世紀もの間、教会は宗教活動の場であるだけでなく、地域社会の中心であり、新しい人と出会う場所でもあった。
・・・・
将来の伴侶と出会うことも多かったし、そこで結婚式を挙げ、子供に宗教の重要性を教えもした。
ただ、今そうした伝統的な価値観が揺らぎ始めている。
教会の衰退はすでに数字に表れている。
首都ワシントンにあるピュー研究所の調査によると、2020年、自身をキリスト教徒と認める米国人は64%でしかなくなっていた。
それに対し、米国人の30%がいま「無宗教」であると回答している。
・・・・
1972年にはキリスト教と答えた人は92%に及んでいたが、信徒数は減少の一途を辿っているのだ。
ちなみに、ユダヤ教、イスラム教、ヒンズー教、仏教と回答した人は合計で全体の6%である。
キリスト教徒が減り続ける理由を探ると、興味深いことが浮かび上がってきた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73699
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
宗教の限界を認識し始めたら、人間の思考の合理性を根拠として、人類の滅亡を避けるために走らないといけない。
世界の大金持ち・富豪とかいう人達こそ、先導を切る先頭に立たないと、誰もが彼らの豪華な暮らしに妬みを持つだけで、後ろ髪を引かれて前に進めない・・・・。
・・・・
大富豪さんたちには、大いに勉強・研究をしてもらい、世界のリーダーに成ってもらわないと困る!!!!!!!!
では、草々
2024-1-31
森下克介
アメリカのキリスト教離れが進んでいるということです。
詳細は判りませんが、16世紀の宗教改革を経て、多くの民主主義国は「政教分離」の原則が通用しているのであるが、まだイスラム教などでの宗教国家が現存するのが現実です。
・・・・・
特に、イスラム教国の言い分の根拠として、
「西洋的民主主義を批判して、それは人間が考えた政治体制であり、神が与えた法であるシャリーアに比べて不完全である、現に欧米の社会問題は一向に解決していないのではないか」と言うとのことです。
・・・・
古代においての「啓示宗教」を、「神様からの真理」として認識し、全てが神様の思し召しの通り、という信仰だということです。
現代において、其処においては現代の合理性が通用しないままであるのが、キリスト教離れに繋がっていると思う。
産めよ増やせよ地に満てよキリスト教離れが進んでいるということです。
詳細は判りませんが、16世紀の宗教改革を経て、多くの民主主義国は「政教分離」の原則が通用しているのであるが、まだイスラム教などでの宗教国家が現存するのが現実です。
・・・・・
特に、イスラム教国の言い分の根拠として、
「西洋的民主主義を批判して、それは人間が考えた政治体制であり、神が与えた法であるシャリーアに比べて不完全である、現に欧米の社会問題は一向に解決していないのではないか」と言うとのことです。
・・・・
古代においての「啓示宗教」を、「神様からの真理」として認識し、全てが神様の思し召しの通り、という信仰だということです。
現代において、其処においては現代の合理性が通用しないままであるのが、キリスト教離れに繋がっていると思う。
「産めよ増やせよ地に満ちよ」と言う言葉自体も現代には通じないものである。
・・・・・
既に、人類としての能力の限りを尽くして知り言えた知見「気候危機」を全ての人類が正しく認識し、対処しないといけないのです。
もう少し人間の能力レベルが高かったら、こんな事態にはならなかったかもしれないし、この現状の認識に対する全員としての手立てを相互に認識し合って、「目的としての、人類生存」への道を進めたのかもしれない・・・・。
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今はまだ、「金儲け資本主義」という遊園地的なお金遊びに興じていて、目が覚めない・・・・。
神様が、人間を神様に似せて作ったとはいえ、手抜き(疲れた土曜日になって作ったので・・)があったということかもしれない。
神様を信じていても、人間の能力はアップしないので、今の今の能力で、解決策を見つけ、実行するしかない・・・・。
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ーーーーーーー米国でキリスト教離れが止まらない、教会の閉鎖も急増中ーーーーーー
宗教に対する若者の信頼が崩壊、コロナ禍がダメ押し
2023.1.27、堀田 佳男、JBpress,
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>>>> 米国ではいま、多くの教会が急速に閉鎖に追い込まれている。
米国人がキリスト教から離れ始めているからである。米社会でいったい何が起きているのか。
全米にはいま約38万の教会があるといわれているが、米東部コネチカット州にあるハートフォード宗教研究所は、「今後20年で30%の教会が存続できなくなる可能性がある」という報告結果を発表した。
米国では過去何世紀もの間、教会は宗教活動の場であるだけでなく、地域社会の中心であり、新しい人と出会う場所でもあった。
・・・・
将来の伴侶と出会うことも多かったし、そこで結婚式を挙げ、子供に宗教の重要性を教えもした。
ただ、今そうした伝統的な価値観が揺らぎ始めている。
教会の衰退はすでに数字に表れている。
首都ワシントンにあるピュー研究所の調査によると、2020年、自身をキリスト教徒と認める米国人は64%でしかなくなっていた。
それに対し、米国人の30%がいま「無宗教」であると回答している。
・・・・
1972年にはキリスト教と答えた人は92%に及んでいたが、信徒数は減少の一途を辿っているのだ。
ちなみに、ユダヤ教、イスラム教、ヒンズー教、仏教と回答した人は合計で全体の6%である。
キリスト教徒が減り続ける理由を探ると、興味深いことが浮かび上がってきた。
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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73699
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宗教の限界を認識し始めたら、人間の思考の合理性を根拠として、人類の滅亡を避けるために走らないといけない。
世界の大金持ち・富豪とかいう人達こそ、先導を切る先頭に立たないと、誰もが彼らの豪華な暮らしに妬みを持つだけで、後ろ髪を引かれて前に進めない・・・・。
・・・・
大富豪さんたちには、大いに勉強・研究をしてもらい、世界のリーダーに成ってもらわないと困る!!!!!!!!
では、草々
2024-1-31
森下克介
Posted by もりかつ at
15:26
│Comments(0)
2024年01月31日
「資本主義の真ん中で資本主義を考えても」、もう希望はないのです
前略
日本人が、日本人として、資本主義の真ん中(本人の自覚)で、資本主義の改革を叫んでいるようです。
特に、日本の場合には色んな不調和があるということです。
・・・・
成長至上主義は日本人の生活・信条にも深く浸みこんでいます。
グテーレスさんの云う「脱GDP」はこの真逆です。
資本主義のアップデートと言う切り口どころか、資本主義のコアの成長の指針であるGDP自体を否定する必要があるという時代です。
「次世代に対して持続可能な日本、地球環境」と言う言葉の中には、資本主義は存在しえないのではないでしょうか・・・。
そう思うます。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ーーーーーー「資本主義はもうダメ」なのか? ゴールドマン・サックスに16年在籍して見えてきたことーーーーーー
Business Insider Japan Brand Studio;2024-1-31、
[ Better Capitalism ] 「今こそ、資本主義を、アップデートしよう」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・インフレ、円安、低成長、そして変わらない企業と組織……。
日本の「失われた30年」が35年になり、そして40年に向かおうとする中、私たちはこの流れに終止符を打てるのだろうか?
一方で海外、特にアメリカでは「成長至上主義」に限界や綻びが見え始めている。
2024年以降、この流れはどうなっていくのか? 『資本主義の中心で、資本主義を変える』著者の清水大吾さんに、資本主義の原状や課題、私たちに必要な視点を聞いた。
・・・・
>>>>そもそも日本に「資本主義」はない?
──ここ数年、日本では「新しい資本主義」が議論されることが増えました。
2024年以降、資本主義社会はどうなっていくと考えますか?
・・・・
そもそも私は、戦後の日本に本当の意味での「資本主義」は存在していなかったと考えています。
資本主義社会を分解すると、「消費市場」、「労働市場」、「資本市場」、という3つの市場に分解できます。
このうち消費市場には、厳しくモノを言う顧客がいて、資本主義の根本原理である競争原理が働いているでしょう。
しかし労働市場、資本市場は、日本ならではの慣習やシステムにより硬直化し、競争原理がしっかりと働いていないと思うのです。
つまり日本は「3分の1だけ資本主義」だったというのが私の見立てです。
・・・・
──労働市場、資本市場は、それぞれどんな改革が必要でしょうか。
まずは労働市場について教えてください。
まずもって、日本の雇用システムは極端に“流動性がない”ことが問題です。
一度大企業に入るとそこに約40年間所属し続ける。
従業員は簡単には辞めず、経営者もそれに甘んじてしまうという悪循環が起きています。
そのようなシステムだと、優秀な人や正当な評価を求める人は起業したり、海外へ流れていきます。
日本の労働市場は、もっと “選び、選ばれる”ことを前提に、人的資本の効率的な再分配を進めていくべき。
そのためには、雇用制度や労働関連の法律を変えることも必要でしょう。
・・・・
──資本市場についてはどうでしょう。
資本市場も、これまではほとんど機能していなかった、というのが私の感覚です。
株式会社の経営者は多くの場合、いわば株主から経営を託された“雇われ社長”です。
結果を出せばその分いい報酬をもらえるし、出せなければクビになる。
プロ野球の監督のようなものですね。
・・・・
アメリカではそのような考えは“当たり前”ですが、日本はそうではありませんでした。
これまで多くの上場企業は、株主から資本を託されているという感覚が希薄で、株主への説明責任を果たしているとは言い難い状況。
株主からの、厳しくも愛に溢れた忠告は経営に反映されず、せっかくの株主の声を封殺してきた。
いわば“なんちゃって資本市場”だったとっています。
・・・・
──そんな中で、変化の兆しはあるのでしょうか。
この状況を改善しようと、2015年にはコーポレートガバナンス・コードが制定され、改革が進んできました。
2023年には、東京証券取引所による旗振りでPBR(株価純資産倍率)改善施策の要請が進んでいます。
2024年は、さらに企業は株主への説明責任が問われ、“是々非々”で物事が決まる、「本当の資本市場」元年になるのではないでしょうか。2023年の終わり頃から、そんな兆しが見え始めています。
コーポレートガバナンスに関して言えば、2023年は内部告発により、これまでの理不尽なシステムや慣習が露わになった事例も目立ちました。
中にはネガティブに捉える方もいらっしゃいますが、こうして組織や経営が見直されていくことは、私は資本市場にとって良いことだと思っています。
また2024年からは新NISAが始まり、個人の投資マネーが本格的に日本の株式市場に流れ込むかもしれません。
そのような資金の受け皿になれるように、日本企業にはますます頑張ってほしいと思っています。
日本の慣習、ここは変えた方がよい
・・・・
──企業を見る際のポイントはありますか?
変化の兆しは、統合報告書 ※ からも読み取れます。
私は統合報告書を読むとき、まず最初に「内部告発」に関する記載を確認するようにしています。
たった一言「内部告発はゼロでした」と書いてある企業よりも、全部で何件あってそのうち何件はこのように対応をした、としっかりと開示している企業はコーポレートガバナンス改革が進んでいることの表れとも言えます。
投資家から見ても、ネガティブな情報を誠実に開示してくれる企業を信頼するようになるのは当然のことでしょう。
※企業の売上高や資産などの財務情報と、人的資本や知的資産などの非財務情報を統合して説明したレポート。
・・・・
──清水さんは、圧倒的な合理主義とも言われる米国のゴールドマン・サックス証券に約16年所属されていました。
日本の株式会社の慣習で、「ここは変えた方がよい」と思うことは?
例えば些細なことですが、アメリカに出張して海外投資家とミーティングをすると、帰り際は笑顔で握手してそのままバイバイです。
日本では、エレベーターが閉まるまでお辞儀をし続けているシーンをよく見かけます。
もちろん相手に敬意を払う心を持つことは、とても大事なことです。
でも、その数分×人数分を1年間に換算したら、会社にとってどれだけの機会ロスに繋がるのでしょうか。
株式会社は株主からお金を託されてビジネスをやっています。
その貴重な時間を無駄にしていると言われても仕方ありませんし、時間を有効に使うアメリカ企業にどんどん差を付けられてしまいます。
もちろん、このような素晴らしい日本の文化を否定しているわけではありません。
私が言いたいのは、エレベーターが閉まるまでお見送りをするようなことはプライベートな分野に限定すべきで、ビジネスの分野ではもっと合理的な時間の使い方でも良いのではないかということです。
・・・・
「お金には名前が書いてある」
──個人のレベルで、今日からできる意識改革はありますか。
私はよく「お金には名前が書いてある」と言っています。
自分は何の対価としてお金を払っているのか、使ったお金が社会にどのような影響を与えているのかを常に意識することが重要だと思うのです。
例えば、200円と250円の同品質の牛乳が売られているとします。
値段だけを見れば200円のほうを選ぶ人がほとんどでしょう。
そういったことまで考えるようにしてみると、自分の消費行動や判断軸が変わってくるかもしれません。
もちろん全ての情報が開示されているわけではないので、状況を理解することは簡単ではありませんが、とにもかくにも「自分の消費行動が社会全体の流れにつながる」という認識を持つことが大切です。
・・・・
──そういった積み重ねが、資本主義のアップデートにつながるということですね。
放っておくと、欲望のままにどこまでも行ってしまうのが資本主義。
相対的に悪くはないシステムだけれど、何も考えず欲望のままに使っているとそのうち思わぬ問題を引き起こしてしまいます。
私たち個人は、消費者であり、労働者であり、投資家でもあります。
我々一人ひとりが、「自分たちこそが今後の資本主義社会を作っていく」という意識で行動に責任を持つことが重要です。
資本主義を持続可能な形にアップデートすることは、どこかの誰かがやってくれることではありません。
我々がやらねばならないのです。
・・・・
──「資本主義はこの先どうなってしまうのか」と感じているビジネスパーソンに伝えたいことは?
日本の資本市場の大きな担い手である伝統的な大企業は、いつまで経っても昭和を引きずっている古い会社というニュアンスでJapanese Traditional Company (=JTC)と揶揄されることもありますが、確実に変化は起き始めています。
全てを挙げることはできませんが、例えば日立製作所やソニー、味の素、丸井……いずれも経営トップが鋭い判断をして、組織改革、人事制度改革が進んでいます。
「資本主義はもうダメだ」と言う人も多いですが、かといって資本主義に代わり得る良い経済システムが存在するわけではないのが現実です。
ないものねだりをするのではなく、「資本主義をアップデートする」という現実的で合理的な選択を粛々と実行するしかないのです。
これまでの考えやシステムを変えようとすると、必ず痛みも伴います。
しかし、これをやらねば次世代に対して持続可能な日本、地球環境を引き継ぐことはできないのです。
そのような覚悟を持ち、みんなで一緒に取り組みましょう、資本主義を持続可能な形にアップデートしましょう、と言いたいです。
・・・・
(取材・文:中島日和[Business Insider Japan Brand Studio]、デザイン:髙田尚弥)
清水大吾(しみず・だいご)
1975年、愛媛県西宇和郡伊方町生まれ。 2001年に京都大学大学院を卒業し、日興ソロモン・スミス・バーニー証券(現シティグループ証券)に入社。 07年にゴールドマン・サックス証券に入社し、16年からグローバル・マーケッツ部門株式営業本部業務推進部長(SDGs/ESG担当)。社会の持続可能性を高めるためには資本主義の流れを変える必要があると考え、社会の価値観そのものを変えるべく啓発活動を推進。 23年6月、同社を退職。著書に『資本主義の中心で、資本主義を変える』(NewsPicksパブリッシング)。
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https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%AF%E3%82%82%E3%81%86%E3%83%80%E3%83%A1-%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B-%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3-%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%AB16%E5%B9%B4%E5%9C%A8%E7%B1%8D%E3%81%97%E3%81%A6%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8/ar-BB1hwcGg?ocid=msedgntp&pc=LCTS&cvid=d9c104a6a0414684b8bc978dcc927368&ei=15
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資本主義の真ん中にいて、資本主義の実像は判りにくいでしょう、やはり外側から見るともう少し違って見えるのではないかと思います。
銀河系を離れてみると、渦状の星団であるということが判るのでしょうが、ひょっとしたら「地動説」にしか見えないかもしれません・・・。
・・・・・
もう資本主義の仲間として世のなかで「飯を食っていく」ことはできないでしょう・・・・・・。
では、草々
2024-1-31
森下克介
日本人が、日本人として、資本主義の真ん中(本人の自覚)で、資本主義の改革を叫んでいるようです。
特に、日本の場合には色んな不調和があるということです。
・・・・
成長至上主義は日本人の生活・信条にも深く浸みこんでいます。
グテーレスさんの云う「脱GDP」はこの真逆です。
資本主義のアップデートと言う切り口どころか、資本主義のコアの成長の指針であるGDP自体を否定する必要があるという時代です。
「次世代に対して持続可能な日本、地球環境」と言う言葉の中には、資本主義は存在しえないのではないでしょうか・・・。
そう思うます。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ーーーーーー「資本主義はもうダメ」なのか? ゴールドマン・サックスに16年在籍して見えてきたことーーーーーー
Business Insider Japan Brand Studio;2024-1-31、
[ Better Capitalism ] 「今こそ、資本主義を、アップデートしよう」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・インフレ、円安、低成長、そして変わらない企業と組織……。
日本の「失われた30年」が35年になり、そして40年に向かおうとする中、私たちはこの流れに終止符を打てるのだろうか?
一方で海外、特にアメリカでは「成長至上主義」に限界や綻びが見え始めている。
2024年以降、この流れはどうなっていくのか? 『資本主義の中心で、資本主義を変える』著者の清水大吾さんに、資本主義の原状や課題、私たちに必要な視点を聞いた。
・・・・
>>>>そもそも日本に「資本主義」はない?
──ここ数年、日本では「新しい資本主義」が議論されることが増えました。
2024年以降、資本主義社会はどうなっていくと考えますか?
・・・・
そもそも私は、戦後の日本に本当の意味での「資本主義」は存在していなかったと考えています。
資本主義社会を分解すると、「消費市場」、「労働市場」、「資本市場」、という3つの市場に分解できます。
このうち消費市場には、厳しくモノを言う顧客がいて、資本主義の根本原理である競争原理が働いているでしょう。
しかし労働市場、資本市場は、日本ならではの慣習やシステムにより硬直化し、競争原理がしっかりと働いていないと思うのです。
つまり日本は「3分の1だけ資本主義」だったというのが私の見立てです。
・・・・
──労働市場、資本市場は、それぞれどんな改革が必要でしょうか。
まずは労働市場について教えてください。
まずもって、日本の雇用システムは極端に“流動性がない”ことが問題です。
一度大企業に入るとそこに約40年間所属し続ける。
従業員は簡単には辞めず、経営者もそれに甘んじてしまうという悪循環が起きています。
そのようなシステムだと、優秀な人や正当な評価を求める人は起業したり、海外へ流れていきます。
日本の労働市場は、もっと “選び、選ばれる”ことを前提に、人的資本の効率的な再分配を進めていくべき。
そのためには、雇用制度や労働関連の法律を変えることも必要でしょう。
・・・・
──資本市場についてはどうでしょう。
資本市場も、これまではほとんど機能していなかった、というのが私の感覚です。
株式会社の経営者は多くの場合、いわば株主から経営を託された“雇われ社長”です。
結果を出せばその分いい報酬をもらえるし、出せなければクビになる。
プロ野球の監督のようなものですね。
・・・・
アメリカではそのような考えは“当たり前”ですが、日本はそうではありませんでした。
これまで多くの上場企業は、株主から資本を託されているという感覚が希薄で、株主への説明責任を果たしているとは言い難い状況。
株主からの、厳しくも愛に溢れた忠告は経営に反映されず、せっかくの株主の声を封殺してきた。
いわば“なんちゃって資本市場”だったとっています。
・・・・
──そんな中で、変化の兆しはあるのでしょうか。
この状況を改善しようと、2015年にはコーポレートガバナンス・コードが制定され、改革が進んできました。
2023年には、東京証券取引所による旗振りでPBR(株価純資産倍率)改善施策の要請が進んでいます。
2024年は、さらに企業は株主への説明責任が問われ、“是々非々”で物事が決まる、「本当の資本市場」元年になるのではないでしょうか。2023年の終わり頃から、そんな兆しが見え始めています。
コーポレートガバナンスに関して言えば、2023年は内部告発により、これまでの理不尽なシステムや慣習が露わになった事例も目立ちました。
中にはネガティブに捉える方もいらっしゃいますが、こうして組織や経営が見直されていくことは、私は資本市場にとって良いことだと思っています。
また2024年からは新NISAが始まり、個人の投資マネーが本格的に日本の株式市場に流れ込むかもしれません。
そのような資金の受け皿になれるように、日本企業にはますます頑張ってほしいと思っています。
日本の慣習、ここは変えた方がよい
・・・・
──企業を見る際のポイントはありますか?
変化の兆しは、統合報告書 ※ からも読み取れます。
私は統合報告書を読むとき、まず最初に「内部告発」に関する記載を確認するようにしています。
たった一言「内部告発はゼロでした」と書いてある企業よりも、全部で何件あってそのうち何件はこのように対応をした、としっかりと開示している企業はコーポレートガバナンス改革が進んでいることの表れとも言えます。
投資家から見ても、ネガティブな情報を誠実に開示してくれる企業を信頼するようになるのは当然のことでしょう。
※企業の売上高や資産などの財務情報と、人的資本や知的資産などの非財務情報を統合して説明したレポート。
・・・・
──清水さんは、圧倒的な合理主義とも言われる米国のゴールドマン・サックス証券に約16年所属されていました。
日本の株式会社の慣習で、「ここは変えた方がよい」と思うことは?
例えば些細なことですが、アメリカに出張して海外投資家とミーティングをすると、帰り際は笑顔で握手してそのままバイバイです。
日本では、エレベーターが閉まるまでお辞儀をし続けているシーンをよく見かけます。
もちろん相手に敬意を払う心を持つことは、とても大事なことです。
でも、その数分×人数分を1年間に換算したら、会社にとってどれだけの機会ロスに繋がるのでしょうか。
株式会社は株主からお金を託されてビジネスをやっています。
その貴重な時間を無駄にしていると言われても仕方ありませんし、時間を有効に使うアメリカ企業にどんどん差を付けられてしまいます。
もちろん、このような素晴らしい日本の文化を否定しているわけではありません。
私が言いたいのは、エレベーターが閉まるまでお見送りをするようなことはプライベートな分野に限定すべきで、ビジネスの分野ではもっと合理的な時間の使い方でも良いのではないかということです。
・・・・
「お金には名前が書いてある」
──個人のレベルで、今日からできる意識改革はありますか。
私はよく「お金には名前が書いてある」と言っています。
自分は何の対価としてお金を払っているのか、使ったお金が社会にどのような影響を与えているのかを常に意識することが重要だと思うのです。
例えば、200円と250円の同品質の牛乳が売られているとします。
値段だけを見れば200円のほうを選ぶ人がほとんどでしょう。
そういったことまで考えるようにしてみると、自分の消費行動や判断軸が変わってくるかもしれません。
もちろん全ての情報が開示されているわけではないので、状況を理解することは簡単ではありませんが、とにもかくにも「自分の消費行動が社会全体の流れにつながる」という認識を持つことが大切です。
・・・・
──そういった積み重ねが、資本主義のアップデートにつながるということですね。
放っておくと、欲望のままにどこまでも行ってしまうのが資本主義。
相対的に悪くはないシステムだけれど、何も考えず欲望のままに使っているとそのうち思わぬ問題を引き起こしてしまいます。
私たち個人は、消費者であり、労働者であり、投資家でもあります。
我々一人ひとりが、「自分たちこそが今後の資本主義社会を作っていく」という意識で行動に責任を持つことが重要です。
資本主義を持続可能な形にアップデートすることは、どこかの誰かがやってくれることではありません。
我々がやらねばならないのです。
・・・・
──「資本主義はこの先どうなってしまうのか」と感じているビジネスパーソンに伝えたいことは?
日本の資本市場の大きな担い手である伝統的な大企業は、いつまで経っても昭和を引きずっている古い会社というニュアンスでJapanese Traditional Company (=JTC)と揶揄されることもありますが、確実に変化は起き始めています。
全てを挙げることはできませんが、例えば日立製作所やソニー、味の素、丸井……いずれも経営トップが鋭い判断をして、組織改革、人事制度改革が進んでいます。
「資本主義はもうダメだ」と言う人も多いですが、かといって資本主義に代わり得る良い経済システムが存在するわけではないのが現実です。
ないものねだりをするのではなく、「資本主義をアップデートする」という現実的で合理的な選択を粛々と実行するしかないのです。
これまでの考えやシステムを変えようとすると、必ず痛みも伴います。
しかし、これをやらねば次世代に対して持続可能な日本、地球環境を引き継ぐことはできないのです。
そのような覚悟を持ち、みんなで一緒に取り組みましょう、資本主義を持続可能な形にアップデートしましょう、と言いたいです。
・・・・
(取材・文:中島日和[Business Insider Japan Brand Studio]、デザイン:髙田尚弥)
清水大吾(しみず・だいご)
1975年、愛媛県西宇和郡伊方町生まれ。 2001年に京都大学大学院を卒業し、日興ソロモン・スミス・バーニー証券(現シティグループ証券)に入社。 07年にゴールドマン・サックス証券に入社し、16年からグローバル・マーケッツ部門株式営業本部業務推進部長(SDGs/ESG担当)。社会の持続可能性を高めるためには資本主義の流れを変える必要があると考え、社会の価値観そのものを変えるべく啓発活動を推進。 23年6月、同社を退職。著書に『資本主義の中心で、資本主義を変える』(NewsPicksパブリッシング)。
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https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%AF%E3%82%82%E3%81%86%E3%83%80%E3%83%A1-%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B-%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3-%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%AB16%E5%B9%B4%E5%9C%A8%E7%B1%8D%E3%81%97%E3%81%A6%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8/ar-BB1hwcGg?ocid=msedgntp&pc=LCTS&cvid=d9c104a6a0414684b8bc978dcc927368&ei=15
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資本主義の真ん中にいて、資本主義の実像は判りにくいでしょう、やはり外側から見るともう少し違って見えるのではないかと思います。
銀河系を離れてみると、渦状の星団であるということが判るのでしょうが、ひょっとしたら「地動説」にしか見えないかもしれません・・・。
・・・・・
もう資本主義の仲間として世のなかで「飯を食っていく」ことはできないでしょう・・・・・・。
では、草々
2024-1-31
森下克介
Posted by もりかつ at
14:18
│Comments(0)
2024年01月28日
「東京も海の中に沈んでしまう!!」それでいいんですか??!!と、江守正多さんは吠える
前略
日本の、気候危機に関する第一人者が「江守正多」先生です。
今回は、気温上昇が何をもたらすかを解説してくれています。
・・・・・
此処では、「海面が上昇してしまい、東京都も海になるというのです。」
世界中にはたくさん被害を被る国があるという訳です、既に多くの国が困っているということです。
・・・・
それでどうするか???と聞きたいのでしょうが、トックの昔から言われている通りでしょう・・・・!!!!!
温暖化ガス(GHGのこと)を出さない暮らしをしないといけない!!!!ということです、それも「もうほぼ1.5℃近く上昇してしまっているので、「すぐにCO2排出ゼロにしないといけないのです!!!」と言っているわけです。
・・・・
「そんなのは無理だ!!!!!」と言うでしょうが、それを今更云うのは大人げない!!!!ということでしょう・・・・。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ーーーーーーー地球温暖化のウソ? ホント?(3)温暖化が進むと、住めなくなる国や地域がある?ーーーーーー
ウェザーニュース の意見、2024-1-28,江守正多、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2015年にフランスのパリで開かれた国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)でパリ協定が採択され、2016年に発効しました。
このパリ協定では「世界的な平均気温の上昇を、産業革命以前に比べて2℃よりも十分に低く保つともに、1.5℃より低く抑える努力をする」ことなどが長期の目標として掲げられました。
これは非常に重要な目標ですが、達成するのは簡単なことではありません。
もし対策を何も講じなかった場合はどのようなことが起こるのでしょうか。
・・・・・
気候変動問題の専門家である江守正多さん(東京大学 未来ビジョン研究センター教授/国立環境研究所 上級主席研究員)に聞きました。
・・・・
>>>>Q1/地球温暖化対策を各国が何もしなかった場合、世界の気温はどうなりますか?
◆A/何も対策をしないと、76年後の2100年には、世界の平均気温は4℃上昇する見通しです。
「気候モデル」といって、物理法則に基づいてコンピューターを使って行うシミュレーションで調べることができます。
これを使って、何も対策をしなかった場合と、世界の平均気温の上昇を2℃未満に抑えることを目指した場合、それぞれの2つの世界の気温を見てみましょう。
・・・・
2040年代頃までは、違いはあまり見られませんが、1950年代から違いが出始めて、60年代には大きな差異が認められます。
対策をしなかった場合、2100年に世界の平均気温は今より約4℃上昇すると見込まれます。
場所によっては、気温はさらに大きく上昇する可能性があります。特に北極に近い、ユーラシア大陸の北部などでは8℃以上、上昇することもありえます。
これは気温が高まると、北極の氷や雪が溶けて減ることが大きく関係しています。
一方、世界の平均気温の上昇を2℃未満に抑える対策を講じた場合は、2050年くらいの気温に踏みとどまることができると考えられています。
・・・・・
>>>>Q2/温暖化が進むと、住めなくなる国や地域があるというのは、本当ですか?
◆A/2100年までにモルディブの8割が水没するなどの予測があります。
温暖化が進むと、住めなくなる国や地域が出ることは十分に考えられます。発展途上国の人たちが、とりわけ大きな被害を受けるでしょう。
たとえば、アフリカの乾燥帯に住む農業従事者などは、温暖化が進むと、干ばつが増えて、農業を営めなくなり、深刻な食糧不足、水不足になり、収入もなくなる可能性があります。
バングラデシュやインド洋のモルディブ、太平洋のツバルやキリバスなどの海抜が低い場所で、高潮などによる浸水が頻発することも考えられます。
・・・・
モルディブの例を少し詳しく見てみましょう。
モルディブはおよそ1200の島からなる海上国家です。
そのモルディブでは、すでに95%以上の島で浸食(流水・雨水・海水・氷河などが陸地などを削り取っていくこと)が始まっています。
浸食の主な原因は温暖化による海面の上昇です。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)では、温暖化への対策をしないと、2100年までに1m程度、海面が上昇すると指摘しています。
モルディブの島の約8割は海抜1m以下です。対策を何も講じないと、これらの島々は80年後には水没している可能性があります。
・・・
どうして海面上昇が起こるのか分かりますか?
グリーンランド、南極大陸などの氷の融解が進むと、海水の量が増えます。
さらに、温暖化によって、海水温が上がり、海水は膨張していきます。
水温が高くなるほど、水は膨張するため、海水の体積が増えるのです。
これらの結果、海面が上昇し、モルディブなどで大きな被害が出る可能性があります。
・・・・
日本人にとっても、他人事(ひとごと)ではありません。
南極大陸などの氷の融解が進み、海面が仮に3m上昇した場合、首都圏などでは水没する地域がたくさんあります。
東京都の江東区、品川区、港区、江戸川区、葛飾区、足立区、千葉県の千葉市、習志野市、船橋市、市川市、浦安市、神奈川県の川崎市、さらに海(東京湾)から遠く離れた埼玉県の川口市、八潮市、草加市、三郷市、越谷市なども、全域ではありませんが、水没する可能性が高いです。
これらの地域が水中に沈むとしたら、都市機能や住む場所、生活のありようなどを大幅に変えなくてはいけなくなります。
・・・・
>>>>Q3/現在、すでに住めなくなっている地域はありますか?
◆A/ 2022年にパキスタンは洪水で国土の約3割が浸水などの被災をしました。
近年、猛暑や豪雨が原因で甚大な災害が世界各地で起きていることは、多くの人がご存じでしょう。
一例として、2022年8月にパキスタンで起きた大洪水を挙げることができます。
この大洪水によって、パキスタンの国土の約3割が浸水などの被災をしました。
この年の夏の大雨やその少し前に起きた熱波が水害に影響したと考えられています。
熱波によって氷河が溶けて、河川の水位が上昇したところに大雨が降って、洪水を引き起こした可能性があります。
温暖化対策にしっかり取り組まないと、時代が進むほど、温暖化は進行していきます。
ということは、未来の人たち、私たちの子孫に大きな悪影響が出ます。
・・・・
発展途上国の人たちは二酸化炭素などの温室効果ガスをあまり排出していないし、当然ですが未来に生きる人たちは今、温室効果ガスをまったく排出していません。
それなのに、将来、温暖化によって、大変な思いをする。これは私たちの責任なのです。
たとえば、外国の人たちのせいで100年後に日本の国土の3割が洪水で被災するとしたら、日本人はどう思うでしょうか。
多くの人が怒り、嘆くのではないでしょうか。
地球温暖化を他人事ではなく、我がこととして捉えることが重要なのです。
————————
江守さんの解説から、温暖化についての実感が少しずつ湧いてきたでしょうか。
ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、様々な情報をわかりやすく解説し、みなさんと一緒に地球の未来を考えていきたいと考えています。
監修/江守正多;東京大学 未来ビジョン研究センター 教授。国立環境研究所 地球システム領域 上級主席研究員
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96%E3%81%AE%E3%82%A6%E3%82%BD-%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%88-3-%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96%E3%81%8C%E9%80%B2%E3%82%80%E3%81%A8-%E4%BD%8F%E3%82%81%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%8B%E5%9B%BD%E3%82%84%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B/ar-BB1hmrIZ?ocid=msedgntp&pc=LCTS&cvid=1cb13680766c4522add271c416ce244d&ei=14
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
どちらにしても、気温は上昇し続けているのです。
誰のせいでもないのです、人間のせいです!!!
ほったらかしでいいのか???
先進国が悪い!!!というのも聞こえていたはずです・・・・・
もう時間がないと言いながら、誰も動かない、金儲けを考えるだけ!!!!
そんな人間の限界は誰も越えられない!!!!
・・・・・
日本沈没だけでなく、世界場沈没するぞ!!!!!!と江守先生は叫ぶ・・・・・
・・・・
では、草々
2024-1-28
森下克介
日本の、気候危機に関する第一人者が「江守正多」先生です。
今回は、気温上昇が何をもたらすかを解説してくれています。
・・・・・
此処では、「海面が上昇してしまい、東京都も海になるというのです。」
世界中にはたくさん被害を被る国があるという訳です、既に多くの国が困っているということです。
・・・・
それでどうするか???と聞きたいのでしょうが、トックの昔から言われている通りでしょう・・・・!!!!!
温暖化ガス(GHGのこと)を出さない暮らしをしないといけない!!!!ということです、それも「もうほぼ1.5℃近く上昇してしまっているので、「すぐにCO2排出ゼロにしないといけないのです!!!」と言っているわけです。
・・・・
「そんなのは無理だ!!!!!」と言うでしょうが、それを今更云うのは大人げない!!!!ということでしょう・・・・。
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ーーーーーーー地球温暖化のウソ? ホント?(3)温暖化が進むと、住めなくなる国や地域がある?ーーーーーー
ウェザーニュース の意見、2024-1-28,江守正多、
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2015年にフランスのパリで開かれた国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)でパリ協定が採択され、2016年に発効しました。
このパリ協定では「世界的な平均気温の上昇を、産業革命以前に比べて2℃よりも十分に低く保つともに、1.5℃より低く抑える努力をする」ことなどが長期の目標として掲げられました。
これは非常に重要な目標ですが、達成するのは簡単なことではありません。
もし対策を何も講じなかった場合はどのようなことが起こるのでしょうか。
・・・・・
気候変動問題の専門家である江守正多さん(東京大学 未来ビジョン研究センター教授/国立環境研究所 上級主席研究員)に聞きました。
・・・・
>>>>Q1/地球温暖化対策を各国が何もしなかった場合、世界の気温はどうなりますか?
◆A/何も対策をしないと、76年後の2100年には、世界の平均気温は4℃上昇する見通しです。
「気候モデル」といって、物理法則に基づいてコンピューターを使って行うシミュレーションで調べることができます。
これを使って、何も対策をしなかった場合と、世界の平均気温の上昇を2℃未満に抑えることを目指した場合、それぞれの2つの世界の気温を見てみましょう。
・・・・
2040年代頃までは、違いはあまり見られませんが、1950年代から違いが出始めて、60年代には大きな差異が認められます。
対策をしなかった場合、2100年に世界の平均気温は今より約4℃上昇すると見込まれます。
場所によっては、気温はさらに大きく上昇する可能性があります。特に北極に近い、ユーラシア大陸の北部などでは8℃以上、上昇することもありえます。
これは気温が高まると、北極の氷や雪が溶けて減ることが大きく関係しています。
一方、世界の平均気温の上昇を2℃未満に抑える対策を講じた場合は、2050年くらいの気温に踏みとどまることができると考えられています。
・・・・・
>>>>Q2/温暖化が進むと、住めなくなる国や地域があるというのは、本当ですか?
◆A/2100年までにモルディブの8割が水没するなどの予測があります。
温暖化が進むと、住めなくなる国や地域が出ることは十分に考えられます。発展途上国の人たちが、とりわけ大きな被害を受けるでしょう。
たとえば、アフリカの乾燥帯に住む農業従事者などは、温暖化が進むと、干ばつが増えて、農業を営めなくなり、深刻な食糧不足、水不足になり、収入もなくなる可能性があります。
バングラデシュやインド洋のモルディブ、太平洋のツバルやキリバスなどの海抜が低い場所で、高潮などによる浸水が頻発することも考えられます。
・・・・
モルディブの例を少し詳しく見てみましょう。
モルディブはおよそ1200の島からなる海上国家です。
そのモルディブでは、すでに95%以上の島で浸食(流水・雨水・海水・氷河などが陸地などを削り取っていくこと)が始まっています。
浸食の主な原因は温暖化による海面の上昇です。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)では、温暖化への対策をしないと、2100年までに1m程度、海面が上昇すると指摘しています。
モルディブの島の約8割は海抜1m以下です。対策を何も講じないと、これらの島々は80年後には水没している可能性があります。
・・・
どうして海面上昇が起こるのか分かりますか?
グリーンランド、南極大陸などの氷の融解が進むと、海水の量が増えます。
さらに、温暖化によって、海水温が上がり、海水は膨張していきます。
水温が高くなるほど、水は膨張するため、海水の体積が増えるのです。
これらの結果、海面が上昇し、モルディブなどで大きな被害が出る可能性があります。
・・・・
日本人にとっても、他人事(ひとごと)ではありません。
南極大陸などの氷の融解が進み、海面が仮に3m上昇した場合、首都圏などでは水没する地域がたくさんあります。
東京都の江東区、品川区、港区、江戸川区、葛飾区、足立区、千葉県の千葉市、習志野市、船橋市、市川市、浦安市、神奈川県の川崎市、さらに海(東京湾)から遠く離れた埼玉県の川口市、八潮市、草加市、三郷市、越谷市なども、全域ではありませんが、水没する可能性が高いです。
これらの地域が水中に沈むとしたら、都市機能や住む場所、生活のありようなどを大幅に変えなくてはいけなくなります。
・・・・
>>>>Q3/現在、すでに住めなくなっている地域はありますか?
◆A/ 2022年にパキスタンは洪水で国土の約3割が浸水などの被災をしました。
近年、猛暑や豪雨が原因で甚大な災害が世界各地で起きていることは、多くの人がご存じでしょう。
一例として、2022年8月にパキスタンで起きた大洪水を挙げることができます。
この大洪水によって、パキスタンの国土の約3割が浸水などの被災をしました。
この年の夏の大雨やその少し前に起きた熱波が水害に影響したと考えられています。
熱波によって氷河が溶けて、河川の水位が上昇したところに大雨が降って、洪水を引き起こした可能性があります。
温暖化対策にしっかり取り組まないと、時代が進むほど、温暖化は進行していきます。
ということは、未来の人たち、私たちの子孫に大きな悪影響が出ます。
・・・・
発展途上国の人たちは二酸化炭素などの温室効果ガスをあまり排出していないし、当然ですが未来に生きる人たちは今、温室効果ガスをまったく排出していません。
それなのに、将来、温暖化によって、大変な思いをする。これは私たちの責任なのです。
たとえば、外国の人たちのせいで100年後に日本の国土の3割が洪水で被災するとしたら、日本人はどう思うでしょうか。
多くの人が怒り、嘆くのではないでしょうか。
地球温暖化を他人事ではなく、我がこととして捉えることが重要なのです。
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江守さんの解説から、温暖化についての実感が少しずつ湧いてきたでしょうか。
ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、様々な情報をわかりやすく解説し、みなさんと一緒に地球の未来を考えていきたいと考えています。
監修/江守正多;東京大学 未来ビジョン研究センター 教授。国立環境研究所 地球システム領域 上級主席研究員
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https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96%E3%81%AE%E3%82%A6%E3%82%BD-%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%88-3-%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96%E3%81%8C%E9%80%B2%E3%82%80%E3%81%A8-%E4%BD%8F%E3%82%81%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%8B%E5%9B%BD%E3%82%84%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B/ar-BB1hmrIZ?ocid=msedgntp&pc=LCTS&cvid=1cb13680766c4522add271c416ce244d&ei=14
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どちらにしても、気温は上昇し続けているのです。
誰のせいでもないのです、人間のせいです!!!
ほったらかしでいいのか???
先進国が悪い!!!というのも聞こえていたはずです・・・・・
もう時間がないと言いながら、誰も動かない、金儲けを考えるだけ!!!!
そんな人間の限界は誰も越えられない!!!!
・・・・・
日本沈没だけでなく、世界場沈没するぞ!!!!!!と江守先生は叫ぶ・・・・・
・・・・
では、草々
2024-1-28
森下克介
Posted by もりかつ at
07:58
│Comments(0)
2024年01月24日
世界のトップリーダーの「10大リスクと、トップリスク」の公表と、ダボス会議風会議を
前略
ダイハツの不正問題は、「社風」という言葉で評価されているが、表向きの言葉であって本来はちがっているという。
・・・・・・
最後の結論は「リスク感度が低い人材が経営者になることなど、そもそもあってはならない。」と結んでいる、其の通りでしょう。
此処で考えないといけないのは、
日本だけでなく世界中が「金儲け資本主義」のパンデミックに陥っているかの如き状況を見ると「人類の社風」と言っている様に見える。
でも違うでしょう。
やはり日本の経営者、各国の経営者、更に国連を含む世界の実力者と思われる人々が、まさに「リスク感度」が低いということでしょう。
「「リスク」」をトップの皆さんが評価して、公表する必要があると思います。
・・・・
「終末時計」の残りがさらに減りました。
世界の安全や平和を主張する人々で、「世界のトップリーダの「10大リスクとそのトップリスク」」を毎月整理して公表する仕組みを作って、世界に公開するようにしてもらいたい。
どの人の、どんな認識が今を作っているかが判り、その議論をする場を「ダボス会議風会議」として欲しいものです。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ーーーーーーーダイハツ不正問題、「社風のせい」は大間違い...ーーーーーー
「現代社会では当たり前のこと」ができていなかった
2024年01月17日;加谷珪一;ニューズ・ウイーク、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>>><ダイハツの不祥事は「自己中心的な社風」が原因のひとつとされるが、社風とは良い方向にも悪い方向にも働くものだ>
・・・・
軽自動車を手がけるダイハツ工業が長年にわたって大規模な不正を行っていたことが明らかになった。
自動車は日本の基幹産業であるとともに、グローバルに通用する数少ない分野の1つである。
日本の豊かさを支える最後のとりでが虚偽のデータで支えられていたという現実は、多くの国民に衝撃を与えたことだろう。
・・・・
不祥事の原因としてさまざまな理由が指摘されており、その中の1つがダイハツの社風とされる。
第三者委員会による調査報告書では「自分や自工程さえよければよく、他人がどうであっても構わない」という自己中心的な風潮があり、これが認証試験のブラックボックス化を招いたと指摘している。
こうした情緒的な表現はメディアも取り上げやすく、関連した報道が多数、見受けられる。
・・・・
自己中心的な社風が存在していたのはそのとおりなのだろうが、企業の不祥事を社風の問題として片付けることは、資本主義が高度に発達した現代社会においては危うい行為であると筆者は考える。
なぜなら、社風というのは極めて曖昧なものであり、良い方向に働くこともあれば、悪い方向に働くこともあり、それ自体が絶対的な要因にはなり得ないからである。
製造業というのはモノ作りそのものであり、その業務の性質上、何かトラブルがあると全て後工程にシワ寄せがいく。
もし各工程の担当者が他部署のことを考慮し、柔軟に対応するような社風だった場合、前工程のミスを後工程でごまかすといった行為が行われかねない。
・・・・
>>>>かつて優秀な日本メーカーにあった社風
つまり自己中心的な社風というのは、品質を担保する重要な役割を果たす可能性もあり、一概に悪いとは言えないのだ。
優秀とされた多くの日本メーカーでは、自分の管轄以外のところは一切関心を持たず、指定された業務に集中し、それ以外の要求には応じないという頑固な社風が出来上がっていることが多かった。
このように社風というものは、いかようにも作用するものであり、どう作用するのかは状況によって変わる。
戦後の日本社会は社風という曖昧な力を武器に、工業製品の大量生産に邁進したが、社会は確実に変化している。
特定の社風を維持するには、同質社会であることが絶対要件となり、同じような人材ばかりが採用され、組織は硬直化していく。
特に1990年代以降は市場の多様化とデジタル化が一気に進み、従来のやり方はことごとく通じなくなった。
・・・・
>>>>雰囲気ではなくルールで統治することが絶対条件
多種多様な人材を組織化しなければならない現代社会においては、雰囲気ではなくルールで統治することが絶対要件であり、その責任を担うのが経営陣であることは明白だ。
全ては経営の問題であり、一連の不正行為は、長年にわたってガバナンスが機能していなかった現実を露呈したにすぎない。
報告書では最終責任は経営陣にあると指摘しているものの「経営幹部のリスク感度を高めるための取り組み」など甘い言葉が並ぶ。
上場企業の経営者というのは、場合によっては刑事告発や巨額の賠償責任を負う立場であり、そうであればこそ高い社会的地位が与えられる。
・・・・
リスク感度が低い人材が経営者になることなど、そもそもあってはならない。
本当に幹部のリスク感度が低かったのであれば、経営陣を全交代させるくらいの改革を行わなければ、信頼回復など不可能だろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2024/01/post-263.php
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では、草々
2024-1-24
森下克介
ダイハツの不正問題は、「社風」という言葉で評価されているが、表向きの言葉であって本来はちがっているという。
・・・・・・
最後の結論は「リスク感度が低い人材が経営者になることなど、そもそもあってはならない。」と結んでいる、其の通りでしょう。
此処で考えないといけないのは、
日本だけでなく世界中が「金儲け資本主義」のパンデミックに陥っているかの如き状況を見ると「人類の社風」と言っている様に見える。
でも違うでしょう。
やはり日本の経営者、各国の経営者、更に国連を含む世界の実力者と思われる人々が、まさに「リスク感度」が低いということでしょう。
「「リスク」」をトップの皆さんが評価して、公表する必要があると思います。
・・・・
「終末時計」の残りがさらに減りました。
世界の安全や平和を主張する人々で、「世界のトップリーダの「10大リスクとそのトップリスク」」を毎月整理して公表する仕組みを作って、世界に公開するようにしてもらいたい。
どの人の、どんな認識が今を作っているかが判り、その議論をする場を「ダボス会議風会議」として欲しいものです。
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ーーーーーーーダイハツ不正問題、「社風のせい」は大間違い...ーーーーーー
「現代社会では当たり前のこと」ができていなかった
2024年01月17日;加谷珪一;ニューズ・ウイーク、
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>>><ダイハツの不祥事は「自己中心的な社風」が原因のひとつとされるが、社風とは良い方向にも悪い方向にも働くものだ>
・・・・
軽自動車を手がけるダイハツ工業が長年にわたって大規模な不正を行っていたことが明らかになった。
自動車は日本の基幹産業であるとともに、グローバルに通用する数少ない分野の1つである。
日本の豊かさを支える最後のとりでが虚偽のデータで支えられていたという現実は、多くの国民に衝撃を与えたことだろう。
・・・・
不祥事の原因としてさまざまな理由が指摘されており、その中の1つがダイハツの社風とされる。
第三者委員会による調査報告書では「自分や自工程さえよければよく、他人がどうであっても構わない」という自己中心的な風潮があり、これが認証試験のブラックボックス化を招いたと指摘している。
こうした情緒的な表現はメディアも取り上げやすく、関連した報道が多数、見受けられる。
・・・・
自己中心的な社風が存在していたのはそのとおりなのだろうが、企業の不祥事を社風の問題として片付けることは、資本主義が高度に発達した現代社会においては危うい行為であると筆者は考える。
なぜなら、社風というのは極めて曖昧なものであり、良い方向に働くこともあれば、悪い方向に働くこともあり、それ自体が絶対的な要因にはなり得ないからである。
製造業というのはモノ作りそのものであり、その業務の性質上、何かトラブルがあると全て後工程にシワ寄せがいく。
もし各工程の担当者が他部署のことを考慮し、柔軟に対応するような社風だった場合、前工程のミスを後工程でごまかすといった行為が行われかねない。
・・・・
>>>>かつて優秀な日本メーカーにあった社風
つまり自己中心的な社風というのは、品質を担保する重要な役割を果たす可能性もあり、一概に悪いとは言えないのだ。
優秀とされた多くの日本メーカーでは、自分の管轄以外のところは一切関心を持たず、指定された業務に集中し、それ以外の要求には応じないという頑固な社風が出来上がっていることが多かった。
このように社風というものは、いかようにも作用するものであり、どう作用するのかは状況によって変わる。
戦後の日本社会は社風という曖昧な力を武器に、工業製品の大量生産に邁進したが、社会は確実に変化している。
特定の社風を維持するには、同質社会であることが絶対要件となり、同じような人材ばかりが採用され、組織は硬直化していく。
特に1990年代以降は市場の多様化とデジタル化が一気に進み、従来のやり方はことごとく通じなくなった。
・・・・
>>>>雰囲気ではなくルールで統治することが絶対条件
多種多様な人材を組織化しなければならない現代社会においては、雰囲気ではなくルールで統治することが絶対要件であり、その責任を担うのが経営陣であることは明白だ。
全ては経営の問題であり、一連の不正行為は、長年にわたってガバナンスが機能していなかった現実を露呈したにすぎない。
報告書では最終責任は経営陣にあると指摘しているものの「経営幹部のリスク感度を高めるための取り組み」など甘い言葉が並ぶ。
上場企業の経営者というのは、場合によっては刑事告発や巨額の賠償責任を負う立場であり、そうであればこそ高い社会的地位が与えられる。
・・・・
リスク感度が低い人材が経営者になることなど、そもそもあってはならない。
本当に幹部のリスク感度が低かったのであれば、経営陣を全交代させるくらいの改革を行わなければ、信頼回復など不可能だろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2024/01/post-263.php
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では、草々
2024-1-24
森下克介
Posted by もりかつ at
14:29
│Comments(0)
2024年01月24日
地下の「メタンプール」の作るクレータ、なんとかしたい・・・
前略
北極圏の周りには、「メタン・クレータ」が沢山あり、まだ増えそうである。中東(カザフスタンの地獄の門)にも、まだたくさんの地下の爆弾が眠っているようだ。
今回、の話題は、メタンガスプールの下から断層を通して加熱源が上昇して爆発的な噴出とクレータの形成が考えられるということの様である。
・・・・
現在の技術なら地下のメタンプールの存在とその位置位は簡単に調べられそうである。
それが判れば、地中からプールの下に採掘用のパイプを挿入して、ガスを抽出すること位は出来そうである。
その採掘したメタンを液化して、現在のエネルギーとして使用すればいい。
石油や石炭の採掘を全部やめて、この爆発阻止用のLNGを世界規模で開発し、世界中が利用するだけでも、ある程度の気候危機対策になると言えそうである。
更に、石炭化学や石油化学製品への利用もこのLNGを全ての原料とするということでしょう。
・・・・
しかし、このLNGはきっと無限大に近いものでしょう・・・・。
大変ですが、海水へのCO2吸収プロジェクトを大規模に推進するひtしょうもあるでしょう。
地獄の門の地下のメタンプールも地下から採掘して、クレータを閉鎖出来ればいいと思います。
・・・・
テッピングポイントを抑えるためにもこの挑戦は必要と思います・・・・・。
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ーーーーーシベリアに次々と出現するクレーター、その原因に新たな説ーーーーーー
BUSINESS INSIDER JAPAN;Marianne Guenot 、2024-1-22,
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>>>>シベリアで次々と出現する巨大クレーターについて、科学者たちが新たな説を唱えた。
2012年に初めて発見されたこれらのクレーターは、深さ50メートル、幅20メートルを超えるものもある。
永久凍土の下に蓄積された天然ガスでできた高温の「時限爆弾」が、クレーター形成の原因かもしれない。
科学者たちは、シベリアの永久凍土にランダムに出現しているように見える巨大な「爆発クレーター」について、新たな説を唱えている。
・・・・・・
2012年に初めて発見されたこれらのクレーターは、荒涼としたシベリアの永久凍土に次々と出現し、科学者たちを困惑させている。
クレーターの大きさは深さ50メートル、幅20メートルを超えることがあり、爆発時のがれきが何十メートルも離れた場所に吹き飛ばされることもある。また、爆風の音は100キロメートル先まで聞こえるという報告もある。
オスロ大学(ノルウェー)環境地球科学のヘルゲ・ヘルレヴァング(Helge Hellevang)教授の研究チームは、地下から湧き上がってくる高温の天然ガスが爆発的噴出の原因ではないかと考えている。
・・・・
そうだとすれば、クレーターがシベリアの特定地域にしか出現しない理由が説明できるかもしれない。
この地域は天然ガスが地下に大量に埋蔵されていることで知られているとヘルレヴァングはBusiness Insiderに語っている。
「気候変動や大気の温暖化によって永久凍土の他の部分が融けてくると、このような爆発が起こる。シベリアだけで見られる現象だ」
・・・・
>>>>地下深くから湧き上がってくるガスがクレーター形成の一因
永久凍土には多くの有機物が閉じ込められている。気温が上昇すると、永久凍土が解け、有機物が分解される。
その過程でメタンが放出される。
そのため、永久凍土そのものから染み出したメタンが、クレーター出現の原因となったとこれまで考えられていたのは自然なことだった。
これはおかしな考えではない。
永久凍土が溶けている地域に出現するサーモカルスト(地表付近が融解、凍結を繰り返して造られる凹凸のある地形)や湖では、メタンが泡立ち、火がつくこともある。
しかし、そうだとするといわゆる「爆発クレーター」が非常に局所的である理由を説明できない。
これまでに確認されているクレーターはわずか8つで、そのすべてがロシア北部の西シベリアに位置するヤマル半島とギダン半島という非常に特殊な地域内にある。
・・・・
それとは対照的に、「爆発湖」はカナダなど永久凍土のあるさまざまな地域で見られる。
ヘルレヴァングの研究チームは、別のメカニズムが働いていると考えている。
断層のような亀裂から高温の天然ガスが湧き上がり、凍った堆積層の下に蓄積し、永久凍土を下から加熱しているというのだ。
そのため永久凍土がやわらかくなり、崩壊しやすくなる。
・・・・
「この爆発は、永久凍土が薄く、壊れるほど弱い場合にしか起こりえない」とヘルレヴァングは言う。
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https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%82%B7%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%81%AB%E6%AC%A1%E3%80%85%E3%81%A8%E5%87%BA%E7%8F%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC-%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%AB%E6%96%B0%E3%81%9F%E3%81%AA%E8%AA%AC/ar-BB1h9pwT?ocid=msedgntp&pc=LCTS&cvid=26d7c2360c3e4720a5e1178340f277ca&ei=13
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ーーーーー中央アジア、燃え続ける「地獄の門」 炎は消せるのかーーーーー
ナショナル ジオグラフィック;2023年12月15日
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>>>>ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)であるジョージ・コロウニス氏は、10年前に史上初めて燃えさかる「地獄の門」に入った。
トルクメニスタン中北部のカラクム砂漠にぽっかりあいた直径70メートル、深さ30メートルの巨大な穴だ。
正式には近くの村にちなんで「ダルバザ・クレーター」と名付けられているが、通称の方がしっくりくる。
この穴からはメタンガスが噴き出していて、何十年も前に燃えはじめた火が今日までずっと燃え続けているのだ。
・・・・
コロウニス氏は2年がかりで計画を練り、クレーターの上に張り渡されたロープにぶら下がってクレーターの内側に入った。
そして、わずか17分の間に、ガスの測定を行い、土壌サンプルを採取して戻ってきた。
「あの17分間は、私の脳裏に深く刻まれています」と氏は振り返る。
「クレーターは想像よりもはるかに恐ろしく、熱く、巨大でした」
氏の冒険によってダルバザ・クレーターの存在は全世界に知られることになり、その壮麗な炎の画像は、クレーターの起源にまつわる真偽の怪しい物語とともに拡散され、この秘密主義の旧ソ連構成国を訪れる観光客を魅了している。
・・・・
しかしメタンは温室効果ガスであり、膨大な量の石油と天然ガスを埋蔵するトルクメニスタンには、大気中にメタンを漏出させている老朽化した工業施設が無数にある。
2023年の夏、米国政府とトルクメニスタン政府は、ダルバザ・クレーターを含めて、協力してこれらのメタン排出源を永久に封鎖する方法を話し合った。
とはいえ、地獄の門の炎を消すのは簡単な仕事ではない。
その可能性を探るには、まず3つの重要な疑問に答えなければならない。
ーーーダルバザ・クレーターはどのようにしてできたのか?
ーーーその火を消すにはどうすればよいのか?
ーーーそもそも地獄の門は閉じるべきなのだろうか?
・・・・・
燃え立つダルバザ・クレーター。2013年、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)であるジョージ・コロウニス氏は、科学サンプルを採取するためにクレーターの中に入り、17分間作業をした。(PHOTOGRAPH BY GILES CLARKE, GETTY IMAGES)
>>>>ソ連時代の置き土産
ダルバザ・クレーターは、見た目は地獄のようだが、科学的には特に不思議なものではない。
トルクメン語で 「カラクムの光」とも呼ばれるこのクレーターは、膨大な量の石油と天然ガスを埋蔵するアム・ダリヤ盆地の上にある。
天然ガスの主成分はメタンで、地殻からは多くのメタンが漏れ出している。
このガスに火がつけば、燃料か熱源か酸素がなくなるまで燃え続ける。
・・・・
通常、この地域のメタンガスは石油産業によって利用されるか、地上や水中に漏れ出している。
漏出は多くの場合、誰にも気づかれない。
ダルバザ・クレーターが放置されたまま何十年も燃え続けているのは奇妙だが、その始まりが冷戦時代の産業事故にあることはほぼ間違いない。
ダルバザ・クレーターの起源については複数の説があり、どれが最も有力なのかは分からないが、似たような筋書きの説がいくつかある。1960年代から1980年代にかけてのある時期、ソ連の技術者たちがこの地域で掘削作業(石油の試掘かもしれない)をしていたところ、地下で崩落が起こり、地表に巨大な穴があいてメタンガスが噴出したというのだ。
おそらく技術者たちは、メタンガスがすぐに燃え尽きることを期待して火をつけたのだろう。
あるいは誰かがタバコを投げ入れて、たまたま火がついてしまったのかもしれない。
いずれにせよ、メタンガスはいつ果てるともなく燃え続け、多くの種類の有害物質を放出している。
ただ、近くの村は2004年に廃村となったので、被害を受ける地元住民はいない。
・・・・
地獄の門は、外国人に国境をほぼ閉ざしているトルクメニスタンにとって、貴重な観光収入源になっている。コロウニス氏は、「マーケティングですよ。
地獄の門は、トルクメニスタンの一番の観光名所なのです」と言う。
・・・・
>>>>「カオス状態」のメタン漏出
ダルバザ・クレーターは、トルクメニスタンのグルバングルイ・ベルドイムハメドフ前大統領のおかげで、同国内で奇妙な神話的地位を占めている。
コロウニス氏によると、在任中だった2019年にベルドイムハメドフ氏の死亡説が流れたことがあったが、自らラリーカーでダルバザを訪れ、クレーターを一周してみせることで死亡説を打ち消したのだという。
ところが前大統領は息子に権力を移譲する直前の2022年1月に、地獄の門の火を消して、噴出するメタンを有効活用すべきだと主張しはじめた。
この案には一定の長所がある。
メタンは非常に強力な温室効果ガスだが、大気中に何百年も残る二酸化炭素とは違い、わずか数年で地球の大気から消滅する。
その反面、メタンは二酸化炭素に比べてはるかに多くの熱を蓄えるため、短期間に急激な影響を気候に及ぼすおそれがあるからだ。
・・・・
グローバル・メタン・プレッジ(世界のメタン排出量を2030年までに2020年比で30%削減することを目標に米国と欧州連合(EU)が主導するイニシアティブで、日本を含む100を超える国と地域が参加)をはじめとするさまざまな国際協定が、人為的な発生源からのメタン排出だけでなく、湿地帯や融解する永久凍土からのメタンの放出も食い止めようとしている。
トルクメニスタンは世界有数のメタン排出国だ。
この不名誉な称号は、ソ連時代の無謀な化石燃料採掘の結果、ダルバザ・クレーターのような、メタンガスが漏れ出す油井やパイプラインなどの工業施設が多数残ってしまったことに由来する。
これらの問題は、1991年にトルクメニスタンがソ連から独立したときにも引き継がれ、解決されないまま今日に至っている。
「まさにカオス状態です」と、英ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校の気候科学者であるユアン・ニスベット氏は言う。
実のところ、トルクメニスタン全土で漏れ出しているメタンの量に比べれば、ダルバザ・クレーターから漏れるメタンなど取るに足らない量だ。
・・・・
英インペリアル・カレッジ・ロンドンの火災科学者であるギレルモ・レイン氏は、「メタンが漏れるのは良くないことです」と言う。
「けれども、燃えているのは良いことです」。
地獄の門は、漏れ出したメタンの大部分を二酸化炭素と水蒸気に変える。
これらも温室効果ガスではあるが、メタンほど強力ではない。
実際、現在のように燃えているダルバザ・クレーターは、大したメタン排出源にはならない。
それでも、地獄の門の炎は「どうしてもメディアや各国政府の注目を集めてしまいます」とコロウニス氏は言う。
その中にはトルクメニスタン政府も含まれている。
彼らはときに、このクレーターを自国の排出量問題の恥ずべき象徴として見ることがある。
・・・・
人里離れたカラクム砂漠にあるダルバザ・クレーターの航空写真。炎を消そうとする試みは大きな危険を伴い、高額の費用がかかるだけでなく、おそらく良い結果を生まないだろう。(PHOTOGRAPH BY CAROLYN DRAKE, MAGNUM PHOTOS)
>>>>地獄の門を閉じるには
ダルバザ・クレーターの息の根を止めるには、火を消し、メタンガスの噴出を止めるという2つのことが必要だ。
火を消すのは、ガスの噴出を止めるよりはるかに簡単だ。
例えば、速乾性のセメントをクレーターに吹き付けて蓋をすれば、酸素を含む空気の供給を断ち切ることができる。
しかし、英ニューカッスル大学のエネルギー地球科学者であるマーク・アイルランド氏は、この方法には慎重だ。
クレーターという出口をふさがれたメタンガスは、地表に到達する別のルートを見つけ、トルクメニスタンに新たなメタン排出源を追加するだけだろうと氏は考えている。
つまり、地獄の門の息の根を止めるためには、メタンの噴出を止めるしかない。
コロウニス氏は、「名案を持っている人は誰もいないと思います」と言う。
・・・・
レイン氏は、ダルバザ・クレーターの下に何があるのか知ることが大切だと言う。
氏は、石油業界の専門家に依頼して、ガスが出てくる地中の亀裂がある位置を特定してもらってはどうかと提案している。
亀裂の場所が分かれば、地中のパイプから亀裂にコンクリートを注入できるかもしれない。
レイン氏は、「石油・天然ガス業界の技術があるのですから、ガスの通り道が分かれば、それをふさぐことはできるはずです」と言い、彼らが手を貸してくれなければ、「有効な手を打てる望みはありません」と結論づける。
氏はまた、細心の注意を払って作業を進めないと、飛び散った火花や掘削事故によって致命的な爆発が起こるおそれがあるとも警告する。
・・・・
しかしオーストラリア、アデレード大学の石油地力学の専門家であるマーク・ティンゲイ氏は、地中の亀裂の場所を特定できたとしても、自分にはそれをふさぐ方法が思いつかないと言う。
氏は、工業プロセスに伴う漏出を止めるのも難しいが、地質学的な原因による漏出を止めるのははるかに困難で、不確定要素だらけだと指摘する。
逆説的だが、大型の爆発物を使ってメタンを封じ込める方法もある。
油井火災を消し止めるのに用いられている方法だ。
掘削した穴から爆弾を投入してメタンの発生源の近くで爆発させ、酸素を断ち切って火を消すと同時に、メタンを放出している亀裂を崩して埋めるのだ。
・・・・
この方法がダルバザ・クレーターでうまくいくかは不明だが、非常に大きな爆弾が必要になる可能性が高い。
実際、ソ連の技術者たちは核弾頭を使って地下火災を封じ込めたことが数回ある(最後に使用されたのは1981年だった)。
幸い、この方法は現在の世界では支持を得られそうにないし、ダルバザ・クレーターではうまくいかないだろう。
コロウニス氏は、それは「最も馬鹿げたアイデア」であるだけでなく、別の場所からメタンが噴き出すだけだろうと考えている。
地獄の門を閉じようとする試みは、極めて困難で、非常に危険で、多額の費用がかかり、良い結果を生まない可能性が高いという点で、専門家の意見は一致しているようだ。
そう考えると、おそらく最善の選択肢は何もしないことだろう。
・・・・
「私はトルクメニスタン政府に対し、このまま燃やしておくようにと正式に助言しました」とコロウニス氏は言う。
しかし、気まぐれな政権がダルバザ・クレーターについて意見をコロコロ変えているかぎり、地獄の門の未来は宙に浮いたままだ。
「何が起こるか、誰にも分かりません」
文=ROBIN GEORGE ANDREWS/訳=三枝小夜子(ナショナル ジオグラフィック日本版サイトで2023年11月21日公開)
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC279FM0X21C23A1000000/
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北極圏の周りには、「メタン・クレータ」が沢山あり、まだ増えそうである。中東(カザフスタンの地獄の門)にも、まだたくさんの地下の爆弾が眠っているようだ。
今回、の話題は、メタンガスプールの下から断層を通して加熱源が上昇して爆発的な噴出とクレータの形成が考えられるということの様である。
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現在の技術なら地下のメタンプールの存在とその位置位は簡単に調べられそうである。
それが判れば、地中からプールの下に採掘用のパイプを挿入して、ガスを抽出すること位は出来そうである。
その採掘したメタンを液化して、現在のエネルギーとして使用すればいい。
石油や石炭の採掘を全部やめて、この爆発阻止用のLNGを世界規模で開発し、世界中が利用するだけでも、ある程度の気候危機対策になると言えそうである。
更に、石炭化学や石油化学製品への利用もこのLNGを全ての原料とするということでしょう。
・・・・
しかし、このLNGはきっと無限大に近いものでしょう・・・・。
大変ですが、海水へのCO2吸収プロジェクトを大規模に推進するひtしょうもあるでしょう。
地獄の門の地下のメタンプールも地下から採掘して、クレータを閉鎖出来ればいいと思います。
・・・・
テッピングポイントを抑えるためにもこの挑戦は必要と思います・・・・・。
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ーーーーーシベリアに次々と出現するクレーター、その原因に新たな説ーーーーーー
BUSINESS INSIDER JAPAN;Marianne Guenot 、2024-1-22,
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>>>>シベリアで次々と出現する巨大クレーターについて、科学者たちが新たな説を唱えた。
2012年に初めて発見されたこれらのクレーターは、深さ50メートル、幅20メートルを超えるものもある。
永久凍土の下に蓄積された天然ガスでできた高温の「時限爆弾」が、クレーター形成の原因かもしれない。
科学者たちは、シベリアの永久凍土にランダムに出現しているように見える巨大な「爆発クレーター」について、新たな説を唱えている。
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2012年に初めて発見されたこれらのクレーターは、荒涼としたシベリアの永久凍土に次々と出現し、科学者たちを困惑させている。
クレーターの大きさは深さ50メートル、幅20メートルを超えることがあり、爆発時のがれきが何十メートルも離れた場所に吹き飛ばされることもある。また、爆風の音は100キロメートル先まで聞こえるという報告もある。
オスロ大学(ノルウェー)環境地球科学のヘルゲ・ヘルレヴァング(Helge Hellevang)教授の研究チームは、地下から湧き上がってくる高温の天然ガスが爆発的噴出の原因ではないかと考えている。
・・・・
そうだとすれば、クレーターがシベリアの特定地域にしか出現しない理由が説明できるかもしれない。
この地域は天然ガスが地下に大量に埋蔵されていることで知られているとヘルレヴァングはBusiness Insiderに語っている。
「気候変動や大気の温暖化によって永久凍土の他の部分が融けてくると、このような爆発が起こる。シベリアだけで見られる現象だ」
・・・・
>>>>地下深くから湧き上がってくるガスがクレーター形成の一因
永久凍土には多くの有機物が閉じ込められている。気温が上昇すると、永久凍土が解け、有機物が分解される。
その過程でメタンが放出される。
そのため、永久凍土そのものから染み出したメタンが、クレーター出現の原因となったとこれまで考えられていたのは自然なことだった。
これはおかしな考えではない。
永久凍土が溶けている地域に出現するサーモカルスト(地表付近が融解、凍結を繰り返して造られる凹凸のある地形)や湖では、メタンが泡立ち、火がつくこともある。
しかし、そうだとするといわゆる「爆発クレーター」が非常に局所的である理由を説明できない。
これまでに確認されているクレーターはわずか8つで、そのすべてがロシア北部の西シベリアに位置するヤマル半島とギダン半島という非常に特殊な地域内にある。
・・・・
それとは対照的に、「爆発湖」はカナダなど永久凍土のあるさまざまな地域で見られる。
ヘルレヴァングの研究チームは、別のメカニズムが働いていると考えている。
断層のような亀裂から高温の天然ガスが湧き上がり、凍った堆積層の下に蓄積し、永久凍土を下から加熱しているというのだ。
そのため永久凍土がやわらかくなり、崩壊しやすくなる。
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「この爆発は、永久凍土が薄く、壊れるほど弱い場合にしか起こりえない」とヘルレヴァングは言う。
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https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%82%B7%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%81%AB%E6%AC%A1%E3%80%85%E3%81%A8%E5%87%BA%E7%8F%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC-%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%AB%E6%96%B0%E3%81%9F%E3%81%AA%E8%AA%AC/ar-BB1h9pwT?ocid=msedgntp&pc=LCTS&cvid=26d7c2360c3e4720a5e1178340f277ca&ei=13
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ーーーーー中央アジア、燃え続ける「地獄の門」 炎は消せるのかーーーーー
ナショナル ジオグラフィック;2023年12月15日
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>>>>ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)であるジョージ・コロウニス氏は、10年前に史上初めて燃えさかる「地獄の門」に入った。
トルクメニスタン中北部のカラクム砂漠にぽっかりあいた直径70メートル、深さ30メートルの巨大な穴だ。
正式には近くの村にちなんで「ダルバザ・クレーター」と名付けられているが、通称の方がしっくりくる。
この穴からはメタンガスが噴き出していて、何十年も前に燃えはじめた火が今日までずっと燃え続けているのだ。
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コロウニス氏は2年がかりで計画を練り、クレーターの上に張り渡されたロープにぶら下がってクレーターの内側に入った。
そして、わずか17分の間に、ガスの測定を行い、土壌サンプルを採取して戻ってきた。
「あの17分間は、私の脳裏に深く刻まれています」と氏は振り返る。
「クレーターは想像よりもはるかに恐ろしく、熱く、巨大でした」
氏の冒険によってダルバザ・クレーターの存在は全世界に知られることになり、その壮麗な炎の画像は、クレーターの起源にまつわる真偽の怪しい物語とともに拡散され、この秘密主義の旧ソ連構成国を訪れる観光客を魅了している。
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しかしメタンは温室効果ガスであり、膨大な量の石油と天然ガスを埋蔵するトルクメニスタンには、大気中にメタンを漏出させている老朽化した工業施設が無数にある。
2023年の夏、米国政府とトルクメニスタン政府は、ダルバザ・クレーターを含めて、協力してこれらのメタン排出源を永久に封鎖する方法を話し合った。
とはいえ、地獄の門の炎を消すのは簡単な仕事ではない。
その可能性を探るには、まず3つの重要な疑問に答えなければならない。
ーーーダルバザ・クレーターはどのようにしてできたのか?
ーーーその火を消すにはどうすればよいのか?
ーーーそもそも地獄の門は閉じるべきなのだろうか?
・・・・・
燃え立つダルバザ・クレーター。2013年、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)であるジョージ・コロウニス氏は、科学サンプルを採取するためにクレーターの中に入り、17分間作業をした。(PHOTOGRAPH BY GILES CLARKE, GETTY IMAGES)
>>>>ソ連時代の置き土産
ダルバザ・クレーターは、見た目は地獄のようだが、科学的には特に不思議なものではない。
トルクメン語で 「カラクムの光」とも呼ばれるこのクレーターは、膨大な量の石油と天然ガスを埋蔵するアム・ダリヤ盆地の上にある。
天然ガスの主成分はメタンで、地殻からは多くのメタンが漏れ出している。
このガスに火がつけば、燃料か熱源か酸素がなくなるまで燃え続ける。
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通常、この地域のメタンガスは石油産業によって利用されるか、地上や水中に漏れ出している。
漏出は多くの場合、誰にも気づかれない。
ダルバザ・クレーターが放置されたまま何十年も燃え続けているのは奇妙だが、その始まりが冷戦時代の産業事故にあることはほぼ間違いない。
ダルバザ・クレーターの起源については複数の説があり、どれが最も有力なのかは分からないが、似たような筋書きの説がいくつかある。1960年代から1980年代にかけてのある時期、ソ連の技術者たちがこの地域で掘削作業(石油の試掘かもしれない)をしていたところ、地下で崩落が起こり、地表に巨大な穴があいてメタンガスが噴出したというのだ。
おそらく技術者たちは、メタンガスがすぐに燃え尽きることを期待して火をつけたのだろう。
あるいは誰かがタバコを投げ入れて、たまたま火がついてしまったのかもしれない。
いずれにせよ、メタンガスはいつ果てるともなく燃え続け、多くの種類の有害物質を放出している。
ただ、近くの村は2004年に廃村となったので、被害を受ける地元住民はいない。
・・・・
地獄の門は、外国人に国境をほぼ閉ざしているトルクメニスタンにとって、貴重な観光収入源になっている。コロウニス氏は、「マーケティングですよ。
地獄の門は、トルクメニスタンの一番の観光名所なのです」と言う。
・・・・
>>>>「カオス状態」のメタン漏出
ダルバザ・クレーターは、トルクメニスタンのグルバングルイ・ベルドイムハメドフ前大統領のおかげで、同国内で奇妙な神話的地位を占めている。
コロウニス氏によると、在任中だった2019年にベルドイムハメドフ氏の死亡説が流れたことがあったが、自らラリーカーでダルバザを訪れ、クレーターを一周してみせることで死亡説を打ち消したのだという。
ところが前大統領は息子に権力を移譲する直前の2022年1月に、地獄の門の火を消して、噴出するメタンを有効活用すべきだと主張しはじめた。
この案には一定の長所がある。
メタンは非常に強力な温室効果ガスだが、大気中に何百年も残る二酸化炭素とは違い、わずか数年で地球の大気から消滅する。
その反面、メタンは二酸化炭素に比べてはるかに多くの熱を蓄えるため、短期間に急激な影響を気候に及ぼすおそれがあるからだ。
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グローバル・メタン・プレッジ(世界のメタン排出量を2030年までに2020年比で30%削減することを目標に米国と欧州連合(EU)が主導するイニシアティブで、日本を含む100を超える国と地域が参加)をはじめとするさまざまな国際協定が、人為的な発生源からのメタン排出だけでなく、湿地帯や融解する永久凍土からのメタンの放出も食い止めようとしている。
トルクメニスタンは世界有数のメタン排出国だ。
この不名誉な称号は、ソ連時代の無謀な化石燃料採掘の結果、ダルバザ・クレーターのような、メタンガスが漏れ出す油井やパイプラインなどの工業施設が多数残ってしまったことに由来する。
これらの問題は、1991年にトルクメニスタンがソ連から独立したときにも引き継がれ、解決されないまま今日に至っている。
「まさにカオス状態です」と、英ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校の気候科学者であるユアン・ニスベット氏は言う。
実のところ、トルクメニスタン全土で漏れ出しているメタンの量に比べれば、ダルバザ・クレーターから漏れるメタンなど取るに足らない量だ。
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英インペリアル・カレッジ・ロンドンの火災科学者であるギレルモ・レイン氏は、「メタンが漏れるのは良くないことです」と言う。
「けれども、燃えているのは良いことです」。
地獄の門は、漏れ出したメタンの大部分を二酸化炭素と水蒸気に変える。
これらも温室効果ガスではあるが、メタンほど強力ではない。
実際、現在のように燃えているダルバザ・クレーターは、大したメタン排出源にはならない。
それでも、地獄の門の炎は「どうしてもメディアや各国政府の注目を集めてしまいます」とコロウニス氏は言う。
その中にはトルクメニスタン政府も含まれている。
彼らはときに、このクレーターを自国の排出量問題の恥ずべき象徴として見ることがある。
・・・・
人里離れたカラクム砂漠にあるダルバザ・クレーターの航空写真。炎を消そうとする試みは大きな危険を伴い、高額の費用がかかるだけでなく、おそらく良い結果を生まないだろう。(PHOTOGRAPH BY CAROLYN DRAKE, MAGNUM PHOTOS)
>>>>地獄の門を閉じるには
ダルバザ・クレーターの息の根を止めるには、火を消し、メタンガスの噴出を止めるという2つのことが必要だ。
火を消すのは、ガスの噴出を止めるよりはるかに簡単だ。
例えば、速乾性のセメントをクレーターに吹き付けて蓋をすれば、酸素を含む空気の供給を断ち切ることができる。
しかし、英ニューカッスル大学のエネルギー地球科学者であるマーク・アイルランド氏は、この方法には慎重だ。
クレーターという出口をふさがれたメタンガスは、地表に到達する別のルートを見つけ、トルクメニスタンに新たなメタン排出源を追加するだけだろうと氏は考えている。
つまり、地獄の門の息の根を止めるためには、メタンの噴出を止めるしかない。
コロウニス氏は、「名案を持っている人は誰もいないと思います」と言う。
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レイン氏は、ダルバザ・クレーターの下に何があるのか知ることが大切だと言う。
氏は、石油業界の専門家に依頼して、ガスが出てくる地中の亀裂がある位置を特定してもらってはどうかと提案している。
亀裂の場所が分かれば、地中のパイプから亀裂にコンクリートを注入できるかもしれない。
レイン氏は、「石油・天然ガス業界の技術があるのですから、ガスの通り道が分かれば、それをふさぐことはできるはずです」と言い、彼らが手を貸してくれなければ、「有効な手を打てる望みはありません」と結論づける。
氏はまた、細心の注意を払って作業を進めないと、飛び散った火花や掘削事故によって致命的な爆発が起こるおそれがあるとも警告する。
・・・・
しかしオーストラリア、アデレード大学の石油地力学の専門家であるマーク・ティンゲイ氏は、地中の亀裂の場所を特定できたとしても、自分にはそれをふさぐ方法が思いつかないと言う。
氏は、工業プロセスに伴う漏出を止めるのも難しいが、地質学的な原因による漏出を止めるのははるかに困難で、不確定要素だらけだと指摘する。
逆説的だが、大型の爆発物を使ってメタンを封じ込める方法もある。
油井火災を消し止めるのに用いられている方法だ。
掘削した穴から爆弾を投入してメタンの発生源の近くで爆発させ、酸素を断ち切って火を消すと同時に、メタンを放出している亀裂を崩して埋めるのだ。
・・・・
この方法がダルバザ・クレーターでうまくいくかは不明だが、非常に大きな爆弾が必要になる可能性が高い。
実際、ソ連の技術者たちは核弾頭を使って地下火災を封じ込めたことが数回ある(最後に使用されたのは1981年だった)。
幸い、この方法は現在の世界では支持を得られそうにないし、ダルバザ・クレーターではうまくいかないだろう。
コロウニス氏は、それは「最も馬鹿げたアイデア」であるだけでなく、別の場所からメタンが噴き出すだけだろうと考えている。
地獄の門を閉じようとする試みは、極めて困難で、非常に危険で、多額の費用がかかり、良い結果を生まない可能性が高いという点で、専門家の意見は一致しているようだ。
そう考えると、おそらく最善の選択肢は何もしないことだろう。
・・・・
「私はトルクメニスタン政府に対し、このまま燃やしておくようにと正式に助言しました」とコロウニス氏は言う。
しかし、気まぐれな政権がダルバザ・クレーターについて意見をコロコロ変えているかぎり、地獄の門の未来は宙に浮いたままだ。
「何が起こるか、誰にも分かりません」
文=ROBIN GEORGE ANDREWS/訳=三枝小夜子(ナショナル ジオグラフィック日本版サイトで2023年11月21日公開)
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC279FM0X21C23A1000000/
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Posted by もりかつ at
11:10
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2024年01月19日
大前さんは「EV騒動はもう終焉」でしょうと、冷静に諭します
前略
流石のビジネスパワー全開の大前氏である。
テスラーのEV車が出た時から、きっとこれは読み切っていたのではないかと思われる位に切れ味鋭くバッサリ切り捨てたということでしょう。
・・・・
さて、「地球沸騰」「脱GDP」「地獄の扉を開けた」「地球を焦がしている」と叫んでいるグテーレスさんは孤軍奮闘ということではないはずです、みんなが理解できるはずです。
これからは「脱GDP」の世界へと議論を大転換して、大いに叫んでほしいものです。
・・・・
私は現在の「金儲け資本主義」のパンデミックを乗り越えるには、現在の「経済学者の権化」とも言われる多くの論者や、大前さんの様な力のある人たちの力こそ必要であると思います。
世界を作る力があるのです。
ダボス会議でもきっと、グテーレス教(IPCCの知恵)の信者ばかりになるでしょう。
・・・・
ローマカソリック教皇、イスラム最高指導者も、専制国家のプーチンさん習近平さんも多くの新興宗教(統一教会をはじめとした貧しい人から金を巻き上げる)、は、その本気度を「グテーレスさんとの議論」に使って示すべきでしょう。
此処で、マーケティングなどの手法はきっと役立つでしょう。経済学者と言われる人々の活躍こそ人類の救いの神になるはずです。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ーーーーーーーーーーーEVは本当に環境にやさしいのか…ーーーーーーー
大前研一「トヨタが一人勝ちになっている世界的理由」、ヨーロッパの環境先進国ではEVに不満続出
プレジデント 2024年2月2日号;大前 研一、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>>>>EVは本当に環境にやさしいのか
近年、世界の自動車産業はEV(電気自動車)一辺倒で進んできた。
しかし、その流れに変化の兆しが見える。
カーボンニュートラルに貢献する技術オプションはEVだけではない。
2024年は、それらのオプションの中で何が今後の大きな流れになっていくのかを、予断なく見ていく必要がある。
・・・・
>>>>象徴的だったのは、23年3月に発表された欧州委員会の方針転換だ。
EU(欧州連合)理事会と欧州議会は、「35年までにすべての新車販売をEV義務化」すると22年10月に合意。
しかし、EUの行政執行機関である欧州委員会とドイツ政府が協議した結果、合成燃料「e-Fuel」を使うエンジン車の新車販売については、35年以降も引き続き容認されることになった。
また、EV義務化に対しては、ユーザーからも疑問の声が上がり始めている。
ノルウェーは世界でもっともEVが普及している国の一つだ。
22年の乗用車新車販売で、約8割をEVが占めた。
・・・・
EVの普及で見えてきた問題点が、充電の困難さだ。
ノルウェーはEVの公共充電器を国策で次々につくり、22年には約2.4万カ所になった。
しかし、それでも設備が足りず、街中の充電器には長蛇の列ができているのだ。
EVの充電は時間がかかる。
技術的には急速充電も可能だが、バッテリーの寿命が短くなるので忌避されており、結局は長い時間をかけて普通充電するのだ。
また寒い地域ではヒーターをよく使うため、電気の使用量も多い。
ただでさえ手間がかかるのに、充電してもすぐにまた充電が必要になるという使い勝手の悪さでは、ユーザーからネガティブな意見が相次ぐのも納得だ。
・・・・
>>>>そしてEVは、もっと根本的な問題も抱えている。そもそもCO2の削減にどれだけ役立つのかが疑問なのだ。
EVそのものは電気で走るため、CO2を排出しない。
ところが、皮肉なことに世界の電力の6割以上は石油や石炭などの化石燃料からつくられている。
一見クリーンに見えるEVも発電方法はクリーンではなく、イメージほど地球環境にやさしくないのだ。
・・・・・
>>>>CO2排出量を減らすのに、EVは本当に理想的なのか。
たとえば私が乗っているトヨタのHV(ハイブリッド車)SUVは、40リットル給油すれば1000キロ走ることができる。
エンジンと電気モーターを内蔵するHVは、従来のガソリン車と比較して走行距離あたりの燃料消費量が格段に少ない。
化石燃料を燃やしてつくった電気で走るか、それとも少ない化石燃料で効率よく走る車を開発するか、あるいはまた別の道を探すか。
そこは落ち着いて議論する必要がある。
無論、専門家の間では長年そうした議論が重ねられてきたが、明確な答えがないまま「EVこそカーボンニュートラルの主役」という流れができた。
各国政府はEV普及に積極的に補助金を出し、狂騒に近い状態が続いていた。
ノルウェーで充電問題が表面化したことも手伝い、異様な空気がようやく変わりつつある。
イギリスやスウェーデン、中国はEV購入補助金を打ち切った。
持続可能な社会のためには、どのような自動車がベストなのか。
24年は、それを偏見のない視点で議論するいいタイミングである。
・・・・
>>>>中国ではEVの墓場が問題に
EVの対抗馬となりうる技術を見ていこう。
まずはHVだ。
HVには、トヨタお得意のガソリンで走りながらつくった電気でモーターを駆動する方式と、充電した電気がなくなったらガソリン走行に切り替えるPHEV(プラグインハイブリッド車)方式がある。
エンジン始動用の補機バッテリーは、両者ともにバッテリーあがりを起こしやすいという課題がある。
しかし、燃費に関して言えば、同じ「ハイブリッド」という名前がついていても、トヨタに代表される方式のほうが断然いい。
そして、EVでもHVでもない第3の道が、水素で走るFCV(燃料電池自動車)だ。全方位戦略のトヨタは、20年にFCVの「MIRAI」をフルモデルチェンジしたが、これはすこぶる評判が悪い。
というのも、水素ステーションの整備が圧倒的に間に合っておらず、これではうまくFCVが普及したとしてもノルウェーの二の舞いだ。
水素は大型プラントで集中的につくってステーションに輸送されるが、バイオを活用して水素を製造する方式も研究されている。
この技術を使えば分散型の水素製造が可能であり、実用化されれば水素ステーション不足の問題は解決する可能性がある。
まだ課題は多いが、今後に期待というところだ。
・・・・
受けて立つEVはどうか。
EV先進国の中国では今、EVの大量廃棄が問題化している。
EVはバッテリーがくたびれると使い物にならない。
中国各地で役目を終えたEVが大量に放置され、「墓場」ができているのだ。
バッテリーはEVの弱点の一つだが、解決策がないわけではない。
取り外し可能なバッテリー交換方式の採用である。
バッテリーの電気がなくなれば、充電所に置いてある別のバッテリーと交換すればいいので、廃棄の問題は発生しない。
また、充電するまで時間がかかる従来の方式と違い、待機時間がなくなるのもいい。
実はバッテリー交換方式は、かつてベタープレイスというアメリカのベンチャーが挑戦したものの、うまくいかずに倒産した歴史がある。
イスラエルでは普及したが、それは国土が狭かったから。
アメリカは広すぎて、全土にバッテリーを用意することができなかったのだ。
・・・・
しかし22年7月、ヤマト運輸はトヨタや日野自動車、いすゞ自動車が出資するCJPTと、商用電気自動車(BEV)のカートリッジ式バッテリー実用化に向けた検討を開始。
ベタープレイスの失敗で一時は忘れられていたバッテリー交換方式が、ふたたび注目を集めている。
宅配業とバッテリー交換方式のEVは相性がいい。
充電所より拠点の数が多く、バッテリーの交換が簡単にできる。住宅街を走るのに排ガスを出さないことも、消費者にはウケがいい。
商用ならば、バッテリー交換方式が復活する可能性はある。
・・・・
>>>>ハイブリッド車はトヨタの技術が世界一
EV、HV、FCVと、それぞれの課題と可能性を技術面から概観してきたが、次世代車争いはビジネスの観点から見ても興味深い。
トヨタは24年3月期の連結純利益予想を上方修正して、過去最高の3兆9500億円に引き上げた。
売上高純利益率は21年上期にテスラに抜かれていたが、5半期ぶりに抜き返した。
トヨタの業績がよかった理由の一つが、HVの好調だ。
トヨタはHVに経営資源を注ぎ込んでいたためにEVシフトで出遅れたが、EV一辺倒の風潮に変化が見え始めた今となっては、対応の遅れが功を奏した格好になる。
・・・・
追いかける海外勢のうち、アメリカのビッグスリー(GM、フォード、クライスラー)はかなり厳しい。
ビッグスリーをめぐっては、全米自動車労働組合(UAW)が40%の賃上げを求めて23年9月からストライキに突入。
ストライキは1カ月半にも及び、最終的に労使は25%の賃上げで合意した。
25%の賃上げで、従業員の初任給は時給4300円以上に。
1日あたり8時間、月に22日間働くと、月給は約76万円。次世代車として何をつくるにしても、人件費がそれだけ跳ね上がると市場で勝負にならない。
今回の妥結でビッグスリーは自滅するほかなくなった。
・・・・
UAWとビッグスリーの妥結を受けて、トヨタもアメリカで9%の賃上げを発表した。
その程度で済んだのは、トヨタがUAWには入っていないからだ。
従業員にマルチタスクが求められるトヨタの生産方式は、組合員の職務範囲をガチガチに決めているUAWと相性が悪い。
そのため、最初からUAWの勢力が弱い南部に工場をつくった。
自動車産業が集積している北部を避けた戦略が、今になって効いている。
実はテスラもUAWに加盟しておらず、アメリカでは西部や南部に生産拠点を置く。
国内生産にもこだわらず、人件費や優遇措置などで自社に都合のいい拠点、具体的には中国やドイツのベルリン郊外にも工場を開設している。
・・・・
マスク氏は南アフリカ出身で、カナダを経てアメリカに渡った。
そうしたバックグラウンドゆえに、マスク氏が率いるテスラは米自動車産業を支配するデトロイト中心主義に毒されていない。
しかし、そんなテスラも大量生産に関して経験が浅いことがアダとなり、オートパイロットの不具合に関して北米だけで200万台のリコールを抱えるなど、最近は追い込まれている。
その他、ドイツ勢はEVシフトが遅れ、トヨタ式のような性能のいいハイブリッド技術も持っていないため、明るい展望を描きにくい。
・・・・
今後の技術動向しだいだが、24年以降の自動車業界は、EVシフトが明確に減速すればトヨタの一人勝ちだ。
一方で、EVシフトの潮流が勢いを落としつつも大きく変わらなければ、トヨタとテスラ、そこに安いコストでEVをつくれるBYDなどの中国勢が加わって混戦の様相を呈するだろう。
・・・・
次世代の自動車メーカーの勝者はどこなのか。
基本となる駆動方式が二転三転しているだけに、結論を急がずに長い目で見たいところだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
https://president.jp/articles/-/77611
+++++++++++++++++++++++++++
もうこれで、「金儲け資本主義」のパンデミックを収束させて、グテーレス教の基に世界が動く時です。
・・・・
では、草々
2024-1-19
森下克介
流石のビジネスパワー全開の大前氏である。
テスラーのEV車が出た時から、きっとこれは読み切っていたのではないかと思われる位に切れ味鋭くバッサリ切り捨てたということでしょう。
・・・・
さて、「地球沸騰」「脱GDP」「地獄の扉を開けた」「地球を焦がしている」と叫んでいるグテーレスさんは孤軍奮闘ということではないはずです、みんなが理解できるはずです。
これからは「脱GDP」の世界へと議論を大転換して、大いに叫んでほしいものです。
・・・・
私は現在の「金儲け資本主義」のパンデミックを乗り越えるには、現在の「経済学者の権化」とも言われる多くの論者や、大前さんの様な力のある人たちの力こそ必要であると思います。
世界を作る力があるのです。
ダボス会議でもきっと、グテーレス教(IPCCの知恵)の信者ばかりになるでしょう。
・・・・
ローマカソリック教皇、イスラム最高指導者も、専制国家のプーチンさん習近平さんも多くの新興宗教(統一教会をはじめとした貧しい人から金を巻き上げる)、は、その本気度を「グテーレスさんとの議論」に使って示すべきでしょう。
此処で、マーケティングなどの手法はきっと役立つでしょう。経済学者と言われる人々の活躍こそ人類の救いの神になるはずです。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ーーーーーーーーーーーEVは本当に環境にやさしいのか…ーーーーーーー
大前研一「トヨタが一人勝ちになっている世界的理由」、ヨーロッパの環境先進国ではEVに不満続出
プレジデント 2024年2月2日号;大前 研一、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>>>>EVは本当に環境にやさしいのか
近年、世界の自動車産業はEV(電気自動車)一辺倒で進んできた。
しかし、その流れに変化の兆しが見える。
カーボンニュートラルに貢献する技術オプションはEVだけではない。
2024年は、それらのオプションの中で何が今後の大きな流れになっていくのかを、予断なく見ていく必要がある。
・・・・
>>>>象徴的だったのは、23年3月に発表された欧州委員会の方針転換だ。
EU(欧州連合)理事会と欧州議会は、「35年までにすべての新車販売をEV義務化」すると22年10月に合意。
しかし、EUの行政執行機関である欧州委員会とドイツ政府が協議した結果、合成燃料「e-Fuel」を使うエンジン車の新車販売については、35年以降も引き続き容認されることになった。
また、EV義務化に対しては、ユーザーからも疑問の声が上がり始めている。
ノルウェーは世界でもっともEVが普及している国の一つだ。
22年の乗用車新車販売で、約8割をEVが占めた。
・・・・
EVの普及で見えてきた問題点が、充電の困難さだ。
ノルウェーはEVの公共充電器を国策で次々につくり、22年には約2.4万カ所になった。
しかし、それでも設備が足りず、街中の充電器には長蛇の列ができているのだ。
EVの充電は時間がかかる。
技術的には急速充電も可能だが、バッテリーの寿命が短くなるので忌避されており、結局は長い時間をかけて普通充電するのだ。
また寒い地域ではヒーターをよく使うため、電気の使用量も多い。
ただでさえ手間がかかるのに、充電してもすぐにまた充電が必要になるという使い勝手の悪さでは、ユーザーからネガティブな意見が相次ぐのも納得だ。
・・・・
>>>>そしてEVは、もっと根本的な問題も抱えている。そもそもCO2の削減にどれだけ役立つのかが疑問なのだ。
EVそのものは電気で走るため、CO2を排出しない。
ところが、皮肉なことに世界の電力の6割以上は石油や石炭などの化石燃料からつくられている。
一見クリーンに見えるEVも発電方法はクリーンではなく、イメージほど地球環境にやさしくないのだ。
・・・・・
>>>>CO2排出量を減らすのに、EVは本当に理想的なのか。
たとえば私が乗っているトヨタのHV(ハイブリッド車)SUVは、40リットル給油すれば1000キロ走ることができる。
エンジンと電気モーターを内蔵するHVは、従来のガソリン車と比較して走行距離あたりの燃料消費量が格段に少ない。
化石燃料を燃やしてつくった電気で走るか、それとも少ない化石燃料で効率よく走る車を開発するか、あるいはまた別の道を探すか。
そこは落ち着いて議論する必要がある。
無論、専門家の間では長年そうした議論が重ねられてきたが、明確な答えがないまま「EVこそカーボンニュートラルの主役」という流れができた。
各国政府はEV普及に積極的に補助金を出し、狂騒に近い状態が続いていた。
ノルウェーで充電問題が表面化したことも手伝い、異様な空気がようやく変わりつつある。
イギリスやスウェーデン、中国はEV購入補助金を打ち切った。
持続可能な社会のためには、どのような自動車がベストなのか。
24年は、それを偏見のない視点で議論するいいタイミングである。
・・・・
>>>>中国ではEVの墓場が問題に
EVの対抗馬となりうる技術を見ていこう。
まずはHVだ。
HVには、トヨタお得意のガソリンで走りながらつくった電気でモーターを駆動する方式と、充電した電気がなくなったらガソリン走行に切り替えるPHEV(プラグインハイブリッド車)方式がある。
エンジン始動用の補機バッテリーは、両者ともにバッテリーあがりを起こしやすいという課題がある。
しかし、燃費に関して言えば、同じ「ハイブリッド」という名前がついていても、トヨタに代表される方式のほうが断然いい。
そして、EVでもHVでもない第3の道が、水素で走るFCV(燃料電池自動車)だ。全方位戦略のトヨタは、20年にFCVの「MIRAI」をフルモデルチェンジしたが、これはすこぶる評判が悪い。
というのも、水素ステーションの整備が圧倒的に間に合っておらず、これではうまくFCVが普及したとしてもノルウェーの二の舞いだ。
水素は大型プラントで集中的につくってステーションに輸送されるが、バイオを活用して水素を製造する方式も研究されている。
この技術を使えば分散型の水素製造が可能であり、実用化されれば水素ステーション不足の問題は解決する可能性がある。
まだ課題は多いが、今後に期待というところだ。
・・・・
受けて立つEVはどうか。
EV先進国の中国では今、EVの大量廃棄が問題化している。
EVはバッテリーがくたびれると使い物にならない。
中国各地で役目を終えたEVが大量に放置され、「墓場」ができているのだ。
バッテリーはEVの弱点の一つだが、解決策がないわけではない。
取り外し可能なバッテリー交換方式の採用である。
バッテリーの電気がなくなれば、充電所に置いてある別のバッテリーと交換すればいいので、廃棄の問題は発生しない。
また、充電するまで時間がかかる従来の方式と違い、待機時間がなくなるのもいい。
実はバッテリー交換方式は、かつてベタープレイスというアメリカのベンチャーが挑戦したものの、うまくいかずに倒産した歴史がある。
イスラエルでは普及したが、それは国土が狭かったから。
アメリカは広すぎて、全土にバッテリーを用意することができなかったのだ。
・・・・
しかし22年7月、ヤマト運輸はトヨタや日野自動車、いすゞ自動車が出資するCJPTと、商用電気自動車(BEV)のカートリッジ式バッテリー実用化に向けた検討を開始。
ベタープレイスの失敗で一時は忘れられていたバッテリー交換方式が、ふたたび注目を集めている。
宅配業とバッテリー交換方式のEVは相性がいい。
充電所より拠点の数が多く、バッテリーの交換が簡単にできる。住宅街を走るのに排ガスを出さないことも、消費者にはウケがいい。
商用ならば、バッテリー交換方式が復活する可能性はある。
・・・・
>>>>ハイブリッド車はトヨタの技術が世界一
EV、HV、FCVと、それぞれの課題と可能性を技術面から概観してきたが、次世代車争いはビジネスの観点から見ても興味深い。
トヨタは24年3月期の連結純利益予想を上方修正して、過去最高の3兆9500億円に引き上げた。
売上高純利益率は21年上期にテスラに抜かれていたが、5半期ぶりに抜き返した。
トヨタの業績がよかった理由の一つが、HVの好調だ。
トヨタはHVに経営資源を注ぎ込んでいたためにEVシフトで出遅れたが、EV一辺倒の風潮に変化が見え始めた今となっては、対応の遅れが功を奏した格好になる。
・・・・
追いかける海外勢のうち、アメリカのビッグスリー(GM、フォード、クライスラー)はかなり厳しい。
ビッグスリーをめぐっては、全米自動車労働組合(UAW)が40%の賃上げを求めて23年9月からストライキに突入。
ストライキは1カ月半にも及び、最終的に労使は25%の賃上げで合意した。
25%の賃上げで、従業員の初任給は時給4300円以上に。
1日あたり8時間、月に22日間働くと、月給は約76万円。次世代車として何をつくるにしても、人件費がそれだけ跳ね上がると市場で勝負にならない。
今回の妥結でビッグスリーは自滅するほかなくなった。
・・・・
UAWとビッグスリーの妥結を受けて、トヨタもアメリカで9%の賃上げを発表した。
その程度で済んだのは、トヨタがUAWには入っていないからだ。
従業員にマルチタスクが求められるトヨタの生産方式は、組合員の職務範囲をガチガチに決めているUAWと相性が悪い。
そのため、最初からUAWの勢力が弱い南部に工場をつくった。
自動車産業が集積している北部を避けた戦略が、今になって効いている。
実はテスラもUAWに加盟しておらず、アメリカでは西部や南部に生産拠点を置く。
国内生産にもこだわらず、人件費や優遇措置などで自社に都合のいい拠点、具体的には中国やドイツのベルリン郊外にも工場を開設している。
・・・・
マスク氏は南アフリカ出身で、カナダを経てアメリカに渡った。
そうしたバックグラウンドゆえに、マスク氏が率いるテスラは米自動車産業を支配するデトロイト中心主義に毒されていない。
しかし、そんなテスラも大量生産に関して経験が浅いことがアダとなり、オートパイロットの不具合に関して北米だけで200万台のリコールを抱えるなど、最近は追い込まれている。
その他、ドイツ勢はEVシフトが遅れ、トヨタ式のような性能のいいハイブリッド技術も持っていないため、明るい展望を描きにくい。
・・・・
今後の技術動向しだいだが、24年以降の自動車業界は、EVシフトが明確に減速すればトヨタの一人勝ちだ。
一方で、EVシフトの潮流が勢いを落としつつも大きく変わらなければ、トヨタとテスラ、そこに安いコストでEVをつくれるBYDなどの中国勢が加わって混戦の様相を呈するだろう。
・・・・
次世代の自動車メーカーの勝者はどこなのか。
基本となる駆動方式が二転三転しているだけに、結論を急がずに長い目で見たいところだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
https://president.jp/articles/-/77611
+++++++++++++++++++++++++++
もうこれで、「金儲け資本主義」のパンデミックを収束させて、グテーレス教の基に世界が動く時です。
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では、草々
2024-1-19
森下克介
Posted by もりかつ at
10:57
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2024年01月18日
日本の学者先生は、「中国・インドを見ていると、目標値自体が絵空事である」と断じている
前略
世界の32%のGHG排出国である中国の動向とインドを合わせて考えると、到底無理うということです。
誰も了解事項でしょうが、ここではその無理さを議論している。
・・・・
IPCCの云うことは、無理さ加減を議論することを要求してはいないし、それはそれで世界が考えることであるという立場でしょう。
そこで、グテーレスさんがスポークスマンになって今度は「地球を焦がしている」と叫んでいるわけです。
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ーーーーーー化石燃料から脱却は絵空事 再エネ先進国・中国が示す現実ーーーーー
2024/01/18;World Energy Watch; wedge online,
堀井伸浩 (九州大学経済学研究院准教授)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は昨年12月13日に閉幕したが、その際、新聞・テレビといった大手メディアは「化石燃料からの脱却に合意」という画期的な成果が得られたとの報道を展開していた。
しかし合意された決定文書では、「科学に沿った形で2050年までに排出ネットゼロを達成すべく、エネルギーシステムにおいて化石燃料からこの10年間で行動を加速させ、公正で秩序ある、かつ公平な方法で移行すること(transition away from fossil fuels)を呼びかける」との記述であった。
・・・・・・・・
前々回のCOP26において、欧米諸国は石炭火力の段階的撤廃(phase out)という文言を決定文書に盛り込もうと試みたものの、インドをはじめ途上国の反対に遭い、段階的削減(phase down)にトーンダウンさせられたように、COP28でも欧米諸国や島嶼国は当初、化石燃料のphase outという文言の採用を企図したものの、特にサウジアラビアやロシアの反対により今回も押し込めなかったということになる。
妥協の結果、transition awayという表現が採用された経緯を踏まえれば、脱却という表現が適切ではないことは明白だろう。
・・・・
決定文書の表現は回りくどいが、今後10年間で行動を加速するものの(ただし、加速のスピードには何の規定もない)、移行を経て脱却が実現するスケジュールは何ら合意していないと解釈するのが自然だ。
決定文書はCOP28が化石燃料からの移行を各国に呼びかけたと書いているだけで、各国が移行に向けていかなる対策をするのか、移行の最終ゴールである脱却への具体的なスケジュールは全くコミットされていない(杉山大志「COP28『化石燃料からの脱却に合意』とは本当か」『アゴラ 言論プラットフォーム』 )。
・・・・
化石燃料からの移行(いつかは脱却)がCOPで初めて決定されたのは評価できると考える向きもあるかもしれないが、決定文書には「再エネ、原子力、炭素回収・貯留(CCS)、低炭素水素製造等のゼロ・低排出技術加速」等が盛り込まれ、さらに「エネルギー安全保障に配慮しつつ、エネルギー移行を進めるための『移行燃料』(天然ガス等)の役割」も明記されている。
原子力、CCS、天然ガスがポジティブな意味で決定文書において言及されるのも初めてであり(有馬純「COP28の結果と評価」『アゴラ 言論プラットフォーム』)、化石燃料のひとつである天然ガスはむしろ当面活用されるべきとお墨付きを得たと言える。
またCCS技術が実用的なレベルにコストダウンすれば、化石燃料を活用できる時期は伸びる可能性もある。
・・・・
>>>>やり玉に挙げられる石炭の消費量は史上最多に
COP26でやり玉に挙げられた石炭は、COP28でも開幕当初は石炭火力をphase outに追い込もう(すなわちCOP26のphase downから巻き返そう)と狙い撃ちにされていた。
その後phase outのターゲットが化石燃料全体に広がった経緯は日本の報道を見ているだけではよく分からない。
最終的に決定文書では、「排出削減対策が講じられていない石炭火力はphase downさせる」と結局COP26と同じ表現に止まった。
・・・・
一部メディアは、COP28において脱石炭連盟(Powering Past Coal Association:PPCA)に米国が加盟を表明し、主要7カ国(G7)で加盟していないのは日本だけと、あたかも日本が孤立しているかの印象操作の記事を配信したりもした。
しかしPPCAという組織は加盟国のほとんどが石炭の主要消費国「でない」国々で構成されており(消費量ゼロの国も多い)、率直に言えば石炭の重要性を認識する機会もない国々や自治体が集まって勝手なことを言っているだけである。
もっとも米国は世界第3位の石炭消費国であり、米国が加盟したことでようやくPPCAの影響力に現実性が生まれたと考えられなくもない。しかし米国は国内ではガスが石炭よりも安く、何年も前から経済性によって石炭火力はガス火力に代替される趨勢で、いずれ石炭火力を撤廃することは既定路線である。
これまでは撤廃へのスケジュールに口出しされることを嫌って未加盟だったと思われるが、バイデン大統領のレガシー作りの一環で今回加盟したのだろう。
・・・・
しかし世界の主要石炭消費国、とりわけ2カ国で世界の石炭消費の7割を超える中国とインドが未加盟である以上、PPCAの枠組みの中でやれることはごく限定的である。
COP28閉幕の2日後、国際エネルギー機関(International Energy Agency:IEA)が2023年は世界の石炭消費量が前年比1.4%増加して史上最多となる見込みと公表したが、世界全体の消費増分1億2100万トンに対し、中国は2億2000万トン(前年比成長率4.9%)、インドは9800万トン(同8.4%)で両国合わせて3億1800万トンの消費増となっている。
要するに、中印を除けば世界で石炭消費の削減は進んだが、中印両国が石炭利用を拡大したため全体として石炭消費量が増加しているということだ。
PPCAが何をやろうとも、中印が加盟しなければ全く意味がないということは容易に理解できよう。
・・・・
>>>>再エネの導入拡大も桁違いの中国だが?
IEAによれば24年以降は太陽光や風力など再生可能エネルギー(再エネ)の導入が引き続き進むので、中国の石炭消費量は減少する見通しとしている。
しかし本当にそうなのか?
中国は世界の石炭消費の過半を占める一方、太陽光・風力ともに世界最大の導入量を誇る。
そして23年は中国の太陽光・風力の新規導入量が史上最高の230ギガワット(GW)を記録した。
欧州全体で75GW、米国で40GWというから(いずれも速報値)、中国の再エネの成長力は群を抜いている。
そして中国が再エネの導入を本格化させた2000年代後半以降、中国の一次エネルギー消費に占める石炭の比率は急激に低下してきた。
同比率の2000年代以降のピークは07年の72.5%で、その後上下しつつも11年には70.2%まで低下した後、それ以降は一貫して低下し続け、21年には55.9%とわずか10年で15ポイントも急減したのであった。
・・・・
しかしながら、22年は11年ぶりに石炭の比率の低下傾向が反転、わずか0.3ポイントであるが、56.2%へと上昇した。この22年の再エネの導入状況はと言えば、太陽光の新規設備容量が86GW、風力が同37GW、合計123GWであった。
先に述べた23年の新規設備容量230GWと比べると半分程度に過ぎないが、同じ22年の太陽光および風力の欧州における新規導入量59GW、米国の同25GWと比べるとやはり桁違いの進展と言えよう。重要なことは、これだけの再エネの導入拡大を達成したにもかかわらず、石炭の絶対量を減らすことはおろか、エネルギー構成における石炭の比率を下げることも叶わなかったということである。
・・・・
>>>>再エネが化石燃料を完全代替するのは非現実的
石炭の比率が一貫して低下し始めた11年から22年にかけて、中国のエネルギー需給は合計15億3957万トン(標準炭換算、以下同じ)、40%も増加した。年率では平均3.1%の成長率であった。
エネルギー源別にこの期間の供給量を見ると、水力・原子力・風力・太陽光・その他の合計、すなわち非化石エネルギーはエネルギー需要増加全体の32.6%をカバーした。
一方、石炭は26.3%に止まったことで石炭の比率は低下し続けたことになる。しかし石油、天然ガスを見ると、それぞれエネルギー需要増加分の24.5%、16.5%を供給し、石炭と合わせた化石燃料全体では7割近くを占める。
再生可能エネルギーを含む非化石エネルギーでは、2010年代以降の中国のエネルギー需要の増加を支えることが出来なかったということだ。
非化石エネルギーは年平均10.2%と非常に高い成長率であったにもかかわらず、である。
・・・・・
結局のところ、非化石エネルギーはこれだけの高成長を遂げてきた22年時点においてさえ、一次エネルギーの3割弱をカバーするに過ぎず、非化石エネルギー、とりわけ小規模電源である風力や太陽光といった再エネが中国のエネルギー需要の7割を支える化石燃料を代替するのは一朝一夕にいかないということだ。
中国で再エネの導入が本格化したのは風力が06年から、太陽光が12年からで、20年弱という時間を経て水力と原子力と合わせてもようやく3割にも満たない水準に過ぎない。
また再エネ、非化石エネルギーがいずれも電力という形態での出力に限られているため、石炭をはじめとする化石燃料に取って代わるにはそもそも限度がある。
例えば石炭消費のうち発電および熱供給に用いられているのは全体の55.8%に過ぎず、残りの4割強は主に石炭を直接燃焼させて熱や動力を得るという形態であり、電力で代替するのは困難である。
主要な工業国である中国では依然としてこうした化石燃料に拠らなければ成り立たない巨大なエネルギー需要が存在するのである。
・・・・・
さらに再エネの欠点として、出力が自然任せで大きく変動し、人為的に出力調整ができない間欠性があることは周知の通りである。
その結果として再エネは稼働率が非常に低い。
下記の図は電源別の年間稼働時間数の推移を示したものであるが、風力は25.5%、太陽光は14.6%の稼働率に過ぎない。原子力の89.1%はもちろんのこと、火力の50.8%、水力の41.3%と比べても大幅に低い。
再エネが稼働していない時間は当然ながら他のバックアップ電源の稼働が必要となる。9割近い高稼働率の原子力は出力を引き上げる余地がほとんどなく、水力は日本と同様、中国でも基本的には出力を大きく変動させないベースロード電源として運用されている。
したがって、再エネの出力変動に応じて出力を調整するカバー電源は中国でも火力が中心である。
図の通り、火力の稼働率は再エネ導入が本格化した06年の少し前、04年に68.4%で90年代以降のピークを付け、その後は低下傾向が明らかである。
火力の稼働率が20ポイント近く大幅に低下したのは再エネの稼働が優先され、火力が出力を落として調整せざるを得ないためである。
再エネ導入が急拡大してきた過去20年弱の期間、火力は再エネ優先の下で稼働率の低下を強いられ、採算性が大きく悪化した。
・・・・・
とは言え、石炭火力による発電量が前年比マイナス成長となったのは15年のみであり、一次エネルギー需要のみならず、電力に絞っても再エネの急成長だけでは需要の増加分すべてをまかなうことが出来なかったことを意味する。
すなわち再エネによる石炭火力のphase outはおろかphase downすら実現できなかったというのが現実である。
再エネの間欠性という運転特性から、例えば太陽光は夕方以降は全く発電できなくなるわけで、その出力消失をカバーする電源として石炭火力が役割を果たしてきたということである。
・・・・
>>>>中国のエネルギー構造におけるアンカーとしての石炭
以上のように、中国の今後の石炭需給を考える上で、①発電・熱供給「以外の」石炭需要は中国の石炭消費量の45%程度を占め、こうした石炭を直接利用する需要については再エネをはじめとする非化石エネルギーでは代替が容易でなく、②電力についても再エネの急激な導入拡大にもかかわらず、石炭火力の発電量が前年比でマイナス成長となったのはわずか1年だけで、再エネの出力低下時のカバー電源として化石燃料の中でも中心的な役割を果たしてきた、という点を踏まえなければならない。2
4年以降は再エネの供給増で石炭消費量は減少していくとするIEA見通しに根拠があるのか疑問に思う。
・・・・
確かに、化石燃料消費が減らなかったのは、これまで再エネによる発電量の増加を上回ってエネルギー需要全体が成長したことが原因であり、中国経済の不振でエネルギー需要全体が低迷すれば再エネの発電増だけでまかなわれ、化石燃料の需要減につながる可能性もある。
しかし近年導入されている再エネの重心が風力よりも出力変動が極めて大きく稼働率も低い太陽光に傾倒していることを考えれば、依然としてカバー電源としての化石燃料の需要は底堅いと考えられる。
そもそも中国経済の不振が続いた場合に、再エネに対する投資がこれまでの成長率を維持できるかどうかも疑問である。
既存の再エネ設備は以前と異なり、出力抑制をほとんど受けておらず、新規導入の拡大がなければ再エネの発電量の増加は期待できない。
・・・・
そうすると、石炭需要の今後は化石燃料間の競合性次第ということになる。
特にガスとの競争ということになるが、米国と異なり、中国では石炭はガスよりも大幅に経済性に優れており、ガスは発電にも一部利用されているものの、都市ガスや製造業用途が中心である。
中国経済の不振はむしろ経済性に優れた石炭がますます選好されることになりそうだ。
先の図を見ると20年と21年は火力の稼働率はわずかながら上昇しているが、これは主に水力が渇水により稼働率を低下させたため、水力の出力低下を石炭火力が埋め合わせたことによる。
中国政府は13年から21年までの性急な脱石炭路線を修正したことで、22年のウクライナ戦争に始まる国際エネルギー市場の波乱による打撃を中国は大幅に抑えることができた。
経済性や供給安定性という観点で中国政府は石炭の重要性を再評価しており、まだ当面は石炭を活用し続けていく可能性が高い。
・・・・
こうした点を考えると、元々非現実的な目標を巡ってphase out か、phase downか、あるいはtransition awayか、などと言葉遊びを繰り広げるのではなく、石炭をはじめとする化石燃料の「低」炭素化をまずは進めつつ、中国そしてインドが現実的に導入可能なスケジュールでの化石燃料からの移行と具体的な国際協力の内容こそ、COPで話し合うべき事柄である。
ましてや加盟国の自己アピールに終始し、非加盟国に圧力をかけるだけで建設的な提案をすることもないPPCAのような組織は有害無益である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
https://wedge.ismedia.jp/articles/print/32710
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中国・インドの実情を吟味して、更にアフリカや南米などを含めて議論をして、時間をかけ過ぎないようにしないといけない。
・・・・
IPCCとして、2030年迄の中間目標と2050年までの最終目標値を見すえていかないといけない。
この目標値の拠って来る目的は、「人類の生存」という最低限の生命のとしての人類の要求であることを、もっときちんと議論しないといけないはずである。
学者先生たちは、目標ではない目的をもっと議論しながら公の場での議論をしてもらわないといけない!!
・・・・
では、草々
2024-1-18
森下克介
世界の32%のGHG排出国である中国の動向とインドを合わせて考えると、到底無理うということです。
誰も了解事項でしょうが、ここではその無理さを議論している。
・・・・
IPCCの云うことは、無理さ加減を議論することを要求してはいないし、それはそれで世界が考えることであるという立場でしょう。
そこで、グテーレスさんがスポークスマンになって今度は「地球を焦がしている」と叫んでいるわけです。
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ーーーーーー化石燃料から脱却は絵空事 再エネ先進国・中国が示す現実ーーーーー
2024/01/18;World Energy Watch; wedge online,
堀井伸浩 (九州大学経済学研究院准教授)
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国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は昨年12月13日に閉幕したが、その際、新聞・テレビといった大手メディアは「化石燃料からの脱却に合意」という画期的な成果が得られたとの報道を展開していた。
しかし合意された決定文書では、「科学に沿った形で2050年までに排出ネットゼロを達成すべく、エネルギーシステムにおいて化石燃料からこの10年間で行動を加速させ、公正で秩序ある、かつ公平な方法で移行すること(transition away from fossil fuels)を呼びかける」との記述であった。
・・・・・・・・
前々回のCOP26において、欧米諸国は石炭火力の段階的撤廃(phase out)という文言を決定文書に盛り込もうと試みたものの、インドをはじめ途上国の反対に遭い、段階的削減(phase down)にトーンダウンさせられたように、COP28でも欧米諸国や島嶼国は当初、化石燃料のphase outという文言の採用を企図したものの、特にサウジアラビアやロシアの反対により今回も押し込めなかったということになる。
妥協の結果、transition awayという表現が採用された経緯を踏まえれば、脱却という表現が適切ではないことは明白だろう。
・・・・
決定文書の表現は回りくどいが、今後10年間で行動を加速するものの(ただし、加速のスピードには何の規定もない)、移行を経て脱却が実現するスケジュールは何ら合意していないと解釈するのが自然だ。
決定文書はCOP28が化石燃料からの移行を各国に呼びかけたと書いているだけで、各国が移行に向けていかなる対策をするのか、移行の最終ゴールである脱却への具体的なスケジュールは全くコミットされていない(杉山大志「COP28『化石燃料からの脱却に合意』とは本当か」『アゴラ 言論プラットフォーム』 )。
・・・・
化石燃料からの移行(いつかは脱却)がCOPで初めて決定されたのは評価できると考える向きもあるかもしれないが、決定文書には「再エネ、原子力、炭素回収・貯留(CCS)、低炭素水素製造等のゼロ・低排出技術加速」等が盛り込まれ、さらに「エネルギー安全保障に配慮しつつ、エネルギー移行を進めるための『移行燃料』(天然ガス等)の役割」も明記されている。
原子力、CCS、天然ガスがポジティブな意味で決定文書において言及されるのも初めてであり(有馬純「COP28の結果と評価」『アゴラ 言論プラットフォーム』)、化石燃料のひとつである天然ガスはむしろ当面活用されるべきとお墨付きを得たと言える。
またCCS技術が実用的なレベルにコストダウンすれば、化石燃料を活用できる時期は伸びる可能性もある。
・・・・
>>>>やり玉に挙げられる石炭の消費量は史上最多に
COP26でやり玉に挙げられた石炭は、COP28でも開幕当初は石炭火力をphase outに追い込もう(すなわちCOP26のphase downから巻き返そう)と狙い撃ちにされていた。
その後phase outのターゲットが化石燃料全体に広がった経緯は日本の報道を見ているだけではよく分からない。
最終的に決定文書では、「排出削減対策が講じられていない石炭火力はphase downさせる」と結局COP26と同じ表現に止まった。
・・・・
一部メディアは、COP28において脱石炭連盟(Powering Past Coal Association:PPCA)に米国が加盟を表明し、主要7カ国(G7)で加盟していないのは日本だけと、あたかも日本が孤立しているかの印象操作の記事を配信したりもした。
しかしPPCAという組織は加盟国のほとんどが石炭の主要消費国「でない」国々で構成されており(消費量ゼロの国も多い)、率直に言えば石炭の重要性を認識する機会もない国々や自治体が集まって勝手なことを言っているだけである。
もっとも米国は世界第3位の石炭消費国であり、米国が加盟したことでようやくPPCAの影響力に現実性が生まれたと考えられなくもない。しかし米国は国内ではガスが石炭よりも安く、何年も前から経済性によって石炭火力はガス火力に代替される趨勢で、いずれ石炭火力を撤廃することは既定路線である。
これまでは撤廃へのスケジュールに口出しされることを嫌って未加盟だったと思われるが、バイデン大統領のレガシー作りの一環で今回加盟したのだろう。
・・・・
しかし世界の主要石炭消費国、とりわけ2カ国で世界の石炭消費の7割を超える中国とインドが未加盟である以上、PPCAの枠組みの中でやれることはごく限定的である。
COP28閉幕の2日後、国際エネルギー機関(International Energy Agency:IEA)が2023年は世界の石炭消費量が前年比1.4%増加して史上最多となる見込みと公表したが、世界全体の消費増分1億2100万トンに対し、中国は2億2000万トン(前年比成長率4.9%)、インドは9800万トン(同8.4%)で両国合わせて3億1800万トンの消費増となっている。
要するに、中印を除けば世界で石炭消費の削減は進んだが、中印両国が石炭利用を拡大したため全体として石炭消費量が増加しているということだ。
PPCAが何をやろうとも、中印が加盟しなければ全く意味がないということは容易に理解できよう。
・・・・
>>>>再エネの導入拡大も桁違いの中国だが?
IEAによれば24年以降は太陽光や風力など再生可能エネルギー(再エネ)の導入が引き続き進むので、中国の石炭消費量は減少する見通しとしている。
しかし本当にそうなのか?
中国は世界の石炭消費の過半を占める一方、太陽光・風力ともに世界最大の導入量を誇る。
そして23年は中国の太陽光・風力の新規導入量が史上最高の230ギガワット(GW)を記録した。
欧州全体で75GW、米国で40GWというから(いずれも速報値)、中国の再エネの成長力は群を抜いている。
そして中国が再エネの導入を本格化させた2000年代後半以降、中国の一次エネルギー消費に占める石炭の比率は急激に低下してきた。
同比率の2000年代以降のピークは07年の72.5%で、その後上下しつつも11年には70.2%まで低下した後、それ以降は一貫して低下し続け、21年には55.9%とわずか10年で15ポイントも急減したのであった。
・・・・
しかしながら、22年は11年ぶりに石炭の比率の低下傾向が反転、わずか0.3ポイントであるが、56.2%へと上昇した。この22年の再エネの導入状況はと言えば、太陽光の新規設備容量が86GW、風力が同37GW、合計123GWであった。
先に述べた23年の新規設備容量230GWと比べると半分程度に過ぎないが、同じ22年の太陽光および風力の欧州における新規導入量59GW、米国の同25GWと比べるとやはり桁違いの進展と言えよう。重要なことは、これだけの再エネの導入拡大を達成したにもかかわらず、石炭の絶対量を減らすことはおろか、エネルギー構成における石炭の比率を下げることも叶わなかったということである。
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>>>>再エネが化石燃料を完全代替するのは非現実的
石炭の比率が一貫して低下し始めた11年から22年にかけて、中国のエネルギー需給は合計15億3957万トン(標準炭換算、以下同じ)、40%も増加した。年率では平均3.1%の成長率であった。
エネルギー源別にこの期間の供給量を見ると、水力・原子力・風力・太陽光・その他の合計、すなわち非化石エネルギーはエネルギー需要増加全体の32.6%をカバーした。
一方、石炭は26.3%に止まったことで石炭の比率は低下し続けたことになる。しかし石油、天然ガスを見ると、それぞれエネルギー需要増加分の24.5%、16.5%を供給し、石炭と合わせた化石燃料全体では7割近くを占める。
再生可能エネルギーを含む非化石エネルギーでは、2010年代以降の中国のエネルギー需要の増加を支えることが出来なかったということだ。
非化石エネルギーは年平均10.2%と非常に高い成長率であったにもかかわらず、である。
・・・・・
結局のところ、非化石エネルギーはこれだけの高成長を遂げてきた22年時点においてさえ、一次エネルギーの3割弱をカバーするに過ぎず、非化石エネルギー、とりわけ小規模電源である風力や太陽光といった再エネが中国のエネルギー需要の7割を支える化石燃料を代替するのは一朝一夕にいかないということだ。
中国で再エネの導入が本格化したのは風力が06年から、太陽光が12年からで、20年弱という時間を経て水力と原子力と合わせてもようやく3割にも満たない水準に過ぎない。
また再エネ、非化石エネルギーがいずれも電力という形態での出力に限られているため、石炭をはじめとする化石燃料に取って代わるにはそもそも限度がある。
例えば石炭消費のうち発電および熱供給に用いられているのは全体の55.8%に過ぎず、残りの4割強は主に石炭を直接燃焼させて熱や動力を得るという形態であり、電力で代替するのは困難である。
主要な工業国である中国では依然としてこうした化石燃料に拠らなければ成り立たない巨大なエネルギー需要が存在するのである。
・・・・・
さらに再エネの欠点として、出力が自然任せで大きく変動し、人為的に出力調整ができない間欠性があることは周知の通りである。
その結果として再エネは稼働率が非常に低い。
下記の図は電源別の年間稼働時間数の推移を示したものであるが、風力は25.5%、太陽光は14.6%の稼働率に過ぎない。原子力の89.1%はもちろんのこと、火力の50.8%、水力の41.3%と比べても大幅に低い。
再エネが稼働していない時間は当然ながら他のバックアップ電源の稼働が必要となる。9割近い高稼働率の原子力は出力を引き上げる余地がほとんどなく、水力は日本と同様、中国でも基本的には出力を大きく変動させないベースロード電源として運用されている。
したがって、再エネの出力変動に応じて出力を調整するカバー電源は中国でも火力が中心である。
図の通り、火力の稼働率は再エネ導入が本格化した06年の少し前、04年に68.4%で90年代以降のピークを付け、その後は低下傾向が明らかである。
火力の稼働率が20ポイント近く大幅に低下したのは再エネの稼働が優先され、火力が出力を落として調整せざるを得ないためである。
再エネ導入が急拡大してきた過去20年弱の期間、火力は再エネ優先の下で稼働率の低下を強いられ、採算性が大きく悪化した。
・・・・・
とは言え、石炭火力による発電量が前年比マイナス成長となったのは15年のみであり、一次エネルギー需要のみならず、電力に絞っても再エネの急成長だけでは需要の増加分すべてをまかなうことが出来なかったことを意味する。
すなわち再エネによる石炭火力のphase outはおろかphase downすら実現できなかったというのが現実である。
再エネの間欠性という運転特性から、例えば太陽光は夕方以降は全く発電できなくなるわけで、その出力消失をカバーする電源として石炭火力が役割を果たしてきたということである。
・・・・
>>>>中国のエネルギー構造におけるアンカーとしての石炭
以上のように、中国の今後の石炭需給を考える上で、①発電・熱供給「以外の」石炭需要は中国の石炭消費量の45%程度を占め、こうした石炭を直接利用する需要については再エネをはじめとする非化石エネルギーでは代替が容易でなく、②電力についても再エネの急激な導入拡大にもかかわらず、石炭火力の発電量が前年比でマイナス成長となったのはわずか1年だけで、再エネの出力低下時のカバー電源として化石燃料の中でも中心的な役割を果たしてきた、という点を踏まえなければならない。2
4年以降は再エネの供給増で石炭消費量は減少していくとするIEA見通しに根拠があるのか疑問に思う。
・・・・
確かに、化石燃料消費が減らなかったのは、これまで再エネによる発電量の増加を上回ってエネルギー需要全体が成長したことが原因であり、中国経済の不振でエネルギー需要全体が低迷すれば再エネの発電増だけでまかなわれ、化石燃料の需要減につながる可能性もある。
しかし近年導入されている再エネの重心が風力よりも出力変動が極めて大きく稼働率も低い太陽光に傾倒していることを考えれば、依然としてカバー電源としての化石燃料の需要は底堅いと考えられる。
そもそも中国経済の不振が続いた場合に、再エネに対する投資がこれまでの成長率を維持できるかどうかも疑問である。
既存の再エネ設備は以前と異なり、出力抑制をほとんど受けておらず、新規導入の拡大がなければ再エネの発電量の増加は期待できない。
・・・・
そうすると、石炭需要の今後は化石燃料間の競合性次第ということになる。
特にガスとの競争ということになるが、米国と異なり、中国では石炭はガスよりも大幅に経済性に優れており、ガスは発電にも一部利用されているものの、都市ガスや製造業用途が中心である。
中国経済の不振はむしろ経済性に優れた石炭がますます選好されることになりそうだ。
先の図を見ると20年と21年は火力の稼働率はわずかながら上昇しているが、これは主に水力が渇水により稼働率を低下させたため、水力の出力低下を石炭火力が埋め合わせたことによる。
中国政府は13年から21年までの性急な脱石炭路線を修正したことで、22年のウクライナ戦争に始まる国際エネルギー市場の波乱による打撃を中国は大幅に抑えることができた。
経済性や供給安定性という観点で中国政府は石炭の重要性を再評価しており、まだ当面は石炭を活用し続けていく可能性が高い。
・・・・
こうした点を考えると、元々非現実的な目標を巡ってphase out か、phase downか、あるいはtransition awayか、などと言葉遊びを繰り広げるのではなく、石炭をはじめとする化石燃料の「低」炭素化をまずは進めつつ、中国そしてインドが現実的に導入可能なスケジュールでの化石燃料からの移行と具体的な国際協力の内容こそ、COPで話し合うべき事柄である。
ましてや加盟国の自己アピールに終始し、非加盟国に圧力をかけるだけで建設的な提案をすることもないPPCAのような組織は有害無益である。
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https://wedge.ismedia.jp/articles/print/32710
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中国・インドの実情を吟味して、更にアフリカや南米などを含めて議論をして、時間をかけ過ぎないようにしないといけない。
・・・・
IPCCとして、2030年迄の中間目標と2050年までの最終目標値を見すえていかないといけない。
この目標値の拠って来る目的は、「人類の生存」という最低限の生命のとしての人類の要求であることを、もっときちんと議論しないといけないはずである。
学者先生たちは、目標ではない目的をもっと議論しながら公の場での議論をしてもらわないといけない!!
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では、草々
2024-1-18
森下克介
Posted by もりかつ at
14:45
│Comments(0)
2024年01月16日
日本は「海の海藻・海草のCO2吸収量」」を算定し更に増加を
前略
海藻・海草の炭酸ガス吸収能力を算出した。
ワカメやアマモの吸収能を評価した結果、36万トンになったということです。
森林等の陸上植物の吸収量は、4760万トンということですから、1%弱の吸収力ということです。
・・・・
どんな海域のものか、領海分かEEZ分かとかいろいろありそうですが、ワカメとは別に海苔の吸収量は大きくないのでしょうか?干潟の部分での吸収もありそうです、勿論沖縄などのサンゴによる吸収などもありそうです、最も大きいのは沿岸部のプランクトンによる吸収は多そうである。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ーーーーーーー国内の海草・海藻が炭素36万トン吸収…ーーーーーー
「ブルーカーボン」世界初算定、国連に報告へ
2024-1-16:読売新聞
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
政府は、2022年度に国内の海藻・海草に吸収・固定された二酸化炭素(CO2)由来の炭素「ブルーカーボン」を約36万トンと算定し、国連に報告する方針を固めた。
今後、国内で排出された温室効果ガスの量から差し引いて、実質排出量を算出する。
海藻・海草による吸収量を算定したのは世界で初めて。
・・・・・・・
地球温暖化対策として各国は、人類の活動による排出量から、植物の光合成などによる吸収量を差し引いた実質的な排出量を算出し、将来の削減目標を策定している。
日本は実質排出量を30年度に13年度比で46%削減、50年までにゼロとする目標を掲げ、最新の数値を国連に毎年報告している。
・・・・
各国は、植物のうち、海藻・海草による吸収量については算定方法が確立されていないなどの理由で、国連に報告していない。
そこで政府は、ワカメやアマモなど海藻・海草の種別の吸収量と沿岸部の藻場面積を基に国内全体の吸収量を算定する方法を考案。
22年度は、一般家庭約14万世帯分の年間排出量に相当する約36万トンと算定した。
今月22日の有識者らによる環境省の検討会で正式に確定する。
・・・・
国内で21年度に植物が吸収したCO2量4760万トンのほとんどは、森林が吸収源。
森林は今後、老化で吸収量が減退する見通しで、吸収量全体に占めるブルーカーボンの割合は30年に1割に達するとの試算もある。
同省は「海に囲まれた地形をいかし、藻場の造成などブルーカーボンを活用した脱炭素化に努めたい」としている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E5%9B%BD%E5%86%85%E3%81%AE%E6%B5%B7%E8%8D%89-%E6%B5%B7%E8%97%BB%E3%81%8C%E7%82%AD%E7%B4%A0%EF%BC%93%EF%BC%96%E4%B8%87%E3%83%88%E3%83%B3%E5%90%B8%E5%8F%8E-%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%B3-%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%88%9D%E7%AE%97%E5%AE%9A-%E5%9B%BD%E9%80%A3%E3%81%AB%E5%A0%B1%E5%91%8A%E3%81%B8/ar-AA1n2dbJ?ocid=msedgntp&pc=LCTS&cvid=f2b0bc6bfccc486eadf7eae11b84fce4&ei=14
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実際のCO2吸収量を測定できないのは残念ですが、海洋の吸収能はきっと大きいものと思います。
海底の底質と言われる有機物は日本海の堆で上昇して「湧昇流」になってプランクトンの増殖を助けるとか、海洋には「疑似堆」の様な湧昇流を作る仕組みを作るのは、有効でしょう。
色んなものの生簀と一緒にしたマルチな機能を持った「マルチ・フロート」を工夫するともう一桁上の吸収能力が稼げるかもしれません。
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では、草々
2024-1-16
森下克介
海藻・海草の炭酸ガス吸収能力を算出した。
ワカメやアマモの吸収能を評価した結果、36万トンになったということです。
森林等の陸上植物の吸収量は、4760万トンということですから、1%弱の吸収力ということです。
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どんな海域のものか、領海分かEEZ分かとかいろいろありそうですが、ワカメとは別に海苔の吸収量は大きくないのでしょうか?干潟の部分での吸収もありそうです、勿論沖縄などのサンゴによる吸収などもありそうです、最も大きいのは沿岸部のプランクトンによる吸収は多そうである。
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ーーーーーーー国内の海草・海藻が炭素36万トン吸収…ーーーーーー
「ブルーカーボン」世界初算定、国連に報告へ
2024-1-16:読売新聞
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政府は、2022年度に国内の海藻・海草に吸収・固定された二酸化炭素(CO2)由来の炭素「ブルーカーボン」を約36万トンと算定し、国連に報告する方針を固めた。
今後、国内で排出された温室効果ガスの量から差し引いて、実質排出量を算出する。
海藻・海草による吸収量を算定したのは世界で初めて。
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地球温暖化対策として各国は、人類の活動による排出量から、植物の光合成などによる吸収量を差し引いた実質的な排出量を算出し、将来の削減目標を策定している。
日本は実質排出量を30年度に13年度比で46%削減、50年までにゼロとする目標を掲げ、最新の数値を国連に毎年報告している。
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各国は、植物のうち、海藻・海草による吸収量については算定方法が確立されていないなどの理由で、国連に報告していない。
そこで政府は、ワカメやアマモなど海藻・海草の種別の吸収量と沿岸部の藻場面積を基に国内全体の吸収量を算定する方法を考案。
22年度は、一般家庭約14万世帯分の年間排出量に相当する約36万トンと算定した。
今月22日の有識者らによる環境省の検討会で正式に確定する。
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国内で21年度に植物が吸収したCO2量4760万トンのほとんどは、森林が吸収源。
森林は今後、老化で吸収量が減退する見通しで、吸収量全体に占めるブルーカーボンの割合は30年に1割に達するとの試算もある。
同省は「海に囲まれた地形をいかし、藻場の造成などブルーカーボンを活用した脱炭素化に努めたい」としている。
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https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E5%9B%BD%E5%86%85%E3%81%AE%E6%B5%B7%E8%8D%89-%E6%B5%B7%E8%97%BB%E3%81%8C%E7%82%AD%E7%B4%A0%EF%BC%93%EF%BC%96%E4%B8%87%E3%83%88%E3%83%B3%E5%90%B8%E5%8F%8E-%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%B3-%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%88%9D%E7%AE%97%E5%AE%9A-%E5%9B%BD%E9%80%A3%E3%81%AB%E5%A0%B1%E5%91%8A%E3%81%B8/ar-AA1n2dbJ?ocid=msedgntp&pc=LCTS&cvid=f2b0bc6bfccc486eadf7eae11b84fce4&ei=14
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実際のCO2吸収量を測定できないのは残念ですが、海洋の吸収能はきっと大きいものと思います。
海底の底質と言われる有機物は日本海の堆で上昇して「湧昇流」になってプランクトンの増殖を助けるとか、海洋には「疑似堆」の様な湧昇流を作る仕組みを作るのは、有効でしょう。
色んなものの生簀と一緒にしたマルチな機能を持った「マルチ・フロート」を工夫するともう一桁上の吸収能力が稼げるかもしれません。
・・・・
では、草々
2024-1-16
森下克介
Posted by もりかつ at
17:13
│Comments(0)
2024年01月15日
ポツダム気候研究所長と江守さん、もっと「アドボカシー活動」を進めるべき
前略
2017年当時に江守正多さんが、2℃目標、ティピングポイントの議論をした記述です。
世界も理解しているはず。
ここでも失われた20年という言葉が出てきている。
・・・・・
お互いに紳士的な議論である。
世界中の人が読んだ方が良い・・。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ーーーーーーーーー「2°C目標」の生みの親シェルンフーバー博士に聞くーーーーーー
—脱炭素化に向けた「われわれ」の役割とは何か?
地球環境研究センター ニュース、2017年1月号
地球環境研究センター 気候変動リスク評価研究室長 江守正多
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
モロッコのマラケッシュで行われていた国連気候変動枠組条約の第22回締約国会議(COP22)が11月19日に閉幕した。
2015年のCOP21で合意されて2016年の11月4日に異例のスピード発効をした「パリ協定」について、COP22ではそのルール作りが進められた。
米国のトランプ次期政権のインパクトについて悲観論、楽観論が飛び交う中ではあるが、各国はパリ協定の目標である「世界平均気温の上昇を産業革命前から2°Cより十分低く抑え、1.5°C未満を目指して努力する」こと、そのために「今世紀後半に世界の温室効果ガス排出量を正味ゼロにする」ことを力強く確認し合い、その実現に向けて歩を進めている。
・・・・
そのパリ協定で掲げられた目標の議論に大きな影響力を及ぼし続けてきた科学者がいる。
ドイツ ポツダム気候影響研究所の所長、シェルンフーバー(Hans Joachim Schellnhuber)博士である。
シェルンフーバー博士は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が環境大臣であった20年前から、気候問題について彼女の科学アドバイザーを務めてきた。
また、2015年6月にローマ法王が発表した気候変動問題についての「回勅」の作成においても中心的な役割を果たした。
シェルンフーバー博士が11月2日の環境省の審議会出席のために来日された際にインタビューの機会を頂き、筆者がかねてから興味をもっていたいくつかの点について、詳しい話をうかがった。
・・・・・・
Professor Hans Joachim Schellnhuber プロフィール
1992年、ポツダム気候影響研究所を創設し、所長に就任。同時にボツダム大学理論物理学分野の議長を務める。
2001年から2005年にはティンダルセンター(イギリス)の研究部長を務め、その後オックスフォード大学の客員教授となる。
ドイツが議長国となった2007年のG8ハイリゲンダムサミットでは、気候問題と関連するテーマに関する政府アドバイザーの役割を担った。
現在は、ドイツの気候変動に関する諮問委員会(WBGU)共同議長、欧州イノベーション工科大学院(EIT)のClimate-KIC理事会議長などを務める。
物性物理学、複雑系力学、気候変動に関する科学、地球システム解析、持続可能な科学に関する論文や書籍を多数出版。
出典: https://www.pik-potsdam.de/members/john/shortbio の一部を編集局で和訳
・・・・・
>>>>「2°C目標」の生みの親
江守:
このたびはインタビューの機会を頂きありがとうございます。
あなたが「2°C目標」の生みの親であるとどこかで読んだのですが、正しいですか。
・・・・
シェルンフーバー:
温暖化を2°Cで抑えるのが合理的だと言った人は他にもいたが、私の知る限り、それを政治プロセスに持ち込んだのは、私が関わったものが初めてだ。
1994年にドイツの「地球変動に関する諮問委員会」の中で私が言い出して議論し、1995年にベルリンで行われたCOP1に向けてドイツ政府に提案した。
COP1を取り仕切っていたのは現在ドイツ首相であるアンゲラ・メルケルだ。
・・・
江守:
当時は環境大臣でしたね。
・・・
シェルンフーバー:
そのとおり。私が彼女に「2°C」を提案したんだ。
その後、この提案はドイツ政府を通じて欧州理事会で議論され、1996年に欧州理事会の正式な決議になった。
・・・・
>>>>「失われた20年」を振り返る
江守:
それからちょうど20年が経っています。
今やそれが国際合意になったのはすごいことです。
しかし、その20年の間に温室効果ガスの排出量も大気中濃度も上昇を続け、目標の達成はどんどん難しくなってきたともいえます。
20年間で、「2°C目標」に関するあなたの認識は変化しましたか。
・・・・
シェルンフーバー:
まず、国際合意になったのは本当にすごいことだ。
今やわれわれは気候問題の対策において一つのナラティブ(物語)を共有しているのだから。
そして、一つの数字(2°C)をも共有している。
これが非常に重要だ。世界の気温上昇は温室効果ガスの排出量の累積に依存するので、残された排出可能な量が規定される。
言ってみれば「2°C」がすべてを規定するのだ。
・・・
一方で、おっしゃるとおり、そこに至るのは非常に時間がかかった。
1996年に欧州理事会が「2°C」を採用したときに、中国、米国なども合意していたら……と思うが、もちろんそれは当時不可能だった。
中国もインドも排出の権利を主張していた。
それが政策決定の現実だ。
みんなが合意するには長い長い時間がかかる。
20年が失われた。
「2°C未満」の実現は20年前なら比較的実現性が高かったが、今は非常に難しい。
・・・・
しかし同時に、この20年の間に「2°C」を超えるべきでない理由がより明らかになった。
いくつかの危険なティッピングポイント(大規模で不可逆な影響の起きる閾値)を超えてしまうかもしれないといったことだ。
それに、「2°C」は非常に難しいが不可能ではない。
特にドイツの再生可能エネルギー固定価格買取制度導入以降、太陽光発電と風力発電のコストが劇的に安くなってきている。
つまり、失われた20年の間に得られるものもあったということだ。
希望はまだある。
・・・・
>>>>「気候工学」に出番はあるか
江守:
今世紀中に世界の脱炭素化(CO2排出量正味ゼロ)を達成できたとしても、「気候感度」(地球の気温の上がりやすさ。大気中CO2の倍増に対して1.5〜4.5°Cの世界平均気温上昇である可能性が高いと推定されており、不確かさが大きい)が大きければ、2°Cを超えてしまいます。
もしそうなった場合には、「気候工学」(大気からCO2を吸収したり太陽光を制御する大規模な工学的対策)を使って、無理にでも2°Cや1.5°C未満に留まるようにすべきだと思いますか。
・・・・
シェルンフーバー:
まず、2°C未満に留まるようにするには、今世紀末に脱炭素化したのでは遅く、今世紀中ごろには脱炭素化する必要がある。
あと30〜40年しかない。
1.5°C未満に留まるようにするならもちろんもっと早くだ。
これは気候感度が2.5°Cくらいの(中位の)値だった場合だ。
気候感度がもっと高ければ、目標の実現はもはや不可能になるかもしれない。
そうなったら、われわれはより高温の世界に適応するしかない。
私の考えでは、それはおそらく破滅的な事態だ。
つまりわれわれは急速に脱炭素化を進める必要があるだけでなく、少し好運である必要がある。
残念ながらそれがわれわれの置かれた状況だ。
・・・・
一方で、最終手段としての「気候工学」が議論されている。
私もこれについてよく調べたが、幻想だと思う。
成り行き任せで排出を続けて、それを気候工学だけでリセットしてしまうようなことは不可能だ。
そうではなくて、急速な脱炭素化を進めることを大前提に、追加的に気候工学を使うことなら考えられる。
映画でいえば、脱炭素化が主演俳優で、気候工学はあくまで助演だ。
特に、太陽放射管理は海洋酸性化を止められないので解決策にはならない。
すぐにでも始めたほうがよい小規模な気候工学は、たとえば荒廃地への植林だ。
CCS(CO2の地中貯留)と組み合わせたバイオマスエネルギーの利用も、農林業から廃棄されるバイオマスを使って小規模に行うならよい方法だ。
繰り返すが、世界経済を脱炭素化するための大規模なイノベーションが何よりも先決だ。
・・・・
>>>>炭素経済の内部崩壊を引き起こす—われわれの役割は?
江守:
その脱炭素化について、あなたは最近 “induced implosion of carbon economy”(炭素経済の誘導された内部崩壊)という概念を提案していますが、詳しく教えてください。
これは社会の状態をあるところまで引っ張っていけば、そこから先は自動的に変化が進んでいくようなことだと僕は理解しました。
そのときに、行政、ビジネス、専門家、市民はそれぞれどんな役割を果たしますか。
・・・・
シェルンフーバー:
脱炭素化が起きるためには、化石燃料に依存した産業が急速に縮小する必要があるが、それを引き起こすためには外的な要因が必要だ。2つの例を挙げたい。
一つはトップダウン、もう一つはボトムアップだ。
・・・・
トップダウンは行政の役割だ。
これまで化石エネルギーには世界中で多額の補助金が出ていて、再生可能エネルギーには比較的小規模な投資しか行われていなかった。
これは変更可能だ。
たとえばドイツでは、化石燃料産業への補助金をやめて再生可能エネルギーの固定価格買取制度を始めた。
その結果、百万人以上の人が小規模発電事業者になり、再生可能エネルギーの電気を自分で発電して使い、余った分を売っている。
エネルギーに関する風景がまったく変わってしまった。同じことは他の国でも可能だ。
・・・・
もう一つのボトムアップの例は投資に関するものだ。
現在、石炭への投資が減っており、それを見た投資家がさらに石炭に投資しなくなっている。
これは自己強化的に進む変化だ。
そして、これを引き起こしたのは主に「ダイベストメント」(化石燃料への投資撤退)とよばれる社会運動だ。
化石燃料、とりわけ石炭への投資は反倫理的だと主張するグループが増えてきている。
個人としても、自分の銀行口座、年金基金などで集められたお金がどこに投資されているかを調べて、最終的に石炭に行きつけば、そのお金を撤退させることができる。
保険会社や政府系ファンドなどの機関投資家が石炭に投資していれば撤退を要求することもできる。
今やこれが投資環境に大きな変化を生み出している。
・・・・
江守:
今ので行政と市民の役割についてお話しいただいたことになると思いますが、ビジネスはどうですか。
・・・
シェルンフーバー:
ビジネスという言葉を古い意味で使うなら、つまりもしあなたが投資に対するリターンにしか興味がないとするなら、もちろん安い石炭を使おうとするだろう。
しかし、現代のビジネスでは、その他に2つの次元がある。
・・・・
一つは「リスク」だ。
石炭に投資すれば短期的には大きな利益が得られるかもしれないが、10年後にはその投資が「座礁資産」になっているリスクがある。
つまり、政府の規制もしくは世論によって石炭火力発電所が停止に追い込まれるかもしれない。
・・・・
もう一つは「道義的責任」だ。
ビジネスは雇用を生み出し、利益を生み出すのが良い点だと考えられてきたが、同時に、社会の一般的な道徳基準に沿っていなければならない。
あなたのビジネスが子供たちの将来を破壊するのに加担しているとみられれば、もはや社会から受け入れられなくなるだろう。
・・・・
江守:
われわれ専門家や科学者の役割は何でしょうか。
・・・・
シェルンフーバー:
私は基礎物理学の出身だ。
博士論文では物理学の重要な問題を解いたが、社会的な議論とはまったく関係がなかった。
気候科学者も、科学的な水準は基礎物理と同じように高くなければいけない。
一方で、気候科学者の知見は社会に直接的な意味を持つ。その点が基礎物理と違う。
・・・・
たとえば、あなたがウィルス学者だったとして、感染力が強く対処法の知られていない新種のウィルスを発見したらどうするか。
論文誌に発表して仲間内だけで議論するのか、それとも政策決定者に伝える責任があると思うのか。
気候科学者も同じで、高水準の科学研究を行うと同時に、その意味するところを一般市民や政策決定者に説明しなければならない。
ある意味で2つの人格を持つ必要がある。
・・・・
>>>>科学者は政治的主張を避けるべきか
江守:
科学者が政治的な主張をすると、その人の科学自体も政治的に偏っているという印象を与え、科学の信頼性を貶めるという見方もあります。
科学とアドボカシー(特定政策の提言、擁護)についてどう考えますか。
・・・・
シェルンフーバー:
その問題は私もずっと考え続けてきた。
それについて、私のロールモデル(模範となる人物)はアルバート・アインシュタインだ。
アインシュタインは間違いなく最も偉大な科学者の一人だが、同時に非常に政治的でもあった。
彼は平和、文化、宗教などについて考え、1955年には有名なラッセル=アインシュタイン宣言で軍拡競争に反対した。
アインシュタインの人生を見ると、最高水準の科学と、その意味を社会に説明する責任は必ずしも矛盾しないことがわかる。
・・・・
あなたの科学が社会に高い関連性を持つならば、その意味を社会に説明する道義的責任があると思う。
それを仲間内だけで話しているのはほとんど犯罪的ではないか。
科学の意味を社会に説明することが科学の質を損なうという誤った考えは、温暖化否定論者が持ち込んだものではないかと思う。
・・・・
まとめると、アドボカシーはあなたの科学の質を損なわないし、あなたの科学が人類の重大な関心事であるならばアドボカシーはむしろ必要である。
・・・
江守:
ありがとうございました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
https://www.cger.nies.go.jp/cgernews/201701/313002.html
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
やっぱり、アドボカシー活動をしてほしいものです。
チャットGPTで出てくる言葉は、IPCCなどでの抑制気味の考えしか出て来ないのではなく、関係者皆さんが「アインシュタイン」の様に活動することが必要だということでしょう。
宜しくお願いします。
・・・・
では、草々
2-24-1-15
森下克介
2017年当時に江守正多さんが、2℃目標、ティピングポイントの議論をした記述です。
世界も理解しているはず。
ここでも失われた20年という言葉が出てきている。
・・・・・
お互いに紳士的な議論である。
世界中の人が読んだ方が良い・・。
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ーーーーーーーーー「2°C目標」の生みの親シェルンフーバー博士に聞くーーーーーー
—脱炭素化に向けた「われわれ」の役割とは何か?
地球環境研究センター ニュース、2017年1月号
地球環境研究センター 気候変動リスク評価研究室長 江守正多
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モロッコのマラケッシュで行われていた国連気候変動枠組条約の第22回締約国会議(COP22)が11月19日に閉幕した。
2015年のCOP21で合意されて2016年の11月4日に異例のスピード発効をした「パリ協定」について、COP22ではそのルール作りが進められた。
米国のトランプ次期政権のインパクトについて悲観論、楽観論が飛び交う中ではあるが、各国はパリ協定の目標である「世界平均気温の上昇を産業革命前から2°Cより十分低く抑え、1.5°C未満を目指して努力する」こと、そのために「今世紀後半に世界の温室効果ガス排出量を正味ゼロにする」ことを力強く確認し合い、その実現に向けて歩を進めている。
・・・・
そのパリ協定で掲げられた目標の議論に大きな影響力を及ぼし続けてきた科学者がいる。
ドイツ ポツダム気候影響研究所の所長、シェルンフーバー(Hans Joachim Schellnhuber)博士である。
シェルンフーバー博士は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が環境大臣であった20年前から、気候問題について彼女の科学アドバイザーを務めてきた。
また、2015年6月にローマ法王が発表した気候変動問題についての「回勅」の作成においても中心的な役割を果たした。
シェルンフーバー博士が11月2日の環境省の審議会出席のために来日された際にインタビューの機会を頂き、筆者がかねてから興味をもっていたいくつかの点について、詳しい話をうかがった。
・・・・・・
Professor Hans Joachim Schellnhuber プロフィール
1992年、ポツダム気候影響研究所を創設し、所長に就任。同時にボツダム大学理論物理学分野の議長を務める。
2001年から2005年にはティンダルセンター(イギリス)の研究部長を務め、その後オックスフォード大学の客員教授となる。
ドイツが議長国となった2007年のG8ハイリゲンダムサミットでは、気候問題と関連するテーマに関する政府アドバイザーの役割を担った。
現在は、ドイツの気候変動に関する諮問委員会(WBGU)共同議長、欧州イノベーション工科大学院(EIT)のClimate-KIC理事会議長などを務める。
物性物理学、複雑系力学、気候変動に関する科学、地球システム解析、持続可能な科学に関する論文や書籍を多数出版。
出典: https://www.pik-potsdam.de/members/john/shortbio の一部を編集局で和訳
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>>>>「2°C目標」の生みの親
江守:
このたびはインタビューの機会を頂きありがとうございます。
あなたが「2°C目標」の生みの親であるとどこかで読んだのですが、正しいですか。
・・・・
シェルンフーバー:
温暖化を2°Cで抑えるのが合理的だと言った人は他にもいたが、私の知る限り、それを政治プロセスに持ち込んだのは、私が関わったものが初めてだ。
1994年にドイツの「地球変動に関する諮問委員会」の中で私が言い出して議論し、1995年にベルリンで行われたCOP1に向けてドイツ政府に提案した。
COP1を取り仕切っていたのは現在ドイツ首相であるアンゲラ・メルケルだ。
・・・
江守:
当時は環境大臣でしたね。
・・・
シェルンフーバー:
そのとおり。私が彼女に「2°C」を提案したんだ。
その後、この提案はドイツ政府を通じて欧州理事会で議論され、1996年に欧州理事会の正式な決議になった。
・・・・
>>>>「失われた20年」を振り返る
江守:
それからちょうど20年が経っています。
今やそれが国際合意になったのはすごいことです。
しかし、その20年の間に温室効果ガスの排出量も大気中濃度も上昇を続け、目標の達成はどんどん難しくなってきたともいえます。
20年間で、「2°C目標」に関するあなたの認識は変化しましたか。
・・・・
シェルンフーバー:
まず、国際合意になったのは本当にすごいことだ。
今やわれわれは気候問題の対策において一つのナラティブ(物語)を共有しているのだから。
そして、一つの数字(2°C)をも共有している。
これが非常に重要だ。世界の気温上昇は温室効果ガスの排出量の累積に依存するので、残された排出可能な量が規定される。
言ってみれば「2°C」がすべてを規定するのだ。
・・・
一方で、おっしゃるとおり、そこに至るのは非常に時間がかかった。
1996年に欧州理事会が「2°C」を採用したときに、中国、米国なども合意していたら……と思うが、もちろんそれは当時不可能だった。
中国もインドも排出の権利を主張していた。
それが政策決定の現実だ。
みんなが合意するには長い長い時間がかかる。
20年が失われた。
「2°C未満」の実現は20年前なら比較的実現性が高かったが、今は非常に難しい。
・・・・
しかし同時に、この20年の間に「2°C」を超えるべきでない理由がより明らかになった。
いくつかの危険なティッピングポイント(大規模で不可逆な影響の起きる閾値)を超えてしまうかもしれないといったことだ。
それに、「2°C」は非常に難しいが不可能ではない。
特にドイツの再生可能エネルギー固定価格買取制度導入以降、太陽光発電と風力発電のコストが劇的に安くなってきている。
つまり、失われた20年の間に得られるものもあったということだ。
希望はまだある。
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>>>>「気候工学」に出番はあるか
江守:
今世紀中に世界の脱炭素化(CO2排出量正味ゼロ)を達成できたとしても、「気候感度」(地球の気温の上がりやすさ。大気中CO2の倍増に対して1.5〜4.5°Cの世界平均気温上昇である可能性が高いと推定されており、不確かさが大きい)が大きければ、2°Cを超えてしまいます。
もしそうなった場合には、「気候工学」(大気からCO2を吸収したり太陽光を制御する大規模な工学的対策)を使って、無理にでも2°Cや1.5°C未満に留まるようにすべきだと思いますか。
・・・・
シェルンフーバー:
まず、2°C未満に留まるようにするには、今世紀末に脱炭素化したのでは遅く、今世紀中ごろには脱炭素化する必要がある。
あと30〜40年しかない。
1.5°C未満に留まるようにするならもちろんもっと早くだ。
これは気候感度が2.5°Cくらいの(中位の)値だった場合だ。
気候感度がもっと高ければ、目標の実現はもはや不可能になるかもしれない。
そうなったら、われわれはより高温の世界に適応するしかない。
私の考えでは、それはおそらく破滅的な事態だ。
つまりわれわれは急速に脱炭素化を進める必要があるだけでなく、少し好運である必要がある。
残念ながらそれがわれわれの置かれた状況だ。
・・・・
一方で、最終手段としての「気候工学」が議論されている。
私もこれについてよく調べたが、幻想だと思う。
成り行き任せで排出を続けて、それを気候工学だけでリセットしてしまうようなことは不可能だ。
そうではなくて、急速な脱炭素化を進めることを大前提に、追加的に気候工学を使うことなら考えられる。
映画でいえば、脱炭素化が主演俳優で、気候工学はあくまで助演だ。
特に、太陽放射管理は海洋酸性化を止められないので解決策にはならない。
すぐにでも始めたほうがよい小規模な気候工学は、たとえば荒廃地への植林だ。
CCS(CO2の地中貯留)と組み合わせたバイオマスエネルギーの利用も、農林業から廃棄されるバイオマスを使って小規模に行うならよい方法だ。
繰り返すが、世界経済を脱炭素化するための大規模なイノベーションが何よりも先決だ。
・・・・
>>>>炭素経済の内部崩壊を引き起こす—われわれの役割は?
江守:
その脱炭素化について、あなたは最近 “induced implosion of carbon economy”(炭素経済の誘導された内部崩壊)という概念を提案していますが、詳しく教えてください。
これは社会の状態をあるところまで引っ張っていけば、そこから先は自動的に変化が進んでいくようなことだと僕は理解しました。
そのときに、行政、ビジネス、専門家、市民はそれぞれどんな役割を果たしますか。
・・・・
シェルンフーバー:
脱炭素化が起きるためには、化石燃料に依存した産業が急速に縮小する必要があるが、それを引き起こすためには外的な要因が必要だ。2つの例を挙げたい。
一つはトップダウン、もう一つはボトムアップだ。
・・・・
トップダウンは行政の役割だ。
これまで化石エネルギーには世界中で多額の補助金が出ていて、再生可能エネルギーには比較的小規模な投資しか行われていなかった。
これは変更可能だ。
たとえばドイツでは、化石燃料産業への補助金をやめて再生可能エネルギーの固定価格買取制度を始めた。
その結果、百万人以上の人が小規模発電事業者になり、再生可能エネルギーの電気を自分で発電して使い、余った分を売っている。
エネルギーに関する風景がまったく変わってしまった。同じことは他の国でも可能だ。
・・・・
もう一つのボトムアップの例は投資に関するものだ。
現在、石炭への投資が減っており、それを見た投資家がさらに石炭に投資しなくなっている。
これは自己強化的に進む変化だ。
そして、これを引き起こしたのは主に「ダイベストメント」(化石燃料への投資撤退)とよばれる社会運動だ。
化石燃料、とりわけ石炭への投資は反倫理的だと主張するグループが増えてきている。
個人としても、自分の銀行口座、年金基金などで集められたお金がどこに投資されているかを調べて、最終的に石炭に行きつけば、そのお金を撤退させることができる。
保険会社や政府系ファンドなどの機関投資家が石炭に投資していれば撤退を要求することもできる。
今やこれが投資環境に大きな変化を生み出している。
・・・・
江守:
今ので行政と市民の役割についてお話しいただいたことになると思いますが、ビジネスはどうですか。
・・・
シェルンフーバー:
ビジネスという言葉を古い意味で使うなら、つまりもしあなたが投資に対するリターンにしか興味がないとするなら、もちろん安い石炭を使おうとするだろう。
しかし、現代のビジネスでは、その他に2つの次元がある。
・・・・
一つは「リスク」だ。
石炭に投資すれば短期的には大きな利益が得られるかもしれないが、10年後にはその投資が「座礁資産」になっているリスクがある。
つまり、政府の規制もしくは世論によって石炭火力発電所が停止に追い込まれるかもしれない。
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もう一つは「道義的責任」だ。
ビジネスは雇用を生み出し、利益を生み出すのが良い点だと考えられてきたが、同時に、社会の一般的な道徳基準に沿っていなければならない。
あなたのビジネスが子供たちの将来を破壊するのに加担しているとみられれば、もはや社会から受け入れられなくなるだろう。
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江守:
われわれ専門家や科学者の役割は何でしょうか。
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シェルンフーバー:
私は基礎物理学の出身だ。
博士論文では物理学の重要な問題を解いたが、社会的な議論とはまったく関係がなかった。
気候科学者も、科学的な水準は基礎物理と同じように高くなければいけない。
一方で、気候科学者の知見は社会に直接的な意味を持つ。その点が基礎物理と違う。
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たとえば、あなたがウィルス学者だったとして、感染力が強く対処法の知られていない新種のウィルスを発見したらどうするか。
論文誌に発表して仲間内だけで議論するのか、それとも政策決定者に伝える責任があると思うのか。
気候科学者も同じで、高水準の科学研究を行うと同時に、その意味するところを一般市民や政策決定者に説明しなければならない。
ある意味で2つの人格を持つ必要がある。
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>>>>科学者は政治的主張を避けるべきか
江守:
科学者が政治的な主張をすると、その人の科学自体も政治的に偏っているという印象を与え、科学の信頼性を貶めるという見方もあります。
科学とアドボカシー(特定政策の提言、擁護)についてどう考えますか。
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シェルンフーバー:
その問題は私もずっと考え続けてきた。
それについて、私のロールモデル(模範となる人物)はアルバート・アインシュタインだ。
アインシュタインは間違いなく最も偉大な科学者の一人だが、同時に非常に政治的でもあった。
彼は平和、文化、宗教などについて考え、1955年には有名なラッセル=アインシュタイン宣言で軍拡競争に反対した。
アインシュタインの人生を見ると、最高水準の科学と、その意味を社会に説明する責任は必ずしも矛盾しないことがわかる。
・・・・
あなたの科学が社会に高い関連性を持つならば、その意味を社会に説明する道義的責任があると思う。
それを仲間内だけで話しているのはほとんど犯罪的ではないか。
科学の意味を社会に説明することが科学の質を損なうという誤った考えは、温暖化否定論者が持ち込んだものではないかと思う。
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まとめると、アドボカシーはあなたの科学の質を損なわないし、あなたの科学が人類の重大な関心事であるならばアドボカシーはむしろ必要である。
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江守:
ありがとうございました。
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https://www.cger.nies.go.jp/cgernews/201701/313002.html
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やっぱり、アドボカシー活動をしてほしいものです。
チャットGPTで出てくる言葉は、IPCCなどでの抑制気味の考えしか出て来ないのではなく、関係者皆さんが「アインシュタイン」の様に活動することが必要だということでしょう。
宜しくお願いします。
・・・・
では、草々
2-24-1-15
森下克介
Posted by もりかつ at
17:21
│Comments(0)
2024年01月15日
「洋上の大型風力発電事業」への逆風を吟味する
前略
再生可能エネルギーの主役の一つである「風力発電」であるが、多くの装置が同じような経過を辿っているように見える。
即ち、例えばエアコンなどの、初期段階では「大型で集中型化こそ、効率的で経済的である」ということで、工場やビルでは大型化が進んだものです。
今は小型分散型という傾向になっています(原発の小型化も同じか??、これは危険が広域に分散するだけ)。
・・・・
太陽光発電も大型化が必然の様に広域にパネルを貼っていますが、これも小型分散に移る方が良いという時代が来る。
電力ユーザーは、夫々の個別需要に対応することができる方が良いし、夫々の発電条件があると考えられる。
最近は、何処の場所でも大木の室外機の連続がみられる通りでしょう。
・・・・
風力発電も、課題の多い洋上風力だけに頼る時代だけに見えても、実際は個別分散の時代に代わって行くと思います。
基本的には、河川流域圏の地域自治体での「自治社会」になれば、大型の送電網の支配下では暮らさなくてもいい様になるはずです。
個別の議論が浮かび上がってきていますが、もう少し違った社会構造の議論も進めないといけないでしょう。
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ーーーーーー逆風の洋上風力発電業界、2024年はどう動く?ーーーーーーーーーーーーーーー
、 MIT Tech Review, by Casey Crownhart2024.01.15、
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洋上風力発電業界が苦境に立たされている。コストの高騰やサプライチェーンの混乱拡大に伴い、プロジェクトの中止や延期が相次いでいるのだ。
だが一方では、新たな取り組みや技術開発も続いており、明るい兆しもある。
・・・・・・・・・・・
>>>>洋上風力発電業界は嵐に見舞われている。
海岸線に沿って林立する風力タービンは、沖合で安定的に吹く強い風を利用することができる。
海から約100キロメートル以内に世界人口の40%が住んでいることを考えると、洋上風力発電所は世界中の電力供給をクリーン化する取り組みに大きな恩恵をもたらす可能性がある。
しかし、ここ数カ月、コストの高騰やサプライチェーンの混乱拡大に伴い、世界各地でプロジェクトが延期や中止の憂き目にあっている。
こうした後退は、気候変動の原因となる温室効果ガスの排出量を削減する取り組みに支障をもたらす可能性がある。
・・・・
>>>>2024年以降もプロジェクトの延期や中止が続出する可能性は高い。
だが、洋上風力発電業界では新たな取り組みも始まり、技術開発も続いている。
問題は、現在のトラブルが発展を一時的に妨げるものなのか、それとも2024年にこの産業が発展の軌道から大きく外れる兆候なのかということだ。
ここでは、洋上風力発電の今後について検証していく。
・・・・
>>>>発展の阻害と後退
風力発電大手のオーステッド(Ørsted)は2023年11月1日に、金利上昇、高インフレ、サプライチェーンのボトルネックを理由に、大いに期待されていた2つの洋上風力発電プロジェクト「オーシャン・ウィンド(Ocean Wind) 1」と「オーシャン・ウィンド2」の中止を発表した。
この2つのプロジェクトは、ニュージャージー州の送電網に2.2ギガワット強を供給する予定だった。
これは、100万世帯以上に電力を供給できる量である。
オーステッドは世界有数の洋上風力発電開発企業で、2023年の注目企業としてMITテクノロジーレビューの「気候テック15」にも選ばれている。
・・・・
エネルギー関連のリサーチサービスを提供するブルームバーグNEF(BNEF:BloombergNEF)の分析によると、現在の米国における洋上風力発電の後退は、オーステッドのプロジェクト中止に限ったことではない。
2023年には12ギガワット超相当の契約がキャンセルされたか、再交渉の対象となった。
ブルームバーグNEFの風力アナリスト、チェルシー・ジャン=ミシェルによると、この問題の一端は一般的なプロジェクトの計画方法と資金調達方法にあるという。
開発業者は風力発電所の建設場所を確保した後、そこで発電される電力の販売契約を結ぶ。
その電力価格はプロジェクトが完了する数年前に固定される。
現在進行中のプロジェクトの場合、一般的に契約は2019年か2020年に交渉済みだ。
・・・・
この5年間で多くのことが変わった。
アメリカン・クリーン・パワー協会(ACP:American Clean Power Association)の2023年の報告書によると、風力タービン建設で最も重要な材料のひとつである鉄鋼の価格は、2019年1月から2022年末までに北米と北欧で50%以上も上昇した。
インフレにより他の材料の価格も上昇しており、金利の上昇により借入コストも上昇している。
そのため開発業者は、以前に合意した価格は妥当ではなくなったと主張するようになった。
業界の経済問題は世界的なものだ。
英国で最近に実施された洋上風力発電のリース権入札では、応札はゼロだった。
また、北海で計画されていた大規模プロジェクトは、7月にその開発業者によって中止された。
台湾のプロジェクトに参入した日本の開発業者は、まだ発展途上の台湾市場でコストが高騰する中、突然撤退を始めた。
苦境の中で際立っているのが中国だ。
同国は現在、世界最大の洋上風力発電市場であり、世界の設備容量のほぼ半分を占めている。
急速な開発と競争の激化は、中国における一部のプロジェクトの価格下落につながっているほどだ。
・・・・
>>>>成長痛
2023年は世界中で多くのプロジェクトが後退に見舞われたが、この問題は米国を含む新興市場に集中している。
ニュージャージー州のプロジェクト中止以来、問題は続いている。
2024年の年初から数週間に、ニューヨーク州における複数のプロジェクトで開発業者が契約の再交渉を求めた。
たとえ最終的に開発が進められたとしても、進捗が遅れる可能性がある。
米国では電力の10%以上が風力発電によるものだが、その大半は陸上風力発電によるものだ。
米国立再生可能エネルギー研究所(NREL:National Renewable Energy Laboratory)の洋上風力発電部門チーフエンジニアであるウォルト・ミュージアルによると、米国の洋上風力発電市場は、英国やデンマークなどの確立された市場と比べて少なくとも10年は遅れているという。
・・・・
今後1年間を見通すうえで問題となっているのは、業界が米国で風力タービンの建設・設置能力をどれだけ迅速に向上させられるかという点である。
「米国における洋上風力発電のサプライチェーンは、基本的に初期段階にあります。
実際のところ、まだ存在していないのです」とジャン=ミシェルは語る。
この未熟なサプライチェーンが一部のプロジェクトで問題となっている。とりわけ風力タービンの設置に必要な船舶に関しては顕著だ。
オーステッドはニュージャージー州のプロジェクトを中止する理由のひとつとして、このような船舶の不足を挙げた。
船舶不足問題は、米国港湾間の運航に従事できるのは米国が建造・運航する船舶のみと定めた1世紀前の法律によってさらに複雑になっている。
米国のプロジェクトでは、欧州の港から運航し、沖合で米国船籍の大型バージ船を使用することでこの制限を回避してきたが、結果として建設が大幅に遅れる可能性があるとミュージアルは指摘する。
2024年に予定されている最大の進展のひとつは、タービン設置を支援する米国製船舶が1隻完成することだろう。このタービン設置船はテキサス州で建造中で、ドミニオン・エナジー(Dominion Energy)はこれまでに6億ドル以上を投じている。建造は遅延しているが、2024年後半には完成予定とされている。
米国における洋上風力発電のサプライチェーン構築にさらなるインセンティブを与えているのが税額控除だ。洋上風力発電プロジェクトに対する既存の税額控除は、インフレ抑制法(Inflation Reduction Act)によって延長・拡大され、新しい風力発電所の建設費用に対して最大40%もの税額控除が受けられるようになっている。ただし、この税額控除を最大限受けるには、プロジェクトでは米国内で調達された材料を使用する必要がある。こうした材料のサプライチェーンを強化するには長い時間がかかるため、業界は依然として現状に合わせようと努めている。
・・・・
それでも、米国の洋上風力発電には大きな進展の兆しがいくつか見られる。
全米で2番目の規模を誇る洋上風力発電所が1月初旬に発電を開始した。2024年には、中央大西洋やオレゴン州沖など、複数のエリアの海底を対象に新規開発の入札がある見込みだ。メイン州沖の海底も2025年に入札が予定されている。
しかし、米国が掲げる洋上風力発電の目標を達成するためには、このような勢いでも足りないかもしれない。
バイデン政権は、2030年までに洋上風力発電による発電容量を30ギガワットに拡大する目標を掲げている。
だが、ブルームバーグNEFの予測では、2030年までに達成できる発電容量はその半分程度の16.4ギガワットになる見込みである。
・・・・
>>>>技術変革
今年は経済的な問題が洋上風力発電の制限要因となりそうだが、業界の技術発展にも注目していきたい。
風力タービンのデザインは基本的に数十年前と変わっていないが、どんどん大型化しており、この傾向は今後も続くと予想される。
タービンが大きいほど効率が良くなり、低コストでより多くのエネルギーを回収できる傾向があるからだ。
10年前、洋上風力タービンの平均出力は約4メガワットだった。2022年には、その数値は8メガワット弱になった。
現在、大手タービンメーカーは15メガワット級のモデルを製造している。このような巨大タービンは、主要ランドマークの大きさに匹敵するようになり、最近設置されたタービンはエッフェル塔の高さに迫る勢いだ。
・・・・
風力発電大手のベスタス(Vestas)は、2023年に15メガワットの風力タービンの試験を実施し、世界最大出力の風力タービンという称号を得た。同社は2023年末にこの設計の認可を受けており、2024年着工予定のデンマークの風力発電所で使用することになっている。
加えて、浮体式洋上風力発電の技術開発も進むだろう。沖合に設置されている風力タービンのほとんどは海底に固定されているが、米国西海岸のように沖合の海が深過ぎて、それが不可能な地域もある。
・・・・
浮体式タービンはこの問題を解決する可能性がある。
2023年半ばに稼働を開始したノルウェーのハイウィンド・タンペン(Hywind Tampen)やポルトガルのウィンドフロート・アトランティック(WindFloat Atlantic)など、世界中でいくつかのパイロットプロジェクトが進行中である。
浮体式タービンのプラットフォームは、カメラの三脚やほうきの柄、タイヤを模したものなど多種多様なデザインがある。
標準化によって価格が下がるため、業界は今後数年間で単一デザインに収束し始める可能性があるとブルームバーグNEFのジャン=ミシェルは考える。
しかし、標準化がこの新興産業の成長を継続させるのに十分かどうかは、経済的要因がどのように変化するかにかかっている。
また、浮体式プロジェクトが洋上風力発電設備に占める割合は、10年後も5%未満にとどまる可能性が高い。
・・・・
世界中で再生可能エネルギーに変革の風が吹き荒れている。
経済の先行きが不透明だとしても、洋上風力発電は2024年に注目すべきテクノロジーであることは間違いない。
・・・・・・
ケーシー・クラウンハート [Casey Crownhart]
米国版 気候変動担当記者
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https://www.technologyreview.jp/s/326638/whats-next-for-offshore-wind/?mc_cid=40e6805a60&mc_eid=a30e82edf2
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もう、「現在の豊かさを維持したままで、GHG排出ゼロ(実質?)の議論」から、次の社会の形を、命を繋げる人類という視点、目的に変えないといけないでしょう。
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では、草々
2024-1-15
森下克介
再生可能エネルギーの主役の一つである「風力発電」であるが、多くの装置が同じような経過を辿っているように見える。
即ち、例えばエアコンなどの、初期段階では「大型で集中型化こそ、効率的で経済的である」ということで、工場やビルでは大型化が進んだものです。
今は小型分散型という傾向になっています(原発の小型化も同じか??、これは危険が広域に分散するだけ)。
・・・・
太陽光発電も大型化が必然の様に広域にパネルを貼っていますが、これも小型分散に移る方が良いという時代が来る。
電力ユーザーは、夫々の個別需要に対応することができる方が良いし、夫々の発電条件があると考えられる。
最近は、何処の場所でも大木の室外機の連続がみられる通りでしょう。
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風力発電も、課題の多い洋上風力だけに頼る時代だけに見えても、実際は個別分散の時代に代わって行くと思います。
基本的には、河川流域圏の地域自治体での「自治社会」になれば、大型の送電網の支配下では暮らさなくてもいい様になるはずです。
個別の議論が浮かび上がってきていますが、もう少し違った社会構造の議論も進めないといけないでしょう。
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ーーーーーー逆風の洋上風力発電業界、2024年はどう動く?ーーーーーーーーーーーーーーー
、 MIT Tech Review, by Casey Crownhart2024.01.15、
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洋上風力発電業界が苦境に立たされている。コストの高騰やサプライチェーンの混乱拡大に伴い、プロジェクトの中止や延期が相次いでいるのだ。
だが一方では、新たな取り組みや技術開発も続いており、明るい兆しもある。
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>>>>洋上風力発電業界は嵐に見舞われている。
海岸線に沿って林立する風力タービンは、沖合で安定的に吹く強い風を利用することができる。
海から約100キロメートル以内に世界人口の40%が住んでいることを考えると、洋上風力発電所は世界中の電力供給をクリーン化する取り組みに大きな恩恵をもたらす可能性がある。
しかし、ここ数カ月、コストの高騰やサプライチェーンの混乱拡大に伴い、世界各地でプロジェクトが延期や中止の憂き目にあっている。
こうした後退は、気候変動の原因となる温室効果ガスの排出量を削減する取り組みに支障をもたらす可能性がある。
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>>>>2024年以降もプロジェクトの延期や中止が続出する可能性は高い。
だが、洋上風力発電業界では新たな取り組みも始まり、技術開発も続いている。
問題は、現在のトラブルが発展を一時的に妨げるものなのか、それとも2024年にこの産業が発展の軌道から大きく外れる兆候なのかということだ。
ここでは、洋上風力発電の今後について検証していく。
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>>>>発展の阻害と後退
風力発電大手のオーステッド(Ørsted)は2023年11月1日に、金利上昇、高インフレ、サプライチェーンのボトルネックを理由に、大いに期待されていた2つの洋上風力発電プロジェクト「オーシャン・ウィンド(Ocean Wind) 1」と「オーシャン・ウィンド2」の中止を発表した。
この2つのプロジェクトは、ニュージャージー州の送電網に2.2ギガワット強を供給する予定だった。
これは、100万世帯以上に電力を供給できる量である。
オーステッドは世界有数の洋上風力発電開発企業で、2023年の注目企業としてMITテクノロジーレビューの「気候テック15」にも選ばれている。
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エネルギー関連のリサーチサービスを提供するブルームバーグNEF(BNEF:BloombergNEF)の分析によると、現在の米国における洋上風力発電の後退は、オーステッドのプロジェクト中止に限ったことではない。
2023年には12ギガワット超相当の契約がキャンセルされたか、再交渉の対象となった。
ブルームバーグNEFの風力アナリスト、チェルシー・ジャン=ミシェルによると、この問題の一端は一般的なプロジェクトの計画方法と資金調達方法にあるという。
開発業者は風力発電所の建設場所を確保した後、そこで発電される電力の販売契約を結ぶ。
その電力価格はプロジェクトが完了する数年前に固定される。
現在進行中のプロジェクトの場合、一般的に契約は2019年か2020年に交渉済みだ。
・・・・
この5年間で多くのことが変わった。
アメリカン・クリーン・パワー協会(ACP:American Clean Power Association)の2023年の報告書によると、風力タービン建設で最も重要な材料のひとつである鉄鋼の価格は、2019年1月から2022年末までに北米と北欧で50%以上も上昇した。
インフレにより他の材料の価格も上昇しており、金利の上昇により借入コストも上昇している。
そのため開発業者は、以前に合意した価格は妥当ではなくなったと主張するようになった。
業界の経済問題は世界的なものだ。
英国で最近に実施された洋上風力発電のリース権入札では、応札はゼロだった。
また、北海で計画されていた大規模プロジェクトは、7月にその開発業者によって中止された。
台湾のプロジェクトに参入した日本の開発業者は、まだ発展途上の台湾市場でコストが高騰する中、突然撤退を始めた。
苦境の中で際立っているのが中国だ。
同国は現在、世界最大の洋上風力発電市場であり、世界の設備容量のほぼ半分を占めている。
急速な開発と競争の激化は、中国における一部のプロジェクトの価格下落につながっているほどだ。
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>>>>成長痛
2023年は世界中で多くのプロジェクトが後退に見舞われたが、この問題は米国を含む新興市場に集中している。
ニュージャージー州のプロジェクト中止以来、問題は続いている。
2024年の年初から数週間に、ニューヨーク州における複数のプロジェクトで開発業者が契約の再交渉を求めた。
たとえ最終的に開発が進められたとしても、進捗が遅れる可能性がある。
米国では電力の10%以上が風力発電によるものだが、その大半は陸上風力発電によるものだ。
米国立再生可能エネルギー研究所(NREL:National Renewable Energy Laboratory)の洋上風力発電部門チーフエンジニアであるウォルト・ミュージアルによると、米国の洋上風力発電市場は、英国やデンマークなどの確立された市場と比べて少なくとも10年は遅れているという。
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今後1年間を見通すうえで問題となっているのは、業界が米国で風力タービンの建設・設置能力をどれだけ迅速に向上させられるかという点である。
「米国における洋上風力発電のサプライチェーンは、基本的に初期段階にあります。
実際のところ、まだ存在していないのです」とジャン=ミシェルは語る。
この未熟なサプライチェーンが一部のプロジェクトで問題となっている。とりわけ風力タービンの設置に必要な船舶に関しては顕著だ。
オーステッドはニュージャージー州のプロジェクトを中止する理由のひとつとして、このような船舶の不足を挙げた。
船舶不足問題は、米国港湾間の運航に従事できるのは米国が建造・運航する船舶のみと定めた1世紀前の法律によってさらに複雑になっている。
米国のプロジェクトでは、欧州の港から運航し、沖合で米国船籍の大型バージ船を使用することでこの制限を回避してきたが、結果として建設が大幅に遅れる可能性があるとミュージアルは指摘する。
2024年に予定されている最大の進展のひとつは、タービン設置を支援する米国製船舶が1隻完成することだろう。このタービン設置船はテキサス州で建造中で、ドミニオン・エナジー(Dominion Energy)はこれまでに6億ドル以上を投じている。建造は遅延しているが、2024年後半には完成予定とされている。
米国における洋上風力発電のサプライチェーン構築にさらなるインセンティブを与えているのが税額控除だ。洋上風力発電プロジェクトに対する既存の税額控除は、インフレ抑制法(Inflation Reduction Act)によって延長・拡大され、新しい風力発電所の建設費用に対して最大40%もの税額控除が受けられるようになっている。ただし、この税額控除を最大限受けるには、プロジェクトでは米国内で調達された材料を使用する必要がある。こうした材料のサプライチェーンを強化するには長い時間がかかるため、業界は依然として現状に合わせようと努めている。
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それでも、米国の洋上風力発電には大きな進展の兆しがいくつか見られる。
全米で2番目の規模を誇る洋上風力発電所が1月初旬に発電を開始した。2024年には、中央大西洋やオレゴン州沖など、複数のエリアの海底を対象に新規開発の入札がある見込みだ。メイン州沖の海底も2025年に入札が予定されている。
しかし、米国が掲げる洋上風力発電の目標を達成するためには、このような勢いでも足りないかもしれない。
バイデン政権は、2030年までに洋上風力発電による発電容量を30ギガワットに拡大する目標を掲げている。
だが、ブルームバーグNEFの予測では、2030年までに達成できる発電容量はその半分程度の16.4ギガワットになる見込みである。
・・・・
>>>>技術変革
今年は経済的な問題が洋上風力発電の制限要因となりそうだが、業界の技術発展にも注目していきたい。
風力タービンのデザインは基本的に数十年前と変わっていないが、どんどん大型化しており、この傾向は今後も続くと予想される。
タービンが大きいほど効率が良くなり、低コストでより多くのエネルギーを回収できる傾向があるからだ。
10年前、洋上風力タービンの平均出力は約4メガワットだった。2022年には、その数値は8メガワット弱になった。
現在、大手タービンメーカーは15メガワット級のモデルを製造している。このような巨大タービンは、主要ランドマークの大きさに匹敵するようになり、最近設置されたタービンはエッフェル塔の高さに迫る勢いだ。
・・・・
風力発電大手のベスタス(Vestas)は、2023年に15メガワットの風力タービンの試験を実施し、世界最大出力の風力タービンという称号を得た。同社は2023年末にこの設計の認可を受けており、2024年着工予定のデンマークの風力発電所で使用することになっている。
加えて、浮体式洋上風力発電の技術開発も進むだろう。沖合に設置されている風力タービンのほとんどは海底に固定されているが、米国西海岸のように沖合の海が深過ぎて、それが不可能な地域もある。
・・・・
浮体式タービンはこの問題を解決する可能性がある。
2023年半ばに稼働を開始したノルウェーのハイウィンド・タンペン(Hywind Tampen)やポルトガルのウィンドフロート・アトランティック(WindFloat Atlantic)など、世界中でいくつかのパイロットプロジェクトが進行中である。
浮体式タービンのプラットフォームは、カメラの三脚やほうきの柄、タイヤを模したものなど多種多様なデザインがある。
標準化によって価格が下がるため、業界は今後数年間で単一デザインに収束し始める可能性があるとブルームバーグNEFのジャン=ミシェルは考える。
しかし、標準化がこの新興産業の成長を継続させるのに十分かどうかは、経済的要因がどのように変化するかにかかっている。
また、浮体式プロジェクトが洋上風力発電設備に占める割合は、10年後も5%未満にとどまる可能性が高い。
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世界中で再生可能エネルギーに変革の風が吹き荒れている。
経済の先行きが不透明だとしても、洋上風力発電は2024年に注目すべきテクノロジーであることは間違いない。
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ケーシー・クラウンハート [Casey Crownhart]
米国版 気候変動担当記者
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https://www.technologyreview.jp/s/326638/whats-next-for-offshore-wind/?mc_cid=40e6805a60&mc_eid=a30e82edf2
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もう、「現在の豊かさを維持したままで、GHG排出ゼロ(実質?)の議論」から、次の社会の形を、命を繋げる人類という視点、目的に変えないといけないでしょう。
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では、草々
2024-1-15
森下克介
Posted by もりかつ at
11:23
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