2020年08月23日

「グリーンランドの儲け話」とは

前略
温暖化に関して、話題のグリーンランドです。
少々皮肉っぽい話題です。ブラックユーモアとでも言そうです。

著者は「地球温暖化の問題はすでに待った無しの「非常事態」となっている。」と結んでいます。
でも読んでいても何故か緊張しません。
著者自身がそうなんでしょうが、本当は大変なことが書かれているわけです。

やっぱりこのような報道をしても誰も動かないのでしょう。

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https://forbesjapan.com/articles/detail/36570/1/1/1

「氷河が溶け続けるグリーンランド 地球温暖化で「砂ビジネス」に恩恵も?」2020-8-22、渡邉雄介

地球温暖化によってグリーンランド氷床の融解は加速している

グリーンランドの氷塊は「炭鉱のカナリア(Canary in a coal mine)であり、そのカナリアはすでに瀕死の状態」だ──。

かつて炭鉱労働者が山へと入る際に、毒ガスの影響を受けやすいカナリアの性質を利用して、先頭を歩く坑夫に鳥かごをもたせた。このことから、「炭鉱のカナリア」とは、人間に迫る危険の前兆を意味している。

冒頭のように述べるのは、オハイオ州立大学の氷河学者イアン・ホワットだ。8月13日に彼を含む国際研究グループが、科学誌「Nature Communications Earth & Environment」で発表した論文によれば、グリーンランドを覆う氷床の溶解はすでに戻れぬところまできてしまっているという。これはグリーンランド周辺の海に流出している200以上の大きな氷河から得られた約40年分の月ごとの衛星データを分析した結果だ。夏の溶解によって失われつつある氷河を取り戻すためには、現在の年間降雪量ではもはや十分ではないという。

2019年にはデンマーク気象研究所のシュテフェン・オルセンらのチームが撮影した、溶け出した水で覆われたグリーンランドの海氷の上を移動する犬ぞりの姿が世界に衝撃を与えた。BBCの報道によれば、この映像が撮影された2019年6月13日に1日に失われた氷は20億トンに相当すると推定されている。

もし地球温暖化が止まっても氷床の縮小は続く?

近年、地球温暖化の影響によってグリーンランドなど北極圏の氷床の融解が進んでいることがさまざまな研究でわかっている。先述したイアン・ホワットらの研究によると、1980年代から90年代にかけては、海に溶けだすなどして失われる毎年の氷の量と降雪量はほぼ均衡を保っていたが、21世紀に入ると氷の消失が加速。毎年約5,000億トンが失われていることがわかった。このあいだ降雪量は増加していない。

オハイオ州立大学のローラ・アーレンシールドはイアン・ホワットらの研究に言及した「Warming Greenland ice sheet passes point of no return」のなかで、グリーンランドの氷河は、不可逆的な転換点を意味する「ティッピングポイント(tipping point)」をすでに通過してしまったという声明を出している。


指摘されているのは、氷河の縮小によってその大部分が深い海の中に潜ってしまうと、水と接触している部分が多くなるため、暖かい海水によってさらに融解が進んでしまうという問題だ。一度「ティッピングポイント」を超えてしまうと、これから人類がどれだけ努力したとしても、元の安定した環境を取り戻すことは難しい。ローラ・アーレンシールドは次のように書いている。

「たとえ人間が奇跡的に気候変動を止めることができたとしても、氷河から海に氷を排出することで失われる氷の量は、積雪から得られる氷の量を上回る可能性が高く、氷床はしばらく縮小し続けることになります」

もし人類が今すぐに地球温暖化を止めることができても、グリーンランドの氷床の縮小はしばらく止まらず、元の状態に戻らないという主張だ。

これに対しては慎重論もある。デンマーク気象研究所のルース・モットラムは、AFP通信に「温室効果ガス濃度がどの程度上昇するかは分からない」として、今回発表された結果は「気温(と温室効果ガスの排出量)を現在のレベルで安定させたとしても、氷床は溶け続けるだろうという話だが、それは氷床の大きさが気候とのバランスを取り戻すまでのあいだだけである」と指摘している。急速に溶け出しているのは海に接している氷床であるため、氷と水との接触がなくなれば、大量の氷の流出はとまる可能性がある。

現段階ではすべての研究者が「ティッピングポイント」に達したと同意しているわけではない。しかし、グリーンランドの氷床融解が地球規模の重大な問題を抱えていることに関しては研究者のあいだで意見が一致している。


グリーンランドの氷床は不可逆的な転換点を超えてしまったのか?


グリーンランドの氷が溶けたら世界の「砂不足」に恩恵も?

イギリスのリンカーン大学の最新の発表「New Research Reveals Effect of Global Warming on Greenland Ice Melt and Consequences for 21st Century Sea Level Rise」によれば、今後も地球温暖化の傾向が続く場合、グリーンランドの氷床の融解だけで、21世紀末までの世界の海面上昇に与える影響は10~12.5センチになると予測されている。これは、約30年分の科学的データを新たに分析した結果だ。

また地球温暖化によって氷河の融解が加速しているのはグリーンランドだけではない。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2019年、南極の氷などを含む世界の氷河が融解することで21世紀末までに海面は最大で1.1メートル上昇するとの予測を発表している。

仮に1メートル規模の海面上昇が起こると、高潮や洪水によって世界の10億人が危機にさらされ、2億8000万人以上が家を失うといわれている。またそのなかでも南太平洋のツバル、キリバス、インド洋のモルディブといった国々にとっては、国そのものの存亡に影響する。グリーンランドの氷床の問題は地球規模でみれば一刻の猶予も許されない状態だといって良いであろう。


一方で、グリーンランドの人々にとっては不幸中の幸いと言うべきか、一部には地球温暖化の産物としては異例の「恩恵」を受ける可能性も指摘されている。グリーンランドの氷床が融けて大量の土砂が海中に流出することで、建設業界で用いられる砂や砂利を採掘し、輸出することができるようになるかもしれないのだ。この「砂ビジネス」が実現すれば、グリーンランドの経済活性化につながり、懸念される世界的な砂不足にも貢献できる。

グリーンランドの「砂ビジネス」の実現可能性や、砂を大量に採取することによる環境への影響などを研究しているメッテ・ベンディクセンは、科学誌『Nature』に掲載されている「Time is running out for sand」のなかで次のように述べる。

「砂と砂利は、化石燃料を超えて最も多く採掘されている原料であり、都市化と世界的な人口増加によって、中国、インド、アフリカを中心に需要が爆発的に増加している。世界では毎年約320億トンから500億トンが、主にコンクリート、ガラス、電子機器の製造に使用されているが、これは自然再生のペースを超えており、今世紀半ばには需要が供給を上回る可能性がある」

ニューヨーク・タイムズの記事「Melting Greenland Is Awash in Sand」では「世界中に砂を輸送するためのコストがかかることを考えると、その実現可能性は砂の価格が上昇するかどうかにかかっている」と指摘されているが、もしこれが実現した場合、グリーンランドにとっては非常に大きなビジネスとなる。


グリーンランドの人々にとって氷床の融解は政治経済的な問題だ
18世紀からデンマークによる植民地支配を受けてきたグリーンランドであるが、島民の独立への思いは強い。その中でネックになってきた問題の一つは、独立すればデンマークからの補助金がなくなってしまうという問題であった。氷床の融解の問題は、グリーンランドに住む人々にとっては政治経済的な問題でもあるのだ。

ニューヨーク・タイムズの同記事の中でメッテ・ベンディクセンが語った計算によると、グリーンランドにおける最大の都市ヌークから南に約50マイルのところにあるフィヨルドに毎年流れ込む土砂の15%を採取した場合、その量は3300万トンであり、これは米国で最も人口の多いカリフォルニア州サンディエゴ郡の年間需要の2倍に相当するという。しかもこのフィヨルドは、グリーンランドに数ある砂の採掘が可能な場所の一つに過ぎない。

メッテ・ベンディクセンも指摘しているように、この新たな輸出産業がもたらすかもしれない環境への影響は当然のことながら十分に考慮されねばならない。しかし、研究が進めば将来的に、グリーンランドの氷床融解による海面上昇でリスクにさらされる砂浜や海岸線の補強に砂や砂利が使用される可能性も指摘されている。

地球温暖化の問題はすでに待った無しの「非常事態」となっている。これに対処していくためには、自然や科学が人間に教える厳しい現実を直視しながらも、常に新たなる可能性の糸口を探していかねばならないだろう。

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追加です、
日本が太平洋戦争を始めた時のこと。
開戦しない方が良かった。
やはり「3国協定」を解消してしまって、欧米の大国の仲間(既に海軍軍縮条約で、軍艦の制限は、米英仏日の関係だけ。である事実関係からも)として欧米と一緒になって、中国などアジアの利権を分割する仲間になれたはずです。
その後に、大東亜共栄圏を動かしてもよかったはずです。
終戦時には、既にナチスドイツが如何に徹底的にたたかれたかを知っていれば、その後の戦闘が無意味・酷いものかを解って打つ手が決まっていたはずでしょう。何故でしょう。
若手将校を騙って、最後までありもしない利権を守ろうとした、軍産複合体、メディア関連などの「知恵の無さ」が
日本人だったのかもしれないと思います。

日本人だけがこんな視野狭窄症なのかと感じていたところです。
しかし、現在の世界は、中国の「帝国主義時代並みの独裁・全体主義国家」をはじめ、「古代の宗教国家(原理主義を否定できない本質がある)」などは、まさに一本の開戦時と敗戦時の思考過程と同じに見えます。
もう止めてください。

今思うのは、「温暖化ガス(GHG)」自体の理解が出来ていないのではないでしょうか?
「数百PPMが何なんだ」とみんな思っているのを、
科学的にキチンと公開の場で大々的に議論をしないと判らないのではないでしょうか?
勿論、学校教育の場だけでなく、政治の場、行政の場でもやらなければならいでしょう。

「デンジロウさん」のような人も一緒になって始めて欲しいものです。
では。草々
2020-8-23
森下克介




Posted by もりかつ at 09:05│Comments(0)
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